三毒森

深都 英二

不穏(脚本)

三毒森

深都 英二

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〇森の中
  雨笠と伍代がしばらく歩くと、ぽっかりとひらけた場所に辿り着いた。
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「ここは・・・!」
伍代 炫 (呪術師)「なんかここだけ霧が薄いですね」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「そうだね。それに地面にやたら砕けた石が転がってるけど・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「これは何だろう・・・」
伍代 炫 (呪術師)「ああ、なるほど。ここが例の・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あれ!雨笠さーん!伍代さーん!」
「あ!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「おーい!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「二人とも無事だったんですね!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「二人とも元気そうでよかった」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「みなさんもご無事で何よりです」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「さっきそこで合流したんですよ」
ミラクル幸運 (霊媒師)「人の気配を・・・辿ってきたら・・・飛田さんたちと合流できました・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「ミラクル幸運さん。だいぶお疲れのようですが大丈夫ですか?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「心配無用です」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「いやー大変だったんだよ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「私がいなかったらどうなっていたことか」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「え?何があったんですか?」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「三毒だよ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「でかい鶏の化け物がいきなり現れて、あやうく死にかけたんだ!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「今考えただけでも恐ろしい」
ミラクル幸運 (霊媒師)「ちょっと想定外のことが起きまして・・・」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「私がなかったら、今頃は二人とも食われていただろう」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「それは大変でしたね」
ミラクル幸運 (霊媒師)「教授だって女に気を取られていたくせに」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「ん?何か言ったかね?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「いや、別に」
吉良 晴明 (陰陽師)「鶏の化け物・・・貪欲か」
吉良 晴明 (陰陽師)「ミラクル幸運さんは、内海教授のそばにいなかったんですか?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「だから、想定外のことが起きたんですよ!」
ミラクル幸運 (霊媒師)「まあ、私の霊力で無事封印することができたのでご安心を」
吉良 晴明 (陰陽師)「ふっ・・・非能力者の力を借りるとはな」
ミラクル幸運 (霊媒師)「封印できたからいいじゃないですか!」
ミラクル幸運 (霊媒師)「そういうあなたたちは、何をしていたんですか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「私たちも三毒と戦いましたよ」
ミラクル幸運 (霊媒師)「何・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「三毒の「瞋恚」。蛇の化け物だった」
吉良 晴明 (陰陽師)「もちろん私は「一人で」倒せましたが」
ミラクル幸運 (霊媒師)「ふんっ・・・」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「飛田さんも瞋恚を見たんですか?」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「いや、姿は見たんですが、途中で気を失ってしまって・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「封印の瞬間は見れなかったんですよ」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「そうだったんですね。それは残念・・・」
伍代 炫 (呪術師)「封印石は持ってきました?」
吉良 晴明 (陰陽師)「え?ああ。ほら、これだろ?」
伍代 炫 (呪術師)「蛇か。やっぱこれにも模様があるんだ」
吉良 晴明 (陰陽師)「これにも?」
伍代 炫 (呪術師)「ほら、これ。「愚痴」の封印石」
伍代 炫 (呪術師)「ここに豚の模様があるでしょ」
吉良 晴明 (陰陽師)「なっ・・・!それをどうやって?」
伍代 炫 (呪術師)「愚痴を倒した後に、この石が置かれていたんです」
吉良 晴明 (陰陽師)「まさか愚痴と戦ったのか!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「伍代さん、すごかったんですよ!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「最後は愚痴が大爆発。あっという間に封印しちゃいました」
吉良 晴明 (陰陽師)「なるほど。呪術師というのは本当だったわけだ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「伍代さんって、まじで呪術師だったんですね」
伍代 炫 (呪術師)「ひどいなあ。みんな疑ってたんですか?」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「いや!ほら、伍代さんって若いし、なんか俺がイメージしてた呪術師と全然違うから・・・」
伍代 炫 (呪術師)「あはは!よく言われます」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そういえば、この場所は何ですかね?」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「ここだけ異様な感じがしますが・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「ここが例の封印の場所ですよ」
吉良 晴明 (陰陽師)「1000年前に僧侶が三毒を封じ込めたとされている」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え!?ここがあの伝説の・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「飛田さんの足元にも散らばっているでしょう」
吉良 晴明 (陰陽師)「それ、砕けた三毒の封印石の欠片ですよ。やはり落雷で壊されたんでしょうね」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわっ!これが!?」
吉良 晴明 (陰陽師)「ここに長居は無用。早く封印しましょう」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そ、そうですね!祟られたくないし・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「ほら、ミラクル幸運さん。あなたも早く封印石を出してください」
  ミラクル幸運は自分の服をあちこち見回しながら、青ざめた顔をしている。
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「・・・どうしました?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「・・・ない」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え?」
ミラクル幸運 (霊媒師)「ここに入れたはずの封印石がない!」
ミラクル幸運 (霊媒師)「たしかに持ってきたはずなのに!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「えー!何やってるんですか!」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「もう一度よく探してみてください!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「封印石ならここだよ」
  内海の手には貪欲の封印石が握られていた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「なんだ。内海教授が持っていたんですね」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「ああ、よかった!焦りましたよ」
ミラクル幸運 (霊媒師)「え・・・いつの間に!?」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「あれ?封印石って、僕らみたいな非能力者が触るとヤバいんじゃなかったっけ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あ・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「内海教授!早くそれをミラクル幸運さんに渡してください!」
内海 太蔵 (怪異伝承研究センター教授)「いや、これは私が預かる」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え?」
雨笠 栗栖 (妖怪ミステリー小説家)「内海教授・・・?」
伍代 炫 (呪術師)「・・・まずいな」

次のエピソード:暴走

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