エピソード1(脚本)
〇実家の居間
今日もあいつの暴力。もう嫌だ
ツヨシ「まったく、このやろう!」
ミユキ「ごめんなさい」
ドカ!バキ!
ミユキ「ごめんなさい、ごめんなさい」
ツヨシ「誰のおかげで飯食えてると思ってんだ」
母さんはあいつのDVに耐えている。僕がなんとかしないと
コージ「……」
〇学校の廊下
コージ「はぁ~」
ソウ「ん?おはよう。どうしたの?そのアザ」
コージ「え?なんでもないよ」
ソウ「そっか。ってかこのグラビア、エロくない?」
コージ「そうか……」
ソウ「いやー、この子なんで可愛いから、すげータイプだよー」
コージ「・・・・・・」
今晩、決行だ
〇けもの道
ツヨシ「なんだ、こんなところに呼び出して」
コージ「・・・・・・」
コージ「母さんを助けるんだ。このクソ親父!」
ブスッ!
ツヨシ「うっ!……て、てめえ」
ドサッ・・・
コージ「はぁ・・・はぁ・・・」
俺は親父を殺ってしまった。でも後悔はしていない
手にはゴム手袋をしている。ナイフに指紋も残っていない。誰にも見られていないから大丈夫だ
〇駅前ロータリー(駅名無し)
コージ「はぁはぁ・・・」
僕は逃げるように走っていた
ソウ「ん?あれ?コージ?」
コージ「はぁはぁ・・・」
ソウ「あぁ。行っちゃった」
〇学校の廊下
はぁ。あいつは死んで当然なんだ
ソウ「おはよー」
コージ「お、おはよう・・・」
ソウ「なぁなぁ、今週のステップのグラビアみた?ヤバいな、あれ」
コージ「え、いや・・・そうか」
ソウ「なんだよ。なんか元気ないな」
コージ「そうかな」
ソウ「あ、そういや」
ソウ「昨日の夜、何してたの」
コージ「え!?」
ソウ「なんか、慌てて走ってたけど」
コージ「・・・・・・」
コージ「お前、見たのか?」
ソウ「見たっていうか、見かけたっていうか」
コージ「そうか」
ソウ「なんだよ、困ってるなら、話くらいは聞くぜ」
コージ「お前、口固い?」
ソウ「もちろん、言うなってことは絶対に言わないよ」
コージ「・・・・・・」
コージ「どんなことでも?」
ソウ「あぁ、約束する」
コージ「放課後、ちょっといいか?」
〇公園のベンチ
俺は正直、どうしていいのかわからなかった
逃げられないとは思うけど、でも自分から言う勇気もない
ソウ「で?なんだよ?」
コージ「実は・・・」
コージ「俺、殺っちまったんだよ」
ソウ「え!?」
コージ「殺ったんだ」
ソウ「ヤッたのか?」
コージ「あぁ、殺ったよ」
ソウ「ヤッたのか・・・」
コージ「・・・・・・」
ソウ「いいなぁ~」
コージ「はぁ?なんでだよ!」
ソウ「いやさ、やっぱ勇気いるじゃん」
コージ「え、そりゃ勇気いるけどさ」
ソウ「ずーっとモヤモヤしてたんだろ?」
コージ「うん、もう我慢できなくて」
ソウ「そうか、お前、大人になったなぁ」
コージ「そ、そうか・・・」
ソウ「で、どうだったんだよ?」
コージ「え!?」
ソウ「ってか、お前、もちろん初めてだよな」
コージ「当たり前だろ!」
ソウ「どんな感じなの?え、相手も初めてだったの?」
コージ「当たり前だろって!」
ソウ「なんか痛いっていうじゃん」
コージ「え。そりゃ痛いに決まってるじゃん」
ソウ「なんだよ、優しくしてやれよ」
コージ「優しくするわけないだろ」
ソウ「なんでだよ」
コージ「ちょっと強引に殺ってやったよ」
ソウ「え!?強引にヤッたの!?すげえな」
ソウ「まぁそれはそれでいいな」
コージ「何言ってんだよ」
ソウ「ってかさ、そのヤる前ってどうだったの?」
コージ「前?」
ソウ「だって、なんか雰囲気作りが大事って言うじゃん」
コージ「あー、まぁ~」
〇けもの道
コージ「母さんを助けるんだ。このクソ親父!」
〇公園のベンチ
コージ「一発かましてやったけど」
ソウ「へー、お前、案外イケイケだな」
コージ「何言ってんだよ」
コージ「あいつは殺られて当然なんだよ!」
ソウ「へー、お前ドSだな・・・」
コージ「どういうことだよ」
ソウ「だってさ、言葉で責めた後に、ヤッたんだろ?」
コージ「そうだけど」
ソウ「でさ、入れた時どんな感じだった?」
コージ「何聞いてんだよ!」
ソウ「教えてくれよ、お前だけずるいぞ」
コージ「なんでだよ。思い出したくもない」
ソウ「え、なんで?」
コージ「普通そうだろ」
ソウ「そうか?」
〇けもの道
ブスッ!
