三毒森

深都 英二

犠牲(脚本)

三毒森

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〇けもの道
吉良 晴明 (陰陽師)「飛田さん!しっかりしてください!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「はっ・・・!ここは・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「どうやら気を失っていたようです」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「そうか・・・急に気分が悪くなって・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「あれ?他の人たちは?」
吉良 晴明 (陰陽師)「わかりません」
吉良 晴明 (陰陽師)「目が覚めたら、飛田さんしかいませんでした」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「おいおい・・・まじかよ・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「ここは三毒森です。正直何が起こっても不思議はありません」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「ど、どうします?他の人たちを探しに行きますか?」
吉良 晴明 (陰陽師)「むやみやたらに歩き回るのは危険です」
吉良 晴明 (陰陽師)「それにこの霧のせいで、まともに周りも見えない」
吉良 晴明 (陰陽師)「とりあえず目の前の道を進みましょう」
吉良 晴明 (陰陽師)「三毒が出てきたら、私の陰陽術で退治してやりますよ」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「た、頼りにしてます・・・!」
  しばらく森の中を進むと、急に飛田は息苦しさを感じた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「ぐっ・・・何だか急に息が・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「どうしたんですか?」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「なんか息苦しくて・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「息が苦しい?どういうことだ・・・」
  吉良が飛田に向かって呪文を唱えると、飛田の首に蛇が巻きついているのが見えた。
吉良 晴明 (陰陽師)「これは・・・!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「てめぇ・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「っ・・・!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「さっきから黙って見てないで、早く何とかしろよ!陰陽師なんだろ?」
吉良 晴明 (陰陽師)「飛田さん・・・?」
  大きく見開いた飛田の両目は焦点を失っており、明らかに様子がおかしい。
吉良 晴明 (陰陽師)「落ち着いてください!飛田さん!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うるせえ!」
  飛田が吉良に殴りかかろうとした時──
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「・・・あれ・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「戻ったか・・・」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「俺・・・何して・・・」
吉良 晴明 (陰陽師)「怒り・・・三毒の呪いですよ」
吉良 晴明 (陰陽師)「もう大丈夫です。飛田さんの首に巻きついていた蛇も消えました」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「へ、蛇!?」
吉良 晴明 (陰陽師)「・・・知らない方がよかったですね」
吉良 晴明 (陰陽師)「はっ!」
吉良 晴明 (陰陽師)「危ない!」
  飛田が足元を見ると、地面からうじゃうじゃと無数の蛇が湧いてきていた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわあああああ!」
吉良 晴明 (陰陽師)「くそっ・・・!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「た、助かった・・・!ありがとうございます!」
吉良 晴明 (陰陽師)「怒り・・・蛇・・・やはりこれは・・・」
「なっ・・・!」
  突然、目の前に体長20mほどの大蛇が現れた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわっ!何だこれは!」
吉良 晴明 (陰陽師)「やはり・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「間違いない。三毒の一つで、蛇の怪物の姿をしている怒りの化身」
吉良 晴明 (陰陽師)「瞋恚(しんに)!」
  瞋恚は巨大な口を裂けんばかりに開き、今にも襲いかかってきそうな勢いで威嚇音を放った。
瞋恚「お前たちの心に潜む怒りや妬み・・・」
瞋恚「卑しい心で満ちた人間どもよ!」
瞋恚「終わらない憎しみの中で果てるがいい!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「吉良さん!早く何とかしてください!」
吉良 晴明 (陰陽師)「私にお任せを。飛田さんは下がっていてください」
  吉良は陰陽術を使って、火・水・雷の式神を召喚した。それぞれの式神が、瞋恚に向かって一斉に攻撃した。
瞋恚「ギャァァァァァァ!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「すごい・・・これが陰陽術!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「倒せたのか・・・?」
吉良 晴明 (陰陽師)「まだだ!」
  土煙の中から瞋恚が飛び出し、飛田の体に巻きついた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわあっ!」
吉良 晴明 (陰陽師)「くそ・・・!」
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわあああ!助けてくれ!」
  瞋恚が飛田を締め上げた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「やめろおおおおお!」
  瞋恚が締め上げる力を強めると、ギシギシと飛田の全身の骨が軋む音が聞こえた。
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「ぐああああああ!」
吉良 晴明 (陰陽師)「やめろ!こいつ!」
瞋恚「もう終わりだ」
  瞋恚が紙クズでも投げるように、ポーンッと空に向かって飛田を放り投げた。

〇空
飛田 甚平 (オカルト雑誌編集長)「うわあああああ!」

〇血しぶき
  バクッ!ゴクンッ!
  瞋恚が飛田を丸呑みした。

〇けもの道
吉良 晴明 (陰陽師)「っ・・・!」
吉良 晴明 (陰陽師)「そ・・・そんな・・・!」

次のエピソード:狡猾

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