【パインアップル】の定義

CotchTheScotch

第1話『紅(べに)の豚骨(ぶたぼね)からのご挨拶』(脚本)

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〇月夜
編集長「それでは、第60回『週刊中年シャンプー 超新人漫画賞』の大賞を発表します」
編集長「大賞は──」
  『世界の中心でアイスを食べる』
  滝澤海斗(17)さんです!
編集長「滝澤さんには賞金50万円と、担当編集が付きます。おめでとう!」
編集長「これから連載へ向けて頑張って下さいね!」
編集長「滝澤先生、もうすぐ高校卒業だね」
編集長「この連載で君は、本格的に漫画家としてデビューする事になる。でもね──」
編集長「連載が失敗したら・・・」
編集長「一体どんな人生になってしまうのだろうか?」
編集長「普通に進学、又は就職するべきだったと後悔するのだろうか?」
編集長「・・・いやいや」
編集長「君は大賞を取ったんだ! 自信を持って!」
編集長「やれば出来るんだから!さぁ、笑って! あははははっ!」
編集長「でも・・・もし失敗したら?」
編集長「いやいや!」
編集長「人は失敗して成長していくものなんだ! だから失敗を恐れるな!」
編集長「でもな! 今回だけは絶対に失敗できないぞ!」
編集長「なぜならば──」
編集長「君は今、人生のターニングポイントに立っているんだ」
編集長「だから絶対に失敗は出来な──」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「はっ!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(またこの夢か──編集長って こんな事言う人じゃないのに、)
滝澤海斗(たきざわ かいと)(夢の中でどんどん情緒不安定な人になっていってるんだよな・・・)
滝澤海斗(たきざわ かいと)(僕がそうさせてるんだろうけどね)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そうだ、まだ少し時間あるし──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「行く前にネームの確認しておくか」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ふぅ~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・1ページ目はOKっと」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・15ページ目までOKっと」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「とりあえずここまではOKだな」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そろそろ行くか」
「かいとー!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あれ?」

〇古いアパート
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ななちゃんどうしたの? 僕そろそろ──」
神道七海(しんどう ななみ)「今から編集部行くんだよね? 乗って!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ!?わざわざ来てくれたんだ?」
神道七海(しんどう ななみ)「ちょうど通り道だったんだ~ さぁ乗って~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん!ありがとう」

〇車内
神道七海(しんどう ななみ)「週刊中年シャンプーの編集部までお願いね」
運転手のシゲちゃん「へいっ!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗、緊張してるよね?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そりゃそうだよ~!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「だって僕は今、人生のターニングポイントに立ってるんだから」
神道七海(しんどう ななみ)「も~!考えすぎ~ 肩の力抜いて!」
神道七海(しんどう ななみ)「もうすぐ卒業だからって焦らなくていいんだよ?」
神道七海(しんどう ななみ)「今回の連載がダメだったとしても、 また次頑張ればいいんだし」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そういうわけにはいかないよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「このチャンスは絶対モノにしたいんだ!」
神道七海(しんどう ななみ)「そっか── もし今回ダメだったとしても」
神道七海(しんどう ななみ)「お婿さんにきてパパの後を継ぎながら漫画を描けばいいんだからね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ありがと」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「いつもそう言ってくれるの嬉しいんだけどさ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「僕は自分の力で何とかするから!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(それに僕なんかじゃ、お父さんの後なんて継げないよ・・・)

〇雑誌編集部
  週刊中年シャンプー編集部
編集長「あっ、滝澤先生ごめんねー!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「はい?」
編集長「また担当が代わっちゃってさ~」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「初めまして、篠崎夏蓮です」
編集長「篠崎さんは以前、漫画家を目指していたんだが──」
編集長「アイ食べ(世界の中心でアイスを食べる)を読んでから滝澤先生の大ファンになって」
編集長「漫画家の夢よりも、滝澤先生の担当になる事が夢になったらしい」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えーっ!?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「本日夢が叶いました」
編集長「と、いうわけで今日からよろしく頼むね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「はい、よろしくお願いします」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「よろしくお願いします」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「その服って・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「そうです。アイ食べのヒロイン、シスター・タスシーのコスプレです」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「やっぱりそうなんだ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(これ私服なのかな・・・)

〇雑誌編集部
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「では早速ネームを読ませていただきますね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「お願いします」
  ──・・・
  ──・・・・・・
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)(これは・・・)

〇古いアパートの一室
  滝澤、帰宅する
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん~」

〇雑誌編集部
  ──・・・
  篠崎さん──
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・面白いと思います」
  面白いって言ってたけど無表情だったよな・・・

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「全然笑ってなかったし・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「OKもらったけどほんとは面白くないのかな?!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん~・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん、考えても仕方ない! 今は気にせず描き進めていこう」

〇古いアパートの一室
  数日後
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ふぅ~、もうすぐ完成だな それにしても──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「疲れたぁー!!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「でも、一気に描いたから時間に余裕出来たし」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ここからはのんびりやるか~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇黒背景
「──・・・ねぇ」
「やめてよ──」
「もうやめてよ──・・・」

〇月夜
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん?」
サクラ「ねぇ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん?」
サクラ「もうやめて欲しいんだけど」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あれ?サクラ・・・?」
  サクラとは──
  滝澤が現在作成中の漫画『紅の豚骨』のキャラクターである
滝澤海斗(たきざわ かいと)(ん?これは夢か・・・)
サクラ「私はこんな事したくないんだよ」

