あの頃の君はもういない

南実花

2.彼女の過去(脚本)

あの頃の君はもういない

南実花

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〇入り組んだ路地裏
店員「お客様どうされました?」
店員「こんなところに呼び出して」
店員「なっ?何を?」
???「ねぇ」
???「怖い?」
???「怖いかな?」
店員「・・・!」
???「怖がってんじゃねーよ」
???「いつものようにやり返してみなさいよ」
店員「いつもって・・・」
???「ほら!」
???「ほらカム(来い)!!」
店員「ごめんなさい!」
???「あ?」
店員「どうか命だけは!」
???「ハハハハハハハハハ」
???「あー愉快愉快」
???「ありがとうね」
相楽 はる「・・・」
相楽 はる「──!!」
相楽 はる「いつからそこに?」
相楽 はる「違う!」
相楽 はる「待って逃げないで!」
相楽 はる「ねおくん!」
相楽 はる「これをやったの」
相楽 はる「私じゃないの」

〇一人部屋
東堂 ねお「ハァハァハァ・・・」
  あれを目撃してからまだ3日
  僕は毎晩あの日の夢を見る
  家が隣だから、怖くて外に出ていない
  幸い大学の入学式はまだ先だ
東堂 ねお「いっそあれが夢だったら良かったのに」
  あの言葉の意味はなんなのか
  あの状況で言い訳をしようとしていたのか
  そもそも僕には何か”違和感”があった
  それが何なのかは分からない
  まぁなんにしても
東堂 ねお「買い物に行かないといけないな・・・」
東堂 ねお「・・・静かに出れば大丈夫かな」
  僕は意を決して玄関のドアを開けた

〇スーパーマーケット
  家からここまでは相楽さんに会うことなく辿り着いた
東堂 ねお「よしこんなものでいいかな?」
東堂 ねお「・・・行き大丈夫だったから」
東堂 ねお「帰りもきっと」
  それでもやっぱり僕達は運命で繋がれているのだ

〇マンションの共用廊下
「あ・・・」
相楽 はる「待って」
東堂 ねお「なんですか」
相楽 はる「私のことが怖いのは分かる」
相楽 はる「でも話だけでも聞いて欲しい」
東堂 ねお「・・・」
東堂 ねお「わかりました」
相楽 はる「いいの?」
東堂 ねお「いいの?って・・・」
東堂 ねお「あなたが言ったんじゃないですか」
相楽 はる「そうだけど・・・」
東堂 ねお(これは違和感の正体を突き止めるためだ)
東堂 ねお(うん)
  今思えばこの時から
  相楽さんの事が気になっていたのかもしれない

〇一人部屋
相楽 はる「君の部屋でよかったの?」
東堂 ねお「あなたの部屋よりは安心できます」
相楽 はる「そうだよね」
「・・・・・・」
東堂 ねお「・・・店員さんとはどういう関係ですか?」
相楽 はる「・・・あの店員とは」
相楽 はる「全く面識ないんだ」
東堂 ねお「へ?」
  なんだろう、この出鼻くじかれた感は
東堂 ねお「じゃあ、殺す理由ないじゃないですか!」
東堂 ねお「なんでそんなことしたんです?」
相楽 はる「それは──」
相楽 はる「彼がカッコよかった からかな?」
東堂 ねお「え?」
相楽 はる「私ね、過去に一人だけお付き合いした男性がいるの」

〇池のほとり
「彼は付き合った当初はすごく優しくて」
「もちろんかっこいいし」
「自慢の彼氏だったの」
「でもね」
「付き合って3ヶ月たった頃からかな」

〇簡素な一人部屋
「私に暴力を振るうようになった」
「最初はアザができる程度の暴力で」
「彼もすぐ謝ってくれた」
「でもそのうちにエスカレートしていって」
「骨を折るほど ひどいものになった」
「逃げればいいって思うかもしれないけど」
「その頃にはもう遅かった」
「暴力だけじゃなく、監禁もされていた」
「だから逃げ場所がなかったの」
「でもそんな時」

