レモネード・ボーイズ・エクスプロージョン

もりのてるは

エピソード2(脚本)

レモネード・ボーイズ・エクスプロージョン

もりのてるは

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〇美術室
バンク「ちっ!さっさと脱げよ!ブス!」
夢野凛「ひ、ひどいっ!なんでそんなこと言うの!?」
バンク「ブスにブスって言って何が悪いんだよ。ささと脱げ。俺が芸術作品にしてやるから」
夢野凛「意味わかんない・・・」
バンク「アクションペインティングも知らねぇのかよ。てめぇのその裸体を、絵の具で彩ってやるんだよ。少しは感謝しろ」
夢野凛「う、うん・・・わかった」
  アクションペインティング。
  それは、絵の具をただ無作為に放つ絵ではない。
  一定の思考、所作、絵の具の量、筆捌き。全てが描く者に委ねられる。
夢野凛「バンクくんは、天才、だもんね・・・」
バンク「黙ってろ。おい、ちゃんと足開けよ」
  バンクに言われるがまま、女は裸になって、バンクの前に立った。
  両足を広げ、バンクの目をじっと見つめている。
夢野凛「やさしくして・・・お願いだから」
バンク「知るかブス」
  乱暴な言葉を吐きながらも、バンクは筆を取り、筆先に絵の具を付ける。
  ピッピッピッと筆先に付いた絵の具を払うと、絵の具は女の体に付着する。
夢野凛「んっ、あっ、やっ、んっ!んんん!」
  不規則に体に付着する絵の具。女の頬が次第に赤らみ、体がしっとりと汗ばんでいく。
バンク「汗一つ垂らすんじゃねぇよ!俺の絵の具を滲ませるなブス!」
夢野凛「そ・・・そんなの無理よっ!こんなことされたら、誰だって汗を・・・」
バンク「ちっ、うぜぇな」
  バンクは、傍にあったスプレーを女に向けて噴射した。
夢野凛「やぁあああああ!!!!」
  制汗スプレーを全身に浴び、女は敏感な肉体をよじらせる。
バンク「動くんじゃねぇって言ってんだろ!!!今すぐ、動画撮ってネットにあげるぞ!!!」
夢野凛「ひ、ひどい・・・こんなの、もう嫌だ・・・」
  女の目から涙が零れた。
バンク「っざけんな!!!!やめだやめ!!!さっさと消えろ!!!」
  近くにあった布で体を覆うと、女は美術室を飛び出していった。
バンク「くそ使えねぇ。これだから女ってやつは・・・」
メイタ「おい、お前」
  入れ違いに、餃子耳の男が美術室に入ってきた。
バンク「おう、誰かと思ったらゲイの中華野郎か。どうだ、耳の餃子の具、しっかり熱が通ってるか?」
メイタ「さっき出て行った子。お前が泣かせたのか?」
バンク「知らねぇよ。あいつが勝手に泣いたんだ。心の弱い野郎だ」
メイタ「天才だろうが奇人だろうが、女の子を泣かせる男を僕は許せない」
バンク「うるせぇな。あいつが勝手に泣いたんだよ。俺は関係ねぇ」
メイタ「まあいいさ。いつか刺されるよ」
バンク「はっ、面白れぇ。刺される前に俺が刺してやるよ」
バンク「なんならお前から刺してやろうか?言っておくが、俺のナイフは大きいぞ?」
メイタ「ふざけるものいい加減にしろ!バンク!お前、狂ってるよ!」
バンク「狂ってるのはお前も同じだろ、メイタ。てめぇ、いつからあんなガキとくっつきやがった」
メイタ「ガキじゃないよ。シラト。僕は彼を愛しているんだ」
バンク「ちっ、気持ち悪いな。お前と知り合いだってこと、あいつにバラすぞ」
メイタ「別に構わないよ。僕は彼を愛しているから」
バンク「宇都宮みんみんの焼き餃子みたいに熱いこと言いやがって。焦がし過ぎて黒バナナにならねぇように気をつけな」
メイタ「相変わらずの減らず口だね、バンク。君も彼の素晴らしさに気づくといいよ」
バンク「ふんっ、まあ、キスは上手かったぜ」
メイタ「し、したのか!?シラトと!!???」
バンク「そんな驚くことじゃねーだろ?あいつの方から、ぶっちゅううってしてきたんだぜ。舌まで入れて来やがって」
メイタ「やめろ!!!!聞きたくない!!!」
バンク「気持ち良かったなぁ。脳を綿棒でかき回されるような気持良さだよ。なあ、味わったことあるか?耳からイカが入ってくるような、」
メイタ「うあああああああああ!!!!!!!!」
  餃子耳を抑えながら、メイタは美術室を飛び出していった。
バンク「ったく。今日はずいぶんと美術室から飛び出していくやつが多いな。黒ひげ危機一髪でもやったら、一発で黒ひげを飛ばせるぜ」
  ニタニタと笑いながら、バンクは唇に手を触れた。
バンク「キス、ねぇ・・・」

