三毒森

深都 英二

狡猾(脚本)

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〇けもの道
瞋恚「愚かな人間よ。もう諦めろ」
瞋恚「お前も私の一部となり、永遠の憎しみの中で生きるのだ!」
吉良 晴明 (陰陽師)「・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「ふっ・・・」
瞋恚「何が可笑しい?」
吉良 晴明 (陰陽師)「瞋恚は、三毒の中で最も狡猾」
吉良 晴明 (陰陽師)「弱ったお前が狙うとしたら、私ではなく非力な飛田さんだとわかっていた」
瞋恚「何・・・?」
吉良 晴明 (陰陽師)「だから、仕込んでおいたんだよ」
吉良 晴明 (陰陽師)「分身をな!」
瞋恚「何だと・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「そう、お前が丸呑みしたのは・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「私が式神で作った、飛田さんの分身だ」
瞋恚「まさか・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「最初の攻撃でお前を倒した時、土煙に乗じて飛田さんの分身を作った」
吉良 晴明 (陰陽師)「土煙がいい目隠しになったよ」
吉良 晴明 (陰陽師)「お前の攻撃に苦しんでいた飛田さんは、すべて幻術だ」
吉良 晴明 (陰陽師)「本物の飛田さんは、後ろの草むらで眠っているよ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「・・・」
瞋恚「くそっ!小賢しいことを!」
吉良 晴明 (陰陽師)「小賢しいついでに、もう一つ教えてやる」
吉良 晴明 (陰陽師)「私がなぜお前に分身を丸呑みさせたと思う?」
瞋恚「何・・・?」
吉良 晴明 (陰陽師)「分身には呪符が仕込んである」
瞋恚「な、何だと・・・!まさかお前!」
吉良 晴明 (陰陽師)「怒りで冷静な判断を失ったお前の負けだ」
吉良 晴明 (陰陽師)「怒りの化身であるお前が、怒りに足元をすくわれるとは皮肉なものだな」
瞋恚「くそっ!こうなったらお前ごと・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「──静かに眠れ、瞋恚」
吉良 晴明 (陰陽師)「爆!」
瞋恚「ギャアアアアアアアア!」
  瞋恚がいた場所には、石が一つ残されていた。
  石には、大蛇の模様が刻まれている。
吉良 晴明 (陰陽師)「これが、瞋恚の封印石か」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「っ・・・今の音は・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「ああ、目が覚めましたか」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あれ・・・俺、また気を失ってたんですか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「安心してください。瞋恚は倒しました」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え?いつの間に!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「すみません・・・何のお役にも立てず」
吉良 晴明 (陰陽師)「いえ、飛田さんのおかげで封印できました」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え?どういうことですか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「まあ、とにかく封印できたからいいじゃないですか」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そうですね!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「でも残念です。封印の瞬間を見逃すとは・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「ところで、その石は何ですか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「ああ、これ。封印石みたいです」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「封印石!じゃあ、それをあと二つ集めれば、三毒を完全に封印できるんですね!」
吉良 晴明 (陰陽師)「そうですね。あと二つ」
吉良 晴明 (陰陽師)「そういえば、遠くの方で爆発音が聞こえた気が・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「え?内海さんたちでしょうか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「わかりません。とにかく先を進んでみましょう」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そうですね!」

次のエピソード:布石

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