佐伯くんを寝かしつけろ!!(脚本)
〇古いアパートの居間
修学旅行の夜
ある部屋では・・・
男子高校生を寝かしつけていた
夢見 てるこ「人を寝かしつけたことなんてないよ」
筋肉 つよし「もう諦めて俺たちだけ寝ようぜ」
ジョー先生「ああ。あいつはほっといて寝よう」
佐伯くん「待ってくれ!」
佐伯くん「可愛い我が子を寝かしつける親の気持ちを思い出すんだ!」
佐伯くん「頑張れ!!」
ジョー先生「頑張り方が分からねえんだよ!」
夢見 てるこ(せっかくの修学旅行なのに、こんなことになるとは・・・)
〇古いアパートの居間
数分前
夢見 てるこ「佐伯くん!!」
佐伯くん「急に呼び出して悪かった」
夢見 てるこ「ううん!」
夢見 てるこ(きたあああ!これは絶対に告白の展開!!!)
夢見 てるこ(結婚まで秒読みね!!)
夢見 てるこ(結婚式は何人くらい呼べるかな)
筋肉 つよし「佐伯!お待たせ!柔道やろーぜ!」
ジョー先生「佐伯!恋バナしようぜ!」
夢見 てるこ「筋肉くんとジョー先生!?」
佐伯くん「2人も呼んだんだ」
夢見 てるこ(柔道部のエースの筋肉くんに、イケメン教師のジョー先生!?)
夢見 てるこ(何この謎メン!!)
夢見 てるこ(そうか!公開告白か!)
夢見 てるこ(佐伯くんって結構大胆なのね!!)
佐伯くん「実は、みんなに俺から伝えたいことがあるんだ」
佐伯くん「実は俺は・・・」
佐伯くん「ちゃんと眠れないと破壊神になってしまうんだ!!」
夢見 てるこ「はかいしん?」
ジョー先生「眠れないとイライラして物壊しちゃう♡ ってことか?」
佐伯くん「中1の林間学校では牧場の牛を全滅させ」
佐伯くん「中2の京都では金閣寺を燃やし」
佐伯くん「中3の北海道では、雪まつりの彫刻を炎で溶かし続けた」
夢見 てるこ「迷惑すぎる」
筋肉 つよし「かっけえ!」
佐伯くん「普段は母さんの子守唄で安眠だが、修学旅行はそれが出来ないから・・・」
ジョー先生「死ぬほどどうでもいいのだが、」
ジョー先生「修学旅行を休めばいいのでは?」
佐伯くん「こんな楽しいイベント休めるわけないだろ!!」
ジョー先生「実質テロだな」
佐伯くん「今年は長崎」
佐伯くん「このままだと今年も俺によってハウスデンボズが破壊される」
佐伯くん「だから、お願いだ!!俺を朝までぐっすり寝かせて、長崎の平和を守ってくれ!!」
夢見 てるこ「おもっ」
ジョー先生「俺は参加したくねえ!!」
ジョー先生「厄介なことには巻き込まれたくないぞ!」
佐伯くん「待ってくれ!期待のスポーツマンの筋肉と、イケメン教師のジョー先生!」
佐伯くん「・・・あと、とりあえず夢見」
佐伯くん「3人揃えば怖いものなしなんだ!」
夢見 てるこ(私、何で呼ばれたんだろ)
筋肉 つよし「仕方ねえな!俺も人肌脱ぐぜ!!」
ジョー先生「そこまで言われちゃ協力するしかないよな。あの頃を思い出す」
夢見 てるこ「ちょろすぎる」
佐伯くん「破壊神にならない条件は」
佐伯くん「朝6時までぐっすり寝り続けること」
佐伯くん「途中で目が覚めたらダメだ」
佐伯くん「早く寝れば寝るほど、破壊神になる可能性は低くなる」
ジョー先生「今は3時か・・・」
夢見 てるこ「急がないと!!」
〇古いアパートの居間
夢見 てるこ「どうやって朝まで寝かせればいいの?」
筋肉 つよし「柔道すれば気持ち良く眠れるんじゃね?」
夢見 てるこ「それは貴方だけだよ」
ジョー先生「うーん・・・」
ジョー先生「そうだ!真面目な授業をすれば眠くなるんじゃないか?」
ジョー先生「ま、俺の授業は面白すぎて眠れないと思うが・・・」
夢見 てるこ「それいい!ジョー先生の授業眠いもん!」
夢見 てるこ「授業中に眠る背徳感も良いよね!」
筋肉 つよし「ああ!クセになるよな!」
佐伯くん「いいな!眠れそうだ!」
ジョー先生「よし・・・授業始めるぞー」
ジョー先生(くそっ!絶対に寝かせねえ!!)
