シェアハウス「戦国武将」4_ぶらぶら美術館

おば3は見ていた

エピソード1(脚本)

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〇美術館
  伊達政宗と女性が美術館で西洋画を鑑賞している
桜「これは、クラーナハのゲッセネマの祈りです。1518年ごろに制作されました。ルネサンス期の芸術になります」
伊達政宗「その頃、日本は?」
桜「戦国時代ですね」
伊達政宗「おお!」
桜「こちらは、ジョルジョ・ヴァザーリのゲッセネマの祈りです。1570年ごろに作成されました」
桜「制作時期が50年違うと、人間の表現が違うのがお分かりになるかと思います」
伊達政宗「ええ、こちらの方が、すごく生身の人間のようです。でも、この時期も、まだ日本は戦国時代なのですよね。驚きです」
桜「西洋ではルネサンスという人間回帰の運動が起こっていましたので、形式美を追い求める様式から人間的な表現に移っていきました」
伊達政宗「なるほど」
織田信長「あまり近くには寄れんからのお。2人でバテレンの絵画を見て何を話しておるのかのお」
真田幸村「私は山奥に居りましたので、バテレンの絵画を見る機会はなかったのですが、キリストは、あちこち釘を打たれて痛そうですねえ」
織田信長「幸村殿はどこを見ておる。しっかり政宗殿を見張って居ってくれないと困るではないか」
真田幸村「そうは言いましても、西洋美術館の常設展なんてガラガラで、見張ってなくても、大丈夫ですよ」
織田信長「いや、そうではない。我々に黙って抜け駆けをした事が許せん」
真田幸村「ああ、桜さんですね。向かいのマンションに住む、美術大に通う女子大生です」
織田信長「幸村殿も知っておったのか?」
真田幸村「ええ、ごみ捨ての時にお会いしてご挨拶いたしますので。政宗殿も、そうだと思いますよ」
伊達政宗「このルーベンスというのは、もう少し後の時代になりますか?眠る二人の子供という、この絵画は実に愛らしい」
桜「そうですね。1612年ですから、江戸時代。2代将軍秀忠の頃ですね。大坂冬の陣の少し前かと」
伊達政宗「日本はまだ戦国の気配濃厚な時代に、西洋は進んでおったのだなあ。これは?」
桜「バロック美術に分類されますね」
伊達政宗「このロココ美術という、明るい絵画の女性達は、花のようですね。しかし、おとぎ話のようで、少々薄気味悪さもありますが」
桜「流石、伊達さんですね。行き過ぎた理想化に対する批判は当時からあったようです。女性を見る目は確かなようです(笑)」
伊達政宗「からかわないでください(笑)」
織田信長「なあーにが、からかわないでくださいだ。ぺっぺっぺっ」
真田幸村「風景画のこの雲。この木立。思い出しまするなあ・・・」
真田幸村「あっ、行くぞ、幸村殿」

〇テーブル席
伊達政宗「ずっと解説してくださって喉が渇いたでしょう。ここは僕が持ちます。お好きな物をどうぞ」
桜「では、遠慮なく(笑)」
織田信長「おお、憧れのクリームソーダがある。これにしよう!」
真田幸村「私も!」
織田信長「政宗殿はどうしておる?」
真田幸村「あっ、やはりクリームソーダを頼んでいますね」
織田信長「この、緑の汁に浮かんだアイスクリームを拒む事はできなかったと見える」
真田幸村「ん?これは、かき氷に掛けるメロンシロップの味がいたしまする」
織田信長「なに?・・・うむ。メロンシロップの炭酸割じゃな。では、クルクル掻き回して・・・」
真田幸村「ええ、クルクル掻き回しましょう!」
織田信長「うわあ!」
真田幸村「こぼれる!」
  クリームソーダをかき回すと、こぼれる。多くの方が子供の時にやった失敗を、今、大人2人がやらかして大騒ぎをしている
桜「あら?幸村さん?」
伊達政宗「え?あ!あの2人・・・ん?クリームソーダがテーブルいっぱいに・・・なるほど」
  政宗は、きれいにクリームソーダを飲むと、2人には素知らぬ顔をして桜と話をし、展示室に戻った

〇美術館
伊達政宗「女性の裸体がこんなに堂々と描かれているのですね」
桜「クールベの眠れる裸婦です。1858年です。デッサンが重要視される作品もあればマネのように独特の技法で描いた絵画もあります」
伊達政宗「マネの絵はコケティッシュで、可愛らしいですね。好感が持てます」
桜「有名なモネの睡蓮は連作で、日本画の影響を受けていると言われています」
伊達政宗「うーむ。西洋画も、日本画の影響を受けているのですね。非常に興味深いです」
織田信長「うむ。興味深い」
真田幸村「もう、ばれているからって、尾行がおざなりですね(笑)」
桜「普段はここでは見られないのですが今日は特別に見る事ができる絵画があります。20世紀の巨匠、ピカソのゲルニカです。これは」
伊達政宗「戦乱の絵ですね」
桜「はい」
伊達政宗「戦乱は何も生み出さない」
真田幸村「皆を苦しめるだけじゃ」
織田信長「見よ!この者達の叫びを」

コメント

  • 美術作品には色々な意味があります。
    音楽や芸術作品は、どういう意味が込められてる、というよりかは見た人それぞれがどう感じるか、が大事だと思ってます。

  • シリーズに、新キャラの桜さんが登場なのですね!政宗とキリスト教文化を結びつけるのは、史実をベースにした感じでさすがですね。

  • 伊達さんのデート(?)を尾行する二人がおもしろいです。笑
    クリームソーダを爆発させるのは、みんな一度はやってる気がします。
    伊達さんはちゃんと飲んでて、知ってたのかな?と思いました。

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