あの頃の君はもういない

南実花

出会いと恐怖(脚本)

あの頃の君はもういない

南実花

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〇黒
  僕は東京で彼女と出会った
  この出会いが良いものなのか
  悪いものなのか
  未だに僕は分からない

〇渋谷駅前
東堂 ねお「迷った・・」
  僕は東京に引っ越してきたばかりの大学生
  今は自分の家を探している
東堂 ねお「おかしなぁ、目印の渋谷駅から向かったはずなのに」
東堂 ねお「よりによって、渋谷駅に着いちゃった」
東堂 ねお「どうやって行くんだ?」
相楽 はる「大丈夫ですか?」
  そう声をかけてきたのはどこか不思議な雰囲気を持つ女性
相楽 はる「明らかに迷ってる様子だったので、声掛けちゃいました!」
東堂 ねお「そんなに迷って見えましたか?」
相楽 はる「はい」
相楽 はる「どこに行こうとしてたんですか?」
東堂 ねお「えっとここに」
相楽 はる「え?もしかして ここあなたが住むマンションですか?」
東堂 ねお「はい」
相楽 はる「私も同じマンションです!」
東堂 ねお「え??」
相楽 はる「こんな偶然あるんですね!」
東堂 ねお「でっですね!」
東堂 ねお「不思議ですね!」
  こうして僕は彼女に案内してもらい、無事家へたどり着いた
  ちなみにちょっとタイプ

〇マンションの共用廊下
  どうやら 同じマンションと言うだけでは
  ”運命”は満足しなかったようだ
東堂 ねお「え、うそ」
「隣の部屋!?」
東堂 ねお「怖い・・・むしろ怖い」
東堂 ねお「これが運命というものなのか?」
相楽 はる「え?」
東堂 ねお「いやっ、ごめんなさい!」
東堂 ねお「嫌ですよね、こんなパッとしない男に言われるのって特に・・・」
相楽 はる「いえいえ!かっこいいですよ!」
「・・・」
相楽 はる「気まずくしてしまいましたね」
「・・・」
東堂 ねお「よし!ご飯に行きましょう!」
相楽 はる「へ?」
東堂 ねお「困ったらご飯!これが親の教えです!」
相楽 はる「おぉ!社会では結構大事な教えですね」
東堂 ねお「まぁそうやって生きてきた結果、母は現在84kgですけど・・・」

〇おしゃれなレストラン
東堂 ねお「すみません、こっちから誘っておいて案内してもらって」
相楽 はる「いえいえ!むしろ自分の家にたどり着けない人の先導は怖いですよ〜」
東堂 ねお「ぐはっ」
東堂 ねお「早速いじってきてる」
相楽 はる「こっちは初めて?」
東堂 ねお「そーですね」
東堂 ねお「1度物件を見に来たくらいです」
相楽 はる「物件・・・やはり君は春から大学生かな?」
東堂 ねお「そうです!よくわかりましたね!」
相楽 はる「君を見たら、誰でも分かるよ」
東堂 ねお「・・・そういえば自己紹介がまだでしたね」
東堂 ねお「僕は東堂ねお」
東堂 ねお「春からS大の生徒になります」
相楽 はる「S大?そこそこ頭いい所じゃん!」
相楽 はる「私は相楽はる」
相楽 はる「21歳、会社員」
相楽 はる「ちなみに短大卒だよ」
東堂 ねお「やっぱり年上でしたか」
相楽 はる「なんかちょっと失礼ね」
東堂 ねお「そんなつもりは無いですよ」
東堂 ねお「それにしてもここの料理美味しいですね」
相楽 はる「でしょ!私の行きつけなんだ!」
東堂 ねお「相楽さんセンスいいですね!」
相楽 はる「メルシー」
東堂 ねお「なんでフランス語?」
相楽 はる「私フランス大好きなんだ!」
相楽 はる「ちょっと適当な理由になるけど、自由って感じがしない?」
東堂 ねお「本当に適当ですね」
東堂 ねお「それはやっぱり会社に縛られているから?」
相楽 はる「色々あるのよ」
相楽 はる「たがら大学生のうちにめいいっぱい楽しんでおいた方がいいよ」
東堂 ねお「なんか説得力が凄いです」
  それから僕達は色んな話をした
  ほとんどフランスはいいぞ話だったけど
  それでもすごく充実した一日を暮らせた気がする
  そういえば、初めて会った時と
  僕への接し方が変わってる気がする・・・
  ・・・気のせいか

〇マンションの共用廊下
  僕たちは歩いて帰ってきた
  もちろん沢山お話をして
  ちなみにさっきの食事代はもちろん!
  相楽さんが払った
  なにせ財布を開けたら
  359円しか入っていなかった
  これぞ恥ずかしいの真骨頂
  そんなこんなで 今家に着いたところだ
相楽 はる「それじゃまたね」
東堂 ねお「はい、また」
東堂 ねお「・・・」
東堂 ねお「いやあの」
東堂 ねお「今度の休日にまたご飯に行きませんか?」
  僕にしては頑張ったほうだ
相楽 はる「喜んで」
東堂 ねお「ほんとですか?」
相楽 はる「うん!」
東堂 ねお「ありがとうございます♪」
相楽 はる「ていうか、」
相楽 はる「君にしてはよく頑張った方だね」
  この数時間で僕の性格は見抜かれてしまったようだ

