第4話 恋愛騒動!(脚本)
〇教室
リンが転校してきて数日が経った。
ハナ「それでね。 ナイトくんはね──」
リン「へー、そうなんだ」
ナイト「なに話してるんだ?」
ハナ「あ、ナイトくん」
ナイト「なんか俺の名が聞こえた気がしたけど」
リン「女の子同士の秘密の会話よ。 ね、ハナさん?」
ハナ「そ、そうなの。 ごめんね、ナイトくん」
ナイト「ふ~ん?」
それを聞くと、
ナイトは空気を読んで離れる。
ハナ「ほっ・・・」
リン「・・・」
リン「それにしてもハナさん。 ナイトくんのこと、好きね?」
ハナ「え、あ、え!?」
ハナは顔を真っ赤にしてうろたえる。
女子学生1「今さらなに照れてるのよ」
女子学生1「ハナがナイト好きなのは、 クラス中に周知の事実じゃない」
リン「あら、そうなの?」
ハナ「う、う~」
女子学生1「告白はまだかって、 ずっと言われてるのよ」
リン「そうなんだ」
リン「ハナさん、告白しないの?」
ハナ「え、えっと・・・」
リン「しないなら、 私が告白、しちゃおうかなー?」
ハナ「えっ!?」
女子学生1「あら~。 ハナ、ライバル登場よ?」
女子学生1「まあ、ナイトは成績そこそこ、 スポーツ万能、顔もそこそこだしね~」
女子学生1「もしかしたら他にも気になってる人が──」
ハナ「そ、それはイヤ!」
女子学生1「じゃあ急ぐことね?」
女子学生1「そうだ。 放課後に会議をしましょう」
ハナ「え?」
女子学生1「ハナ。リンさんでもいいけど」
女子学生1「ナイトに告白するための秘密会議」
リン「あら、面白そう」
ハナ「え、あれ、決まり・・・なの?」
女子学生1「もちろん。 いい加減、見てるこっちの身にもなりなさい」
ハナ「う、う~ん?」
なかば強引に、
ハナは女子たちの会議に巻き込まれるのだった。
〇開けた交差点
ナイト「・・・」
その日、ハナが女子たちに連れていかれ
ナイトは一人、帰路についていた。
ナイト(一人で帰るのも久しぶりだな)
ナイト(だいたいいつも、ハナがいるからな)
ナイト「・・・」
ナイト(今日はなに話してたんだろうな)
ナイト(俺の名前が聞こえたから、 俺の噂でもしてたんだろうか?)
ナイト(それとも・・・)
学生1「よー、ナイトじゃねえか!」
学生1「ってあれ? 今日は一人か?」
ナイト「ハナは、 なんか他の女子たちに捕まっててな」
学生1「ほーん」
学生1「じゃ、こっちは男同士でちょっと話さねえか?」
ナイト「・・・まあいいけど」
2人は飲み物を買い、話し始めた。
学生1「さっそくだけどよ」
ナイト「ん?」
学生1「お前、姫野のこと、どう思ってんだ?」
ナイト「ごふっ!?」
ちょうど飲み物を口に運んでいたナイトは
盛大にむせる。
ナイト「ごほっ・・・ごほっ・・・。 なんだよ急に」
学生1「女子たちがコイバナしてたからさ。 こっちも気になってな?」
学生1「で、どうなんだ?」
ナイト「どうって・・・」
ナイト「大事な・・・幼なじみさ」
学生1「・・・」
学生1「好きじゃねえのか?」
ナイト「・・・」
ナイト「好き・・・さ」
学生1「おっ!」
ナイト「だけど、今のままでいい」
学生1「なんで?」
ナイト「好きとか言ったら、距離が変わるかもしれない・・・だろ?」
学生1「・・・」
学生1「お前がそう言うなら、 俺はなにも言わねえけどよ」
学生1「お前らがそんな距離が変わることは ないと思うぜ!」
学生1「また明日な!」
ナイト「ああ、明日な」
ナイト「って、あいつ。 こっちにばかり話させて、 自分は何にも話さないでいやがる」
ナイト「まあ、いいか」
ナイトは再び帰路についた。
〇開けた交差点
リン「すっかり遅くなっちゃったわね」
ハナ「リンさんまでいろいろ聞いてくるから~」
リン「ちゃんでいいわよ」
ハナ「リンちゃんが~」
リン「はいはい。ごめんなさい」
ハナ「もう~」
ハナ「・・・」
ハナ「ねえ、リンちゃん・・・」
リン「うん?」
ハナ「リンちゃんもナイトくんが好きなの?」
リン「気になる?」
ハナ「・・・うん」
リン「好きか、って言われたらわからないわ」
リン「でも、気にはなってるわね」
ハナ「!」
リン「大丈夫。 ハナちゃんから彼を奪おうなんて 思っていないから」
ハナ「どうして、ナイトくんが気になるの?」
リン「この前ちょっと、 助けられたから・・・かな?」
ハナ「助けられた?」
リン「そう」
リン「逆に訊きたいのだけど」
リン「ハナちゃんはいつから、 ナイトくんのことが好きなの?」
ハナ「それは・・・」
〇広い公園
ある公園。
そこでいかにもな悪人にからまれている
幼少期のハナ。
悪人「おらあっ! ぶつかったんだから慰謝料よこしな!」
ハナ(少女)「ご、ごめんなさい!」
悪人「謝るだけじゃねえ! 慰謝料払えって言ってんだ!」
「やめろー!」
悪人「あん?」
ナイト(少年)「ハナをいじめるな!」
悪人「なんだ、ガキ! ぶっ殺されてえか!」
ナイト(少年)「おじさんがハナにぶつかったんだろ!」
ナイト(少年)「ハナは悪くない!」
悪人「ガキー!」
〇開けた交差点
ハナ「それでね、ナイトくんが助けてくれたの」
リン「その時の恐いお兄さんは?」
ハナ「えっと・・・あれ? どうなったんだっけ・・・」
ハナ「わたし、泣いていたから、 よく見てないの」
ハナ「でも、その時から、 ナイトくんは、わたしのヒーローなの!」
リン(ヒーロー・・・か)
ハナ「リンちゃん?」
リン「ううん、なんでもない。 それにしても・・・」
リン「ヒーローすきのナイトくん。 ナイトくんがヒーローのハナちゃん」
リン「お似合いね?」
ハナ「も、もう!」
2人の話が盛り上がる中・・・。
ハナ「な、なに?」
リン「!」
一台の車が、2人の前に停まる。
召使い「鎧 凛さま 姫野 花さま でございますね?」
リン「貴方は?」
召使い「わたくし、金谷財閥に勤める召使いでございます」
召使い「ご主人様がお二方にお会いしたいと」
リン(金谷財閥・・・。 世界でも有数の財閥だけど)
リン(その裏ではかなりあくどいこともやっているって聞いたことがあるわ)
リン(そんな人が私たちに用?)
召使い「警戒されるのもわかります」
召使い「ですが我々も穏便に済ませたいのです」
召使い「来てもらえますな・・・?」
召使いの目は有無を言わさぬ迫力があった。
ハナ「・・・」
リン「わかりました」
ハナ「リンちゃん・・・?」
リン「ハナちゃん。ここは従いましょう」
ハナ「で、でも!」
リンが回りを見るように促す。
回りには隠れるように、
怪しい男たちが囲んでいた。
ハナ「!」
リン「大丈夫よ、ハナちゃん」
リン「いざとなったら私が守ってあげるから」
召使い「では」
リンとハナは金谷財閥の車に乗り込む。
車は夜の街を疾走し消えていった。