ツヨシ「うっ!……て、てめえ」
ドサッ・・・
〇公園のベンチ
コージ「気持ち悪かったよ」
ソウ「そうなんだ・・・」
コージ「やっぱ血とか出て」
ソウ「お前、生々しいな!」
コージ「お前が聞いてきたんだろ!」
ソウ「だってヤッたんだろ?」
コージ「そうだよ、殺ったよ」
ソウ「相手は初めてだったんだろ?」
コージ「そうだって」
ソウ「じゃあ仕方ないじゃん」
コージ「何がだよ」
ソウ「ってかさ・・・」
ソウ「ちゃんと付けたんだろうな?」
コージ「え?」
ソウ「え?じゃないよ!」
ソウ「ちゃんとゴム付けたんだろうな?」
コージ「ゴム?」
〇けもの道
手にはゴム手袋をしている。ナイフに指紋も残っていない。誰にも見られていないから大丈夫だ
〇公園のベンチ
コージ「当たり前だろ!」
ソウ「そうか、なら大丈夫だな」
コージ「大丈夫じゃないよ・・・」
ソウ「え?」
コージ「俺もこんなことするなんて思ってなかったから」
ソウ「コージ・・・」
コージ「・・・・・・」
コージ「なぁ。俺どうしたらいいかな」
ソウ「うん・・・」
ソウ「でも、ヤッたんなら、責任取らないとな」
コージ「え?」
ソウ「いやそりゃそうだろ。ヤッたんなら、それなりの事しないと」
コージ「うん・・・」
コージ「そうだよな・・・」
ソウ「お前、ヤッた後、どうしたんだよ」
コージ「怖くなって、逃げだしちゃって」
ソウ「それはダメだよ・・・」
コージ「・・・・・・」
ソウ「きちんと相手を見てあげないと」
コージ「うん・・・」
コージ「わかった・・・」
ソウ「うん・・・」
ソウ「おい、どこに行くんだよ?」
〇けもの道
警察「まったく、ひどいことするなぁ・・・」
コージ「あの・・・」
警察「なんだ?こんな時間に」
コージ「・・・・・・」
コージ「僕が殺りました」
警察「なに?」
コージ「僕が、親父を殺りました」
警察「ちょっと話を聞かせてもらおうか」
コージ「はい」
ソウ「え!?コージ、お前何してんだよ?」
コージ「ソウ、ありがと。危うく道を踏み外すとこだったよ」
ソウ「え!?お前、何してんだよ!」
警察「いくぞ」
ソウ「・・・・・・」
ソウ「え!?あいつ人殺したの!?」
シリアスな背景なのに、かなり笑ってしまいました。笑
すれ違いってすごいですね。
きちんと会話できてるところがまたすごいです。
途中までなんか気づかなくて、途中でやっと気づいて、シモネタかいっ!!っとつっこみました。一人は真剣で深刻なのに、(いや、もうひとりも真剣だったけど)、もうひとりは興味津々で、お互い違う内容なのに、話がなりたっちゃって、日本語ってつくづくおもしろいなと思いました。こんなやりとり思いつく作者さんもすごい!!笑わせてもらいました♪
大変なことをしてしまって深刻なのに、まさかの話の食い違いで、面白かったです。ソウくんの今の興味はすべてがエロで、コージくんに比べて健全で幸せな人生歩んでるなあと思いました。