『シー』(脚本)
〇地球
《報告》
「あなたは神を信仰してますか?
それとも信仰していませんか?」
に対してのアンケート調査結果
〇全世界集計
信仰してる:73.1%
全く信仰してない:18.2%
無回答:8.7%
〇無神論者人口割合(国別)
3位:J国 29.4%
2位:Ch共和国 67.6%
──────1位:X国 99.9%
〇海岸の岩場
X国、とある浜辺
今回は地域住民からの「密告」で
国民の「反逆行為」が判明した。
風とガソリンのお陰で、
海外の聖書や経典、人間もよく燃えた。
裏切り者は有機物・無機物問わず、
俺たち「執行官」が粛清を行う
男「こっちは終わったぞ~・・・ゲホッ 人間の焼ける臭いって、やっぱ独特だわ」
「彼女」「体毛に硫黄成分が入ってるからよ 身体壊すから吸いすぎ厳禁」
男「・・・ホント物知りっすね先輩 将来ハカセとかになれたんじゃねーの?」
「彼女」「・・・そんな事より 終わったならさっさと上に報告するわよ」
男「へーへー、りょうかーい」
〇個別オフィス
上司「監察官からの報告も済んでいる ご苦労だったな、焼肉でも食べるか?」
男「・・・ワザと言ってますよね?」
上司「アハハハハ!ジョークだよジョーク! ゆっくり休め!明日もよろしくな!」
「彼女」「上から命令下してるだけの奴は 執行官(こっち)の気持ちなんて関係ない」
「彼女」「向こうはただ、 ノルマ上げたいだけなんだから」
男「・・・転職してーわホント 何でこんな仕事やってんのかね、俺ら?」
「彼女」「そういう”ご身分”だからでしょ? 弁えなさいよ、そういう発言」
男「分かってますよォ~、先輩 ちょっとムカついただけですってェ・・・」
男「・・・・・・手に職つけてても、 手が放せないんじゃあ、話にならねーや」
このX国では、「唯一思想」という
独自の支配体系を取っていた。
国家元首への絶対的服従。
反乱分子の助長防止策として、
あらゆる宗教への信仰は重罪扱い。
〇モヤモヤ
そして、互いが互いを監視し合う
「隣組」という思想体制を敷き
より閉鎖的な国となっていった
〇堤防
早朝
「彼女」「景気はどう?」
男「始めたばかりっすよ? 「ボウズ」に決まってるって・・・」
男「・・・なんで「釣果ゼロ」の事を 「ボウズ」って言うんだか」
「彼女」「餌に食い気がない=毛がない説とか 魚食べれない=仏教で殺生出来ない坊主説」
「彼女」「なんか諸説あるらしいよ」
男「先輩は何でも知ってるなぁ 「神さま」かナンカですか、マジで」
「彼女」「ムダ知識ばかり授ける「神さま」なんて いない方がマシじゃない?」
男「──そんな事無いっすよ 色々教えて貰えるから、頼りにしてるんで」
「彼女」「・・・」
〇朝日
「彼女」「あのさ・・・ 私ってそんなにハカセみたい?」
「どうしたんすか急に」
「彼女」「私、昔から海で遊ぶの好きでさ? 海の生き物ハカセになりたかったなぁって」
「思い出しちゃった訳ですか」
「彼女」「この仕事してるウチは絶対無理だけどね」
「・・・・・・」
「!!!」
「かかった!!」
〇堤防
「彼女」「初めて見る魚~! 何か浅瀬には棲んでなさそうだけど・・・」
男「食べたら美味しいんすかね?」
「彼女」「早速朝ごはんのオカズ行きかな~?」
〇朝日
遥か海の向こうへ向かって
陸地からミサイルが発射されたようだ
上のヤツらは「何」と戦っているのか
・・・俺たちは知らない。
ミサイルに向かって敬礼をする。
そういう、「決まり」だから。
「ミサイルって何の為に撃つんだろ? 人間殺すなら銃で十分だろ?」
「彼女」「・・・人間より大きな物を倒す為じゃない?」
「──例えば?」
〇黒背景
──『神さま』とかじゃない?
〇個別オフィス
数日後
上司「今日も「オカミ」から粛清の依頼が来ている 仕事に励めよ?」
男「・・・何で上の人達のこと 「オカミ」って言うんですかね」
上司「さァね、さっぱり分からねェや ・・・でも俺の考えではこうだ」
上司「”「神さま」みたいに偉いから” どうだ?それっぽいだろ??」
男「先輩がいれば、教えてくれるんだけどな」
男「何でか今日は、姿が見えない」
〇海岸の岩場
女性「この子アレじゃない? ウチらと同じ・・・」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
宗教って本来は人を救うものなのに、こんなことになってしまって…。
他の宗教や思想を認めない考え方から争いは起きるんですよね。
宗教とは本来、幸福追求の選択肢のはずなんですけどねぇ、どうしても思想統一や他者の洗脳とかの副次効果がデカすぎて、きな臭くなりがちなのが良くも悪くも特徴ですよね。
なんとなくX国はポル・ポト政権下のような状況かなと思い読んでました。
ディストピアァ…
99.9%神を信じない国は徹底してますね
「知識人狩り」を彷彿とさせる徹底ぶり
(逆に海の向こうには99.9%神を信じる国もあるのかな…?)