団体デートは秘密がいっぱい(脚本)
〇遊園地の広場
あきさん「葉子ちゃんは絶叫系とメルヘン系どっちが好き?」
私「どっちも好きですが、今日はジェットコースターに乗って絶叫したいかも」
私(せっかく来たんだし、楽しまなきゃね)
はやとさん「遊園地といえばジェットコースターですもんね。私も大好きです」
私「はやとさんがジェットコースター好きって、なんか意外です」
ながさん「・・・」
あきさん「ごめん、葉子ちゃん。ちょっとおトイレに行ってくる。このベンチに座って待ってて」
はやとさん「私は高校生の時、立って乗るジェットコースターに乗った事があるんです。 たまたま1番前になって、怖かったけど楽しかったなぁ」
私「立ってですか?どうやって体を固定するんですか?」
はやとさん「サドルの様な座る場所があって、肩に安全バーが降りてきたんです」
はやとさん「今日は映画を見るつもりでスーツを着てしまって、失敗しました。 こんな事なら・・・」
はやとさん「そうだ、着替えて荷物をロッカーに入れて来ますね」
私「はい」
私「長さんは、ジェットコースターが苦手なんですか?」
ながさん「そうなんだよ。怖いっていうより、体調が悪くなって吐いた事があって」
私「三半規管が弱いのかな? 無理しないでくださいね」
ながさん「ありがとう。 葉子さん、三半規管ってどんな形をしているかしってる?」
私「ワラビみたいですよね。初めて三半規管の絵を見た時思ったんです」
ながさん「確かに似てるけど、普通カタツムリに似てるとか言わない?ワラビって表現が面白いね」
私「そうかな?前に、お母さんと山菜採りに出かけた事があって。それ以来ワラビが好きなんです。だからなんとなくそう見えて」
ながさん「お母さんと仲が良いんだね」
私(あ、この人の声、やっぱり素敵だな)
ながさん「葉子さんと話して、リラックスしたよ。ジェットコースターにも乗れる気がしてきた。 その前に俺もトイレに行ってくるね」
私(三人とも悪い人じゃなさそう。良かった。 でも、二人は偽者なのよね。何が目的かな?)
私(多分あの人は本物の秋長さん、あの人はただのナンパ、じゃああの人は?)
私「ミステリーゲームみたい。面白いなぁ」
〇大樹の下
刑事「こちら売店裏です。 本物の秋長さんの確認がとれました。 なのであの二人は偽者です。 調べましたがなぜか二人共正体不明です」
刑事「こちら入口附近です。いっその事、谷原さんを保護して、偽者二人を捕まえないか?」
偽秋長のうちのひとりが、仲間の刑事達と無線機で連絡を取っている
秋長を名乗る刑事「いや、どちらかが犯人だとしても連続殺人の証拠がない。 尻尾を出さないうちに捕まえたら、上手く逃げられるかもしれない」
刑事「了解。犯人で無い方の動向も気になるな。十分気をつけろよ」
〇駅前広場
「秋長という連続殺人犯が次のターゲット・谷原葉子に接触する。場所と時間は···」と匿名で電話があったのは今朝の8時半
通報を信じてもいいのか?もし事実でも証拠もなく逮捕できない。
結局、谷原さんに事情を話し協力してもらう事にした
秋長を名乗る刑事「まずいっ、時間ギリギリだ」
私(どうしよう⋯秋長さんってどの人かな?)
秋長を名乗る刑事(どうしよう⋯刑事だと名乗っている間に、ヤツが来たらまずい。逃げられるよな)
タイミングが掴めず、苦肉の策で自分が秋長だと名乗ってしまった。
これで彼女の側にいられる。
しかし、計画とはいえ、彼女を巻き込んで良かったんだろうか?おとり捜査になるんじゃないか?
〇大樹の下
秋長を名乗る刑事「わかった。次はジェットコースターに乗る。 引き続き護衛と監視をたのむ」
刑事「了解」
刑事「了解」
秋長を名乗る刑事(どちらかは本当に殺人犯なのか?もうひとりは一体何者だ・・・もしかして通報者か?)
秋長を名乗る刑事(まずは二人の指紋を何とかして取りたい)
とにかく、脳天気な彼女を守らなくては!
〇学校のトイレ
秋長と名乗る別の人物
秋長を名乗る殺人鬼(なんだ、何者なんだあの二人は?)
男はトイレの個室で考えていた
秋長を名乗る殺人鬼(ただのナンパか? あるいは、連続殺人事件の糸口を探している刑事かもしれないな。 しかし、捕まらない自信はある)
秋長を名乗る殺人鬼(証拠は何も残していない。 疑われても上手く切り抜けられるはず)
ニヤニヤ笑いが止まらないよ。
〇大衆居酒屋
今回の計画も運良く上手くいった。
秋長「やった!先輩、女の子紹介してくれるんですか?妹さんのお友達?」
女の子を物色しようと潜り込んだ、見ず知らずのサークルの飲み会。
秋長隼人という人物が、女の子を紹介してもらうと喜んでいる
秋長を名乗る殺人鬼「(偽秋長) 聞こえたよ。デート〜良いなぁ。 でも女の子が二人来るんだよね?僕も行ったらダメかな?」
秋長「いいと思うよ。先輩の妹さんのエイコさんって子に連絡とってみるけど」
秋長を名乗る殺人鬼「よろしく!ちなみに秋長君の電話番号教えて」
秋長も周りも、ここにいる自分が無関係な人間だと気づいていない
〇駅前広場
今朝、秋長に電話した。
秋長を名乗る殺人鬼「(偽秋長) エイコさんから連絡があったよ。 待ち合わせ時間を1時間遅らせて、だって」
秋長「そうなんだ。僕には連絡がないけど・・・。 わかった」
そうして谷原葉子に近づいた。
邪魔な奴らも一緒だが、まぁ何とかなるさ
彼女が恐怖で泣く姿を早く見たい
〇メリーゴーランド
そして⋯
もう1人の偽秋長が、これからどうすれば良いか考えていた
秋長を名乗る未来人「何だかまだ夢を見ているみたいだ」
秋長を名乗る未来人(・・・)
怒涛のサスペンス的な展開に息を飲みましたっ! 名前を語った三人の目的や事情がじわりじわりと分かってきました。うわ~、この先どうなっちゃうんだろう。続きが読みたくなりました♪