安眠法1、ジョー先生の授業
ジョー先生「いいか?睡眠とは、眠ることである」
ジョー先生「眠らないといけない。だからこそ、人間は眠らないといけないと思う」
夢見 てるこ(なんかどっかで聞いたことある構文だな)
夢見 てるこ「寝るの早っ!」
夢見 てるこ(まあ、この授業なら佐伯くんも・・・)
佐伯くん「なるほど!!人類とは素晴らしい!だからこそ素晴らしいのか!!」
夢見 てるこ(は?)
ジョー先生「そうなんだ!佐伯!ようやく分かったのか!」
佐伯くん「面白い授業だ!!!感動したよ!!」
ジョー先生「やったぜ!!」
佐伯くん「よし、決めた」
佐伯くん「先生・・・俺」
佐伯くん「馬鹿だけど、東◯大学目指すよ!!」
ジョー先生「さ・・・佐伯」
ジョー先生「よしっ!受験まで駆け抜けるぞ!!」
佐伯くん「はい!先生!!」
夢見 てるこ「よくある受験ドラマの展開やめてください!」
夢見 てるこ「もう、筋肉が寝てどうするのよ!」
夢見 てるこ「・・・一体どうすれば」
夢見 てるこ「な、なに!?」
ジョー先生「佐伯!?」
佐伯くん「・・・うっ」
佐伯くん「う、うぐっ」
ジョー先生「まずい、佐伯がモンスターになりたがっている!」
ジョー先生「早く寝かさないと!!」
夢見 てるこ「ええええ!?!?」
現在AM4時。残り2時間。
〇古いアパートの居間
ジョー先生「なんか他に策はあるだろうか・・・」
筋肉 つよし「先生の授業、俺は安眠だったけどなあ」
ジョー先生「お前には失望した」
夢見 てるこ「うーん、他に何か良い方法は」
夢見 てるこ「ASMRは?」
筋肉 つよし「なるほど!たしか、面白い音を出すやつだよな?」
ジョー先生「面白そうだな!!」
佐伯くん「やってみよう!!」
夢見 てるこ「佐伯くんは絶対に目を開けちゃダメだよ!」
佐伯くん「分かった!」
安眠法その2、ASMR
佐伯くん「・・・」
夢見 てるこ「よし、まず私からね!」
筋肉 つよし「口から出せるのか!すげえ!やるな!」
筋肉 つよし「次は俺の番だ!」
筋肉 つよし「俺のオナラだ」
ジョー先生「一体何を食ったんだ」
ジョー先生「よし、次は俺だ」
ジョー先生「おっと」
夢見 てるこ「ただのゲップじゃん」
筋肉 つよし「最低だ。汚すぎる。この世のものとは思えねえ。心底軽蔑するぜ。耳が汚れちまった」
ジョー先生「お前にだけは絶対言われたくねえ」
佐伯くん「・・・」
筋肉 つよし「よし、ひたすら今の音を奏でよう」
夢見 てるこ「分かった!」
夢見 てるこ「佐伯くん、寝たかな」
夢見 てるこ「佐伯くん!!」
ジョー先生「ついに寝たのか!?」
夢見 てるこ「やったあ!!」
ジョー先生「なにが心地が良かったのかは分からんが、安心した」
筋肉 つよし「しかし、いざ寝ると、今までの苦労が吹っ飛ぶよな」
夢見 てるこ「可愛い寝顔」
ジョー先生「愛おしいな」
夢見 てるこ「これでAM6時まで寝てればいいんだよね!」
ジョー先生「ああ。俺もそろそろ寝よ・・・」
夢見 てるこ「え!?なに!?何の音!?」
ジョー先生「あ、危ないっ!!!」
夢見 てるこ「いてて・・・枕?」
???「最後はお前たちだ!!」
枕ニキ「枕投げ無敗記録を更新しに来た!!」
夢見 てるこ「ええ!?誰?」
枕ニキ「俺様は枕投げ無敗記録保持者だ!ネットでは枕ニキと呼ばれている」
夢見 てるこ「枕ニキ?」
筋肉 つよし「修学旅行に侵入して、片っ端から枕投げを挑む男がいるってやつだろ?」
筋肉 つよし「狙われた奴は生きて帰れないらしい」
ジョー先生「それは枕投げなのか?」
夢見 てるこ「つまり、佐伯くんに枕が当たったら・・・」
夢見 てるこ「佐伯くんが起きちゃう!!」
ジョー先生「破壊神確定だな」
ジョー先生「何があっても絶対に守り抜かなくてはいけない」
筋肉 つよし「バトルだな!!!」
枕ニキ「俺はお前たちみたいなリア充が大嫌いなんだ!!」
枕ニキ「ぼっちの屈辱を晴らす!!!!」
現在AM5時30分。残り30分。
〇古いアパートの居間