〇殺風景な部屋
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・あれ?!」
サクラ「ここは私達が最初に集められた密室空間」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(僕は、紅の豚骨の世界へ来たのか)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっと・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「何をやめて欲しいのかな?」
サクラ「全部!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん?全部・・・?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「全部!?」
サクラ「この世界はあなたがつくったんでしょ?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・そうだけど」
サクラ「じゃあつくり直して」
サクラ「こんな世界、誰も望んじゃいないの」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そんな事言われてもなぁ~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「もうこのストーリーでいくって決まっちゃったし・・・」
サクラ「ひとつ言っていい?」
サクラ「何の感情も込められてないセリフに意味なんてあるのかな?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「どういう事?」
サクラ「こんな役やりたくないと思いながら演じている俳優と」
サクラ「役に入り込んでる俳優の演技、どっちが見たいかって話よ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん・・・?」
サクラ「だからぁー!私達はあなたがつくった会話を嫌々言わされてるんだよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そんなに嫌・・・なの?」
サクラ「そんなに嫌です」
サクラ「そんな漫画を誰が面白いと思って読むんだよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(だから篠崎さん笑ってなかったのかな・・・)
サクラ「だからさ、私達が言いたいように、やりたいようにやらせてよ」
サクラ「そっちの方が面白いと思うし、それってあなたにとっても良いことじゃない?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「まぁ・・・確かに」
サクラ「じゃあ今から要望を発表しまーす!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「は、はい」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・あれ?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「要望か・・・」

〇殺風景な部屋
サクラ「一番気に入らないのが──」
サクラ「この服よ!」
サクラ「もっと可愛いのにして!」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「まずは服から描き直していくか」

〇白
  んん~
  サクラの要望通りにすると・・・
  ──・・・
  アイドル・・・
  紅の豚骨の世界にアイドルかぁ・・・
  どう修正していこう・・・

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「アレをコレしてソレをアレしてコレをソレして・・・」
  修正は朝方まで続いた

〇雑誌編集部
  週刊中年シャンプー編集部
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「何かすごく変わってません?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ちょっと事情があって・・・あと篠崎さんも全然笑ってなかったし」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「私はどんな漫画を読んでも笑った事はありません」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ?!篠崎さん、笑いのハードル高過ぎませんか?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「そういう事ではありません」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「漫画は真剣に読みますから、面白くても顔には出ないだけです」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「内心では爆笑していても顔は真顔なのです」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そ・・・そうなんですか」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「それで、事情とは?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・変なこと言ってるって思わないで聞いてほしいんだけど──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「夢の中でサクラが話しかけてきたんです」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「サクラが・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「それで色々要望を言われて・・・」

〇殺風景な部屋
  密室空間に集められた人々
  そこに現れたのは・・・
サクラ「みんなー!元気ぃー!?」
  スーパーアイドル『サクラ』だ

〇雑誌編集部
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「それでサクラをアイドルにしたと?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「自分がやりたい事じゃないと役に入り込めないって言われて・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・ボツにしましょう」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・ですよね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(もしかしたらワンチャンあるかもって思った事が恥ずかしい・・・)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「アイ食べの時も夢の中でキャラが話しかけてきて、つくり直したけど──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「今回はそれとは違ったのかな・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「アイ食べの時も・・・?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あの時は完成間際、シスター・タスシーが夢の中で話しかけてきたんです」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「シスター・タスシーが!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ええ──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あの時も色々言われたけど、そのお陰で大賞取れたって今でも思ってます」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「このまま続行しましょう」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ!?いいんですか?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「もう締切も近いですし、描き直しも厳しいので──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「っていうのは口実で、もう一度アイ食べのような最高の漫画を私は読みたいんです」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「アイ食べが、シスター・タスシーと会話してつくられたという裏話を聞いてしまった以上──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「今、同じような状況になっているのなら、これにはきっと何かあるんです」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・ですが、アイドルはさすがに却下してください」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ですよね」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「今日、もう一度サクラと話し合ってその辺の折り合いをつけてきてくれませんか?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「わ、わかりました」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(って、会おうとして会えるものじゃないんだけど・・・)

〇黒背景
「ねぇ──・・・」
「ねぇーってば!」

〇月夜
滝澤海斗(たきざわ かいと)(ん?)
「起きろー!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(会いたいと思ったら会えるものなんだ)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あのさ──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あれ!?タケシじゃん!!」
タケシ「なぁ、俺さ」
タケシ「味噌派のナツミと付き合いたいんだけど」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ええっ?!」
  つづく──

次のエピソード:第2話『五頭身の花女家(かにょや)君』

コメント

  • 「おトイレ」が…「おトイレ」がもう…www
    1話はもうあの1ページだけで大満足ですよ!ww😂😂スチルだけど!!🤣🤣
    そこまでのネームも十分ぶっ飛んでるなぁと思ったけど、ゴルゴンゾーラ夫人のページの異次元っぷりたるや…幻の「山田」に匹敵する面白さでした😇
    あとヒロインの絵上手くてたまげましたw
    キャラの要望に応えるの、まさか賞を獲った前例があったとは…今回は上手くいくのか?見守ります!😆

  • スチルがしっかりネームじゃないですか!力の入れ方すごいですね!🤣漫画のキャラと折り合いつけながらお話作り…面白いです!これからどんな無茶振りされてくのかな……続き、楽しみにしてます!🙌

  • キャラクター達が暴走してどんな展開になるか先が読めない🤣
    タケシも味噌派になってしまうのか気になります。
    そして謎のゴルゴンゾーラ夫人……!
    彼女の出番も待ち遠しい

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