〇黒
「ある人が現れたの」
「それはね」
「ローランっていう」
「私のもうひとつの人格」

〇簡素な一人部屋
「私が辛くなったら」
「彼女が出てきて助けてくれた」
「そうやって私は何とか生きてきた」
「だからローランには感謝しかない」

〇一人部屋
相楽 はる「ただローランは凶暴で」
相楽 はる「イケメンを見ると直ぐに表へ出たがるの」
相楽 はる「私は彼女を出さないようにするのに必死で・・・」
東堂 ねお「じゃああの時顔色悪かったのは」
相楽 はる「そう」
相楽 はる「ローランを外へ出さないように」
相楽 はる「抑えてたの」
東堂 ねお「そうだったんだ・・・」
相楽 はる「まぁ結局抑えられなかった訳だけど」
東堂 ねお「それで”殺したのは私じゃない”に繋がるんですね」
相楽 はる「そう」
相楽 はる「怖い思いさせたよね?ごめん」
東堂 ねお「いや!違和感が取れてスッキリしました!」
東堂 ねお「あの時の相楽さんは表情がまるで別人だったので」
東堂 ねお「なんでだろうって思ってたんですよね」
東堂 ねお(うん、これが違和感の原因だ)
相楽 はる「気づいてたんだ」
東堂 ねお(・・・今気づいたことだけど)
東堂 ねお(・・・ってあれ?)
東堂 ねお「・・・」
東堂 ねお「・・・・・・ん?」
東堂 ねお「待って下さい」
東堂 ねお「そうなると1つ重要な疑問が出てきます」
相楽 はる「・・・?」
東堂 ねお「僕は殺されていないですよね」
相楽 はる「へ?」
東堂 ねお「イケメンを見たら殺したくなるってことですよね?」
相楽 はる「あ・・・」
東堂 ねお「初めて会った時、かっこいいって言ってくれましたよね?」
相楽 はる「いやー」
東堂 ねお「僕覚えてますよ!」
東堂 ねお「あれ嘘だったんですか?」
東堂 ねお「あー嘘だったんだー」
東堂 ねお「ショックです」
相楽 はる「え────────────!!」
相楽 はる「ショック受けるとこそこ?」
東堂 ねお「どうせ僕はイケメンじゃありませんよー」
相楽 はる「まっまぁ」
相楽 はる「基準はローランだからね」
相楽 はる「大丈夫だよ(?)元気だして(?)」
相楽 はる(これ慰めになるかな?)
東堂 ねお「そっか!」
東堂 ねお「じゃあ大丈夫だ!!」
相楽 はる(なるんだ!!)
東堂 ねお「相楽さん!僕頑張ります!」
相楽 はる「うん・・・(何を?)」
相楽 はる「っていうか はる でいいよ!」
東堂 ねお「・・・呼び捨ては緊張するのではるさんで」
相楽 はる「うん!」
東堂 ねお「じゃあはるさん!」
相楽 はる「ん?」
東堂 ねお「その彼氏さんはどうなったんですか?」
相楽 はる「あーそれはね・・・」

〇警察署のロビー
  警察署
笹野刑事「また顔の良い奴が殺された」
笹野刑事「そしていつも証拠は残さず」
笹野刑事「防犯カメラも特に異常なしか・・・」
杉尾刑事「笹野さーん!」
杉尾刑事「今回もお店の客 調べましたよー」
笹野刑事「おう!なんかわかったか?」
杉尾刑事「関係あるか分かりませんけど」
杉尾刑事「あの店に相楽はるが来店してました」
笹野刑事「あの子か!」
杉尾刑事「はい!彼氏に監禁・暴力を受けて」
杉尾刑事「その彼氏を殺した彼女です」
杉尾刑事「覚えてましたか?」
笹野刑事「もちろん覚えている」
笹野刑事「正当防衛とはいえ、ひどい有様だったからな」
笹野刑事「むしろ忘れられないね」
笹野刑事「・・・うん」
笹野刑事「調べる価値はありそうだな」
???「あの」
杉尾刑事「どうしました?」
???「私、ケーキ屋さん近くで起きた事件の」
???「目撃者です」

コメント

  • この主人公くんは、イケメンに反応するローランに一切関心を持ってもらえない残念キャラですが、はるさんはどのように思っているのでしょうかね?今後も2人の関係性がどう展開していくのか気になります!

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