第2話(脚本)
〇駅前広場
これまでのあらすじ
ひょんなことから憧れの美丘先輩に気に入られ、料理を教わる約束をした文人。
その数週間後────
〜待ち合わせ場所〜
無銘 文人(今日はオレの部屋で、先輩に料理を教えてもらえる!)
無銘 文人(ちゃんと掃除したから、 先輩にドン引きされることはない・・・はず!)
美丘 碧葦「ごめん、待った?」
無銘 文人「いえ、 オレもさっき着いたばかりです」
無銘 文人「今日はわざわざ時間を取らせてすみません」
美丘 碧葦「いや、全然気にしなくていいよ。 俺もお前に料理を教えるの、楽しみにしてたからさ」
無銘 文人「そう言ってもらえて嬉しいです! じゃあ、オレのアパートまで案内しますね」
〇街中の道路
無銘 文人「先輩はいつも忙しそうだから、迷惑なんじゃないかって心配してました」
美丘 碧葦「はは、そんなことないから安心しろ。 可愛い後輩のためならスケジュールなんていくらでも空けてやるよ」
無銘 文人「き、恐縮です・・・!」
通行人の女性1「ねぇ見て、あのネックレスの男の人!格好いいー!」
通行人の女性2「ホントだ、イケメン」
無銘 文人(美丘先輩、本当にモテるなぁ。 モデルみたいにスタイルが良いもんな)
美丘 碧葦「ん?どうした? 俺のことじっと見て」
無銘 文人(ヤバい! 見てるのバレた!)
無銘 文人「えっと、あの・・・ 何でもないです!」
美丘 碧葦「ふーん、そうか」
無銘 文人(オレもこれくらい格好良かったらモテるのかな)
〇アパートの台所
〜文人の部屋〜
美丘 碧葦「お邪魔します」
無銘 文人「あまり広い部屋じゃありませんが、どうぞ」
美丘 碧葦「ありがとう。 へぇ、ちゃんと整理整頓してるな」
美丘 碧葦「キッチンも、思ったより綺麗に使ってるじゃないか」
無銘 文人「ありがとうございます! オレ、掃除だけはちゃんとやるようにしてるんです」
美丘 碧葦「いい心掛けだ」
美丘 碧葦「さて、今日はどんな料理を教えてほしいんだ?」
無銘 文人「卵焼きです! 先輩みたいに綺麗な卵焼きを作ってみたくて」
美丘 碧葦「おう。それくらいなら任せとけ!」
美丘 碧葦「ところでお前、卵焼き用のフライパンって持ってるか?」
無銘 文人「卵焼き用のフライパン・・・?」
美丘 碧葦「こういう、四角い形のフライパンだよ。 慣れないうちはそういう道具を使ってみたらどうかな」
無銘 文人「わ、わかりました」
無銘 文人(専用のフライパンかぁ。安いのあるかな)
美丘 碧葦「あのさ。もしよかったら、今度俺の家に来いよ。 俺のを試しに使ってみて、気に入ったら買えばいい」
無銘 文人「えっ!いいんですか?やった!」
美丘 碧葦「フライパンを使うのがそんなに嬉しいのか?」
無銘 文人「ええっと・・・良い道具を使ったら上級者になれる気がして・・・」
美丘 碧葦「フッ」
無銘 文人「笑わないでくださいよ!」
美丘 碧葦「悪かったな。じゃ、早速始めようか」
無銘 文人「はいっ!」
〇アパートの台所
美丘 碧葦「・・・こうやって一度巻いたものを端によけて、残りの卵液を加えて・・・」
無銘 文人「難しそう・・・!」
美丘 碧葦「マジでこの辺は慣れだよ。 スポーツと同じで、身体に覚えさせるんだ」
無銘 文人「な、なるほど・・・」
無銘 文人(先輩って教えるのも上手だな。 こんなに完璧なのに・・・)
無銘 文人(ピーマンだけは苦手なんだもんなー)
美丘 碧葦「おい、ちゃんと聞いてるか?」
無銘 文人「え、あっ!はい!すみません!」
美丘 碧葦「疲れちゃったか?じゃあ今日はこれくらいにしとくか。 後は何度か自分でもやってみるといいよ」
無銘 文人「はい。ありがとうございました!」
美丘 碧葦「そろそろ夕食時だな。 お前は今日の飯、何か作る予定あるの?」
無銘 文人「いえ、そう言えば全然考えてませんでした」
美丘 碧葦「ふぅん・・・ じゃあさ、今日は俺がお前の夕食を作るっていうのはどう?」
