第一話 鍵(脚本)
〇商店街
赤崎レン「未完成なものほど面白い」
赤崎レン「そう思うのは僕がひねくれているからだろうか」
赤崎レン「ユーザー全員が楽しめるように完璧に配慮され、難易度の調整も抜かりない」
赤崎レン「そんなゲームをクリアしても、作成者の掌の上で転がされたような気がしてならないのだ」
赤崎レン「だから僕はクソゲーが好きだ」
赤崎レン「明らかに序盤にしては強すぎる敵、役に立たない道具、突如襲い掛かる予測不可能なバグ」
赤崎レン「これらの理不尽をすべて乗り越えて、ゲームをクリアした時、僕は至上の喜びを感じることができるのである」
赤崎レン「さて今日はどんなゲームが見つかるか」
街の古ぼけたゲーム屋のワゴンを漁るレン
赤崎レン「さっすが一律50円・・・・・・ クソゲーの香りがぷんぷんする」
赤崎レン「3000円以上はあるはずだけど、夏休みもあと7日しかないし、1本クリアするくらいで限界かな」
赤崎レン「あっ、これは・・・・・・」
赤崎レン「ゲームボードのソフトだ!」
赤崎レン「たしかどこかの研究所が開発に関わったけど、面白くなさ過ぎて全然売れなかったという、幻のソフト!!」
赤崎レン「欲しかったけど、どこにも売ってなかったんだよなあ」
赤崎レン「こりゃ、いいもの見つけた!!はやく帰ってやりこまなきゃ!!」
〇学生の一人部屋
帰宅し、ゲームボードの用意をするレン
赤崎レン「よし、やるか!!」
赤崎レン「ゲーム、スタート!!」
ようこそ、「リアルPG」の世界へ
赤崎レン「黒い背景に白い文字。がびがびの画質。そして、最高にだっせえタイトル・・・・・・完璧だ!!」
あなたの名前 を入力してください
赤崎レン「レンっと」
レン さんですね。あなたには今から魔王を倒す冒険に出ていただきます。冒険の準備はよろしいですか?
赤崎レン「文字数に合わせる気のない雑なプログラム。やっぱこうでなくっちゃ!!」
▶はい
␣いいえ
赤崎レン「こういうのってちょっと逆の選択肢選んでみたくなるよなあ」
␣はい
▶いいえ
もう一度、答えてください。
冒険の準備はいいですか?
▶はい
␣いいえ
赤崎レン「もう1回だけ・・・・・・」
␣はい
▶いいえ
もう1度答えてください。
冒険の準備はよろしいですか?
赤崎レン「あー、ループする感じか。 おっけー、普通に進めていこう」
赤崎レン「いや、なんかさっきと違うような・・・・・・」
赤崎レン「読点が消えてる?」
赤崎レン「ループ処理ならまったく同じ表記になるはずだけど・・・・・・」
赤崎レン「何かあるのかも。試してみよう」
レン、10回連続で「いいえ」を選んでみる。
赤崎レン「うーん。やっぱり変化なしか」
赤崎レン「なんかあると思ったけど、しかたない。普通に進めるか」
赤崎レン「あと、一回だけ」
もう1度答えてください。
冒険の準備はよろしいですか?
␣はい
▶いいえ
・・・・・・
赤崎レン「あれ?」
時間がありません。
強制的に連れていきます。
赤崎レン「え?あ、めまいが・・・・・・」
赤崎レン「うう・・・・・・」
それでは、頑張ってください。
魔王を、倒せるまで。
薄れゆく意識の中で、レンは最後までゲーム画面を見つめていた。
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
クソゲー好きなので、ツボにハマりまくりでした!面白い!続きが楽しみです!
いきなり、強敵に殺される!
しかも説明なし!
今までいろんなクソゲーをやってきました。このストーリーの様なゲームに参加できる設定は良いですね。斬新です。少年の活躍を見てみたいです。