〇ケーキ屋
  ー日曜日ー
  前回は相楽さんに連れて行って貰ったけど
  今回は違う!
  僕がエスコートするんだ!
相楽 はる「可愛いケーキ屋さんだねー」
相楽 はる「道 間違えた結果かなー?」
東堂 ねお「間違ってません!目的地はここです!」
  僕たちが来た場所はケーキ屋
  相楽さんが甘いもの好きと知ってここに選んだ
  僕が行きたくて来たのは内緒
相楽 はる「私のために選んでくれたの?」
東堂 ねお「もちろんですよ!」
東堂 ねお「見直しました?」
相楽 はる「ふーん」
相楽 はる「本当は君が来たかったから なんじゃないの?」
東堂 ねお(なんでバレてるの!?)
東堂 ねお「そんなわけないでしゅよ」
相楽 はる「焦って噛んでるのは?」
東堂 ねお「たまたまですよ」
相楽 はる「たまたまねぇ」
東堂 ねお「そんなことより! ここのケーキ美味しいですね!」
相楽 はる「うん!美味しい♡」
相楽 はる「って言うと思った?」
東堂 ねお「え?」
相楽 はる「まだ、ケーキ来てないよ?」
東堂 ねお「あ・・・」
相楽 はる「やっぱ焦ってんじゃん」
東堂 ねお「いやいやそんなっ──」
店員「お待たせしました!」
店員「ロールケーキになります」
東堂 ねお「うわぁ!本当に美味しそう!」
  ていうか、店員さんかっこいい
  ほら、相楽さんも見とれて──
  見とれてる顔か?
東堂 ねお「はるさん?」
相楽 はる「え?」
相楽 はる「あぁ、そうね!」
相楽 はる「美味しそう!!」

〇ケーキ屋
東堂 ねお「それでテストが──」
  なんだろう?
  あれからずっと相楽さんが変だ
  何が原因だろう
  あの店員が来てからだよな?
  知り合いとか?
  でも知り合いにあんな顔するかな?
  というか相楽さん
東堂 ねお「顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
相楽 はる「あっ」
相楽 はる「バレちゃった?」
相楽 はる「ごめんねー実は体調悪かったんだよね」
東堂 ねお「いつからですか?」
相楽 はる「さっきくらいから、急にね・・・」
  そんな・・・
  僕は今の今まで無理をさせていたのか?
東堂 ねお「僕こそすみません!」
東堂 ねお「体調悪いのに気づかなくて」
相楽 はる「いやいや君が謝ることじゃないよ」
相楽 はる「でもごめん!今日はもう帰るね!」
相楽 はる「ありがとう!」
東堂 ねお「はい!」
  って、帰っちゃった
  嵐のような人だ
東堂 ねお「とか言ってる場合じゃない!!」
東堂 ねお「さっきの表情は具合悪いのサインだったんだ」
東堂 ねお「なのに僕は勝手に変な考察をして・・・」
東堂 ねお「そういえばイケメン店員さん どこいったんだろ?」
東堂 ねお「見当たらないなぁ・・・」
東堂 ねお「とか言ってる場合でもない!!」
東堂 ねお「・・・」
東堂 ねお「ん?具合悪いのに1人で帰らせて大丈夫なのか?」
東堂 ねお「そもそも帰る場所一緒なのに」
東堂 ねお「なんで先帰ったんだ?」
東堂 ねお「・・・」
東堂 ねお「とりあえず、追いかけよう!」
  僕はこの時 相楽さんを追いかけなければ良かったのかもしれない
  その方が幸せだったかもしれない

〇黒
  だって僕はこの後
  見てしまうのだ
  相楽さんが
  さっきのイケメン店員を

〇入り組んだ路地裏

〇黒
  殺すところを
「──ねおくん」
「これをやったのは・・・」
「私じゃないんだ──」

次のエピソード:2.彼女の過去

コメント

  • 最初はラブコメ調だったのに、この展開はびっくりですよ!
    何があったのか、いろいろと考えてしまいます。
    ほんわかとしたお姉さんな彼女と、あの店員さんとの間に何があったのか気になります。

  • 彼女の発言のぎこちなさに気になりつつも、このまま順調に恋愛へ発展していくのかなぁと思っていたら、ラストの急展開にびっくり!今後の展開が気になります!

  • ちょっと不思議なお姉さん感いっぱいの相楽さんが、まさかの事件を起こしてしまう今話のラスト。驚きとともに、彼女の背景、過去、そしてパーソナルな部分も知りたくなりました。次話が楽しみになります。

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