ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.38/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #28(脚本)

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〇荒れた公園
  8年前
根須戸智是「オーッホッホッ! おろかなりヒーローども」
根須戸智是「すべては計画通り! 世界中のコンピューターはわらわのものとなった!」
久常紫雲「いや、だから! あの、ちょっと?」
辻崎美結「・・・・・・」
辻崎美結「ああ大変! 世界中が大混乱よ!」
久常紫雲「あ、こら、美結! 勝手に」
根須戸智是「いまや世界は、わらわのもの!」
  はじめての外の世界。はじめての友達。
  私は、このときにはじめて生まれて、生きはじめた。そして、はじめての・・・。

〇荒れた公園
久常紫雲「ファイナルパーーンチ! えいっ」
根須戸智是「うわ~~っ! おのれヒーロー! おぼえておれ・・・あっ・・・」
  滑り台の上で、私はバランスを崩した。
久常紫雲「あ、あぶなっ!」
  しゅーちゃんが私を抱きかかえる。
  そのまま2人で、滑り台を転げ落ちた。
久常紫雲「いったぁ・・・大丈夫? ちーちゃん」
  しゅーちゃんの顔が、目の前にあった。
  彼は私の下敷きになって、かばってくれていた。
  そして私は、しゅーちゃんにぎゅっと抱きしめられているのに気がついた。
  しゅーちゃんの体温と、心臓の鼓動が伝わってくる。
  おもわず顔が、かっと赤くなった。
久常紫雲「あっ、えっ、いや、こ、これはっ」
  しゅーちゃんの顔も、真っ赤だった。
御子柴歩「しゅーちゃん! ・・・ちぜ、ちゃん!」
辻崎美結「だいじょうぶ!?」
  しゅーちゃんは、弾かれたように私の下から抜けだして立ちあがった。
久常紫雲「ひ、ひひ、ヒーローだから! 女の子は、まもるだけ! それだけだから!」
  真っ赤な顔のまま、しゅーちゃんが私をちらちらと見る。私も真っ赤な顔でじっとしゅーちゃんを見あげていた。
根須戸智是「・・・・・・」
  ・・・このとき、私は決めた。
  いつか絶対、ゼニスから逃げ出して、こっちの世界で生きようって。
  でも、そうはならなかった。

〇荒れた公園
根須戸智是「すぐまた、一緒に遊べるから」
久常紫雲「お、う、うん。じゃあ約束ね」
根須戸智是「うん。約束」
  気がついたら、私はしゅーちゃんの頬にキスをしていた。
久常紫雲「えっ。あーっ! なにっ!」
  なにと言われても、私にも理由なんてわからなかった。頬が、熱い。
  私はぱっと身を翻すと、公園の外へ走り出した。
根須戸智是「みんな! またね~~!」

〇研究装置
  私が目を覚ますと、巨大なカプセル状の機械の中に寝台ごと拘束されていた。
根須戸智是「・・・!? なに、これ・・・!」
世渡刃「・・・お、薬が切れたか。CZ。 いや、ちーちゃん?」
根須戸智是「なんで、その、呼び方・・・!?」
教授「CZ。君には、すっかり騙されたよ。ネストのシステムだけでなく、研究データまで改ざんしていたとはね」
世渡刃「おまけに明日、ここから逃げる準備も万端整えているときた。システム洗い直さなきゃ、気づかなかったぜ」
根須戸智是「こんな、機械・・・!」
  私は目を閉じ、意識を集中する。
根須戸智是「ハッキング、できない・・・?」
教授「無駄だよ。この部屋の機器はスタンドアローンだ。外の電波も遮断している」
世渡刃「まぁでも教授、こいつはすごい能力だ。 期待以上だぜ。制御できないって点を除けば。・・・わかってるな?」
教授「ええ。・・・残念だが、お別れだCZ。 いや、NEST-CZ01Xα。君をこのままにしておくのは、リスクが高すぎる」
根須戸智是「教授・・・なにを」
教授「高出力放射線スキャン。開始しろ」
世渡刃「しかし教授、本当にいいのか? 大切な実験体なんだろ?」
教授「・・・もう、いいのです」
  世渡と教授が部屋から出ていった。
根須戸智是「・・・!?」
  カプセルに付随した機械に光が灯る。
  同時に私の全身を灼けつくような激痛が襲った。
根須戸智是「きゃああぁぁああぁあ~~っ!?」
  灼けた鉄の塊で全身を覆われるような痛みが、急激に増していく。
根須戸智是「アァアアァァAaaAa~~!!?」
  私は、意識を失った。

〇殺風景な部屋
  そして再び目を覚ました時、あの白い部屋に閉じこめられていた。
根須戸智是「・・・! ・・・ここ、は・・・?」
  私はハッキングを試みる。しかし。
根須戸智是「どこにも・・・アクセスできない・・・。 出られない・・・もう、どこにも・・・」
  茫然とその場にへたりこんだ。
根須戸智是「うぅ・・・うぅぅ・・・しゅーちゃん・・・みんな・・・ううぅ・・・うあぁあぁ~っ!」
  私はこの部屋に、監禁されたと思った。
  今までずっとそうだと思っていた。
  でも、現実はそんな生易しいものじゃなかった。

〇電子世界
  私は「NEST-CZ01Xβ」プレートのついたスーパー量子コンピュータを見て、ようやく、からくりに気がついた。
根須戸智是「同じ番号の、αとβ・・・そう・・・そういう、こと。そうだったんだ・・・ふふふ」
久常紫雲「ちーちゃん?どうしたの。いま、どこにいるの? どこに行けばいいの!?」
根須戸智是「ふふふ。もう、いいの。いいのよ。 だって私、ここにいるんだもの」
久常紫雲「いないじゃないか! どこにも!」
根須戸智是「いるのよ。目の前に。ほら」
  私は、スーパー量子コンピュータを指さした。
久常紫雲「ちー・・・ちゃん・・・?」
根須戸智是「これが、私なのよ。ふふふ。 本当、ひどい道化。ひどい話。ふふふ」
久常紫雲「・・・え・・・? え? え・・・?」

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