〇まっすぐの廊下
シラト「やべぇ!歯ブラシ忘れた!」
  バンクにキスをした後、歯を磨こうと思ったシラト。しかし、家に歯ブラシを忘れたことに気づいた。
シラト「くそ、歯磨きシートもないな・・・」
シラト「くっ、これは消しゴム。こんなんじゃ俺の歯に付着した異物は取れやしない」
シラト「くうう。辛うじて糸楊枝があったか。仕方ない。これで我慢するか・・・」
メイタ「シラト!!!!シラトォ!!!!」
  物凄い勢いでやってきたメイタ。シラトは驚いて持っていた糸楊枝を床に落とした。
シラト「あ、ああ!!!俺の糸楊枝!!!予備の一本がああ!!!」
メイタ「シラト!!!どうして!!!どうして!!!」
シラト「うっせぇな!メイタ!!!なんだよ急に!どうしてくれんだよ!俺の糸楊枝が!!!俺の口内の衛生がぁ!!保たれねぇ。ううう」
メイタ「ご・・・ごめん・・・」
シラト「ちきしょう。歯がスッキリしなくて気持ち悪い・・・」
メイタ「ぼく、歯ブラシと歯磨き粉持ってるから、貸すよ?」
シラト「え!?マジ!さすがメイタ!!!!ありがてぇ!!恩に着るぜ!」
メイタ「う、うん。貸すけど、条件がある」
シラト「おう!なんだ?なんでも言ってみろ。どんな条件だ?」
メイタ「なんで、俺以外の男とキスしたの?」
シラト「ああ、なんだそんなことか!いやさぁ、なんか変な野郎がいてよ。そいつ、ムカつくからキスしてやったんだよ」
メイタ「意味わかんない・・・なんなのそれ」
シラト「ほら、昔いただろ。試合前に対戦相手にキスしてボコられてノックアウトされたボクサーが」
シラト「あの感じを真似してよ。俺もキスしたら相手が黙るかなって思ったわけよ」
メイタ「・・・るいよ」
シラト「ん?なに?小さくて何言ったか聞こえねぇ」
メイタ「軽いって言ってんだよ!!!ビッチ野郎!!!!」
  全身を震わせて怒るメイタ。
シラト「な・・・どうしたんだよ、急にデカイ声出して・・・」
メイタ「シラトは、そうやって、誰とでも見境なくキスするんだろ」
メイタ「ぼくは、シラト・・・きみを、きみを愛しているのに、それなのに!!!」
メイタ「どうして!!!あんな狂ったやつと、キスなんかするんだよぉ!!!!!」
シラト「す、すまなかった!!!許せ!メイタ!!ほんの、ほんの貧の出来心で・・・」
メイタ「柳家小三治のトーンで言うな!!!アバズレ!!!信じらんない!!!フケツ!!!ビッチ!!!」
バンク「ハハハハハ!!!!何の騒ぎかと思ったら、クソゲイカップルじゃねぇか!」
シラト「あっ、バンク!!!」
バンク「なんだなんだ。キスの一つや二つで泣きわめきやがって、だらしがねぇ」
メイタ「うるさい!バンク!!!君は関係ない!」
シラト「えっ、メイタ。お前こいつと知り合いなの?」
バンク「知り合いも何も、俺たちは昔、ふか~い仲だったのよ」
シラト「な・・・なんだと・・・?」
メイタ「シラト。ごめん。俺、バンクと付き合ってたんだ」
バンク「メイタはいいぜぇ。そこらのブスとは違う。俺のアクションペインティングにもたっぷり付き合ってもらった」
バンク「ダビデ像って知ってるだろ?メイタは、あんな彫刻なんかより、いいもん持ってたぜぇ」
シラト「そ、そうなのか・・・」
バンク「お前はまだ、餃子しか味わったことがないだろうけどな。俺はメイタのフカヒレも、燕の巣も、北京ダックも頂いたぜ」
バンク「さながら、満漢全席。たっぷりご馳走になった仲よ」
シラト「ぐっ、満漢全席。。」
メイタ「う、ううう・・・」
バンク「そんなメイタが、お前のようなクソガキにほれ込むなんて、俺にはさっぱり意味が分からねぇ」
シラト「し、知るかよ。俺はメイタに惚れたんだ」
バンク「ちっ、むかつく顔しやがって」
  そう言って、バンクはシラトの下顎を掴むと、強引に唇を寄せてキスをした。
シラト「んっ、あむっ、はっ、ああ・・・」
バンク「んっ、むあっ、んっ、んあっ・・・」
  その様子を眺めながら、茫然自失のメイタ。
バンク「ふぅ。相変わらず、いいキスをするな、ガキが」
シラト「く、はあ、はあ・・・」
メイタ「シラト・・・そんな・・・みだらな・・・」
シラト「み、見るな・・・メイタ。見るんじゃねぇ」
バンク「キスだけじゃ我慢できねぇだろ。おい、クソガキ。俺の美術室に来い。お前も俺の芸術作品にしてやる」
メイタ「もう、やめてくれ・・・バンク。 俺から、シラトを奪わないでくれ・・・」
バンク「くっくっく、たまらねぇな。メイタ。お前は黙って指でもくわえて見ていろ。とっておきの芸術作品を、いや、」
バンク「ゲイ術作品を見せてやるよ!!!」
  バンクに腕を掴まれ、美術室へと連れ込まれるシラト。
  なすすべなく、床に膝をつくメイタ。
メイタ「どうして・・・どうしてこんなことに・・・」
  世界を変える画家の奇行は、これに留まることはなかった。

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