無銘 文人「ええ!先輩が? そりゃ、嬉しいですけどいいんですか? 確かご妹弟と一緒に暮らしてるんじゃ・・・」
美丘 碧葦「ああ、大丈夫。 こんなこともあるかと思って、夕食は作り置いてきたから」
無銘 文人(すげぇ、そんなこともできるのか)
無銘 文人「わかりました。 オレ、弁当以外の先輩の料理も食べてみたかったから・・・お言葉に甘えちゃおうかな」
美丘 碧葦「フッ・・・いい子だ」
無銘 文人「え?」
美丘 碧葦「いや、何でもない。 じゃあ少しの間待ってろよ。 冷蔵庫の中のもの、勝手に使っていいか?」
無銘 文人「もちろんです!」
〜30分後〜
無銘 文人(いい匂いがしてきた)
美丘 碧葦「お待たせ。こんな感じでどうかな?」
無銘 文人「う、うまそう!」
美丘 碧葦「冷めないうちにどうぞ」
無銘 文人「いただきます!」
無銘 文人(もぐもぐ・・・)
無銘 文人「今回もうまい! 先輩は何作っても上手ですね!」
美丘 碧葦「ありがとう。素直に嬉しいよ。 そんなに笑顔で食べてもらえたら、食材も嬉しいかもな」
無銘 文人「アハハッ! その発想面白いですね!」
無銘 文人「でも、やっぱりというか・・・」
美丘 碧葦「ん?何だよ?」
無銘 文人「ピーマン、入れなかったんですね。 冷蔵庫には入ってたのに」
美丘 碧葦「・・・・・・」
無銘 文人(あ、ヤバい!先輩怒ってる?)
無銘 文人「えっと・・・料理って、作る人の好みで色々アレンジできるのが楽しいですよね・・・」
美丘 碧葦「・・・そうだな。それもまた楽しみのひとつだ」
美丘 碧葦「ところでさ、お前ばっかり俺の秘密を握ってるのは不公平だと思わないか?」
無銘 文人「えっ」
美丘 碧葦「さっきから妙なタイミングでニヤニヤしてると思ってたんだよ。 ずっと俺の弱みを握った気でいたんだな」
無銘 文人「ち、違います!オレは・・・」
無銘 文人(完璧超人な先輩の苦手なものを オレだけが知ってるのが嬉しかっただけなのに・・・!)
ドンッ
無銘 文人(ひっ!壁に押し付けられた!)
美丘 碧葦「俺も、お前の秘密を知っておかなきゃ気が済まないな」
無銘 文人「せ、せんぱい・・・!?」
美丘 碧葦「ひとつ、訊いていいか」
美丘 碧葦「お前の初キスっていつ?」
無銘 文人「まだ、です」
美丘 碧葦「あ?」
無銘 文人「オレ、ずっと部活やってて誰とも付き合ったことないんです! 童貞だし・・・」
美丘 碧葦「へぇ。それじゃあ、遠慮なく」
チュッ
無銘 文人(唇に温かい感触・・・これって・・・!)
無銘 文人「んっ・・・!」
美丘 碧葦「これで、お前の初キスの相手は俺だな」
美丘 碧葦「二人だけの、秘密だぞ」
無銘 文人(耳元で囁かれると、ゾクゾクする・・・!)
美丘 碧葦「じゃあ、俺帰るよ。 調理器具は洗ったから、食器の片付けはよろしく」
無銘 文人「あ、はい・・・」
ガチャ
無銘 文人(先輩とキス・・・しちゃった)
無銘 文人(唇・・・柔らかくて温かかったな)
無銘 文人(な、何考えてるんだオレ!? きっと先輩もからかっただけ・・・だよな?)
無銘 文人(たぶん・・・・・・)
〇街中の道路
美丘 碧葦(今日はちょっとがっついちゃったな・・・ まぁ、鈍いあいつがこれくらいで堕ちるとは思えないけど)
美丘 碧葦(第一目標は達成できたんだ。 焦らずいくさ)
美丘 碧葦(必ず、俺なしでいられないくらいに堕としてやるからな)
つづく
料理を教えてもらう名目…それもお互いそう思ってたのですね!
卵焼きの味も甘くなりそう〜笑
次会う名目は何になるのでしょうかねえ笑
先輩の積極的な感じと後輩の純粋な感じがたまらないですね(笑)これからもどんどん奥に深まっていく感じが予測できて続きが気になります。
先輩が積極的に後輩を責める気持ちがよく伝わってきました。壁ドンされた後輩は先輩の唇の感触に陶酔してる雰囲気が可愛い。二人は秘密を共有して、ますます面白くなってきました。