夢見 てるこ「どうすればこいつに勝てるの?」
筋肉 つよし「それが、誰にも分からないんだ」
ジョー先生「こいつは負けたことがないのか」
枕ニキ「覚悟しろ!」
枕ニキ「陰キャスペシャル!!」
夢見 てるこ「な、なにかくる!!」
筋肉 つよし「う・・・」
夢見 てるこ「筋肉!?!?」
ジョー先生「血が出てるぞ!」
ジョー先生「くそ!息してないぞ!」
枕ニキ「ほら、早く来いよ」
現在AM5時45分。残り15分。
夢見 てるこ「よし、私だって!!」
夢見 てるこ「えっと・・・何か投げるもの・・・」
夢見 てるこ「よしっ!!」
ジョー先生「おい、どしたんだそれ」
夢見 てるこ「道に沢山落ちてたから拾ったの!!」
ジョー先生「流行ってるのか?」
枕ニキ「そんなもの意味ない!!俺は無敵だからな!」
枕ニキ「いっけ!陰キャ炎枕竜巻旋風!」
夢見 てるこ「枕に炎が!」
夢見 てるこ「うっ・・・前が見えない」
ジョー先生「ううっ・・・眠い」
枕ニキ「ぬふふふふふっ!これで皆んな倒したな!!」
枕ニキ「リア充爆発!!!」
枕ニキ「おや?あそこに寝てる男がいるぞ」
枕ニキ「せっかくだし、あいつもボコボコにしておくか!」
現在AM5時55分。残り5分。
夢見 てるこ「うっ・・・や、やめて」
夢見 てるこ「6時まであと5分なの」
夢見 てるこ「佐伯くんに安眠を・・・」
枕ニキ「はあ?」
夢見 てるこ「佐伯くんは・・・世界平和のために眠ってる」
夢見 てるこ「あんたに邪魔されたくない」
枕ニキ「意味分かんねえこと言ってるんじゃねえ!」
枕ニキ「俺は今すぐに枕が投げたいんだ!!」
枕ニキ「いけ!!!炎枕100連!!!」
夢見 てるこ「まって!!」
佐伯くん「・・・むにゃむにゃ」
夢見 てるこ「佐伯くん!!!!」
夢見 てるこ(大好きな彼を私が守らなきゃ!!!)
枕ニキ「な、何を!!」
夢見 てるこ「恋する乙女をなめるんじゃないわ!」
夢見 てるこ「枕なんて蹴り飛ばしてや・・・」
夢見 てるこ「きゃあ!!」
〇黒
チュッ
〇古いアパートの居間
夢見 てるこ「とろけるマシュマロのような柔らかい感覚・・・」
夢見 てるこ「私、佐伯くんと・・・キスした?」
枕ニキ「うっ・・・」
枕ニキ「眩しい」
枕ニキ「リア充が眩しすぎる!!!」
〇遊園地の広場
佐伯くん「空が眩しい」
佐伯くん「風が気持ちいい」
佐伯くん「なんて清々しい目覚めなんだ!!」
筋肉 つよし「佐伯!遊園地の乗り物全部制覇しような!」
佐伯くん「ああ!もちろんだ!」
夢見 てるこ「佐伯くん、破壊神にならずに良かったね!」
夢見 てるこ「夜中の皆んなの頑張りのおかげだね!」
佐伯くん「ああ」
佐伯くん「だけど、何があったか全く覚えてないんだ」
夢見 てるこ「え?」
佐伯くん「安眠すぎて何一つ覚えていないんだ」
夢見 てるこ「じゃあ、私との・・・あれも」
佐伯くん「あれ?何のことだ?」
夢見 てるこ「えええええええ」
夢見 てるこ「嘘でしょ!?!?!?」
佐伯くん「それより早くジェットコースター乗ろうぜ!」
佐伯くん「早く並ばないと日が沈んじゃうぞ!」
夢見 てるこ「あ、佐伯くん待ってよー!!」
ジョー先生「あ~ねみい。頭いてえ」
ジョー先生(暇だし、佐伯の症状について匿名質問サイトで質問してみるか)
ジョー先生(病を完治させる方法はありますか?っと)
ジョー先生「お、きた」
ジョー先生「なになに、あいつの病を完治させる方法は・・・」
ジョー先生「・・・」
ジョー先生「愛する人からのキスか」
それ以来、佐伯が破壊神になることはなかった
表紙に惹かれて来ました!
何が何だかよくわからないけど、面白かったです!😆
とにかく笑いました!
恋愛要素を感じさせてくれる冒頭からあれよあれよとハチャメチャなコメディに、、、しかしラストは甘い着地!楽しい要素が盛りだくさんですね。
修学旅行がテーマでありながら、全く想定外の奇想天外な展開に笑わせてもらいました! 破壊魔打破が、愛しい人からのキスだったとは、結末が繊細でそれもよかったです。