入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

エピソード1(脚本)

入れ替わりパーソナリティ~好きなあの子が恋してる相手は僕に恋してる!?

れこん

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〇教室
木下誠美(きのした なるみ)「ごめんね放課後まで学級委員の仕事手伝ってもらって。本当に助かったよ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「全然気にしないで。いつも委員長に世話になってるし僕で良ければどんどんこき使ってよ」
木下誠美(きのした なるみ)「いつも藤堂君は助けてくれてありがたいわ。それじゃもう少しだけクラスの配布資料をまとめる仕事を手伝ってくれるかな」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「了解」
  僕は委員長こと木下さんに惚れている。
  だからこうして一緒に居られるだけでとても幸せな時間だ。
藤堂千陽(とうどう ちはる)(よし、今は二人きりであの質問をするチャンスだ。覚悟を決めるぞ)
藤堂千陽(とうどう ちはる)「あの、作業の暇潰しで聞くんだけどさ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「委員長って好きな人とか居るの?」
木下誠美(きのした なるみ)「もうなんで急にそんな事聞くの?」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「えーと、アレだよ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「委員長みたいな真面目な人でも恋するのかなって、興味があって・・・」
木下誠美(きのした なるみ)「えー。それってすごく偏見じゃない。藤堂君って失礼だね」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「ごめん」
木下誠美(きのした なるみ)「冗談だよ。べつに本気で怒ってないし。それに──」
木下誠美(きのした なるみ)「実は私恋してるんだ」
木下誠美(きのした なるみ)「幼馴染に」
  なんとなく分かってたんだ
  僕が好きになった女の子は
  僕じゃない誰かを好きだってことを

〇学園内のベンチ

〇一戸建て

〇おしゃれなリビングダイニング
藤堂千陽(とうどう ちはる)「ただいま」
母さん「お帰り千陽」
母さん「夕食とお風呂準備できてるわよ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「うん」

〇清潔な浴室

〇おしゃれなリビングダイニング
父さん「おう千陽」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「あ、父さん帰ってたんだ」
父さん「まあな。それよりほら、今日は母さんが腕を奮って豪勢な夕食を作ってくれてるぞ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「なんで?今日は特別な日でもないでしょ」
父さん「いや、その・・・母さんがな、お前が帰って来た時えらく落ち込んだようすだったのをみてな」
父さん「それで食べて元気を出させる為に豪華な食事にしたんだ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「そうだったんだ」
母さん「ごめんね、余計なお世話だったかしら」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「全然そんな事ないよ。ありがとう」
父さん「千陽、何か学校で何かあったのか?もしよかったら父さんと母さんが相談に乗るから話してみなさい」
藤堂千陽(とうどう ちはる)(二人ともとても心配してるんだ。ここは安心させる為に正直に話した方がいいかな)
  僕は今日の出来事を両親に話した。
藤堂千陽(とうどう ちはる)「──という訳で僕は今日は失恋したんだ」
母さん「そうだったのね」
母さん「けど大丈夫よ。いつか千陽は良い子に出会えるから」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「・・・」
母さん「因みに相手は男の子? それとも女の子?」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「何その質問。木下さんは女の子に決まってるだろ」
母さん「あ、えーと。そ、そうよね」
父さん「うん、失恋したかぁ。辛いよなぁ」
父さん「けど安心しろ」
父さん「お前は母さんの遺伝子をついで顔は悪くないし性格も良い。たからワンチャン他の子にアタックすれば──」
母さん「あなた~」
母さん「ちょっと黙ってましょうね」
父さん(くっ、余計な事を言ってしまったか)
藤堂千陽(とうどう ちはる)「あはは、二人とも相談に乗ってくれてありがとう」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「なんか話したらスッキリしたよ」
母さん「・・・千陽」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「今日はもう寝るね」
父さん「おう、しっかりやすめよ」

〇男の子の一人部屋
藤堂千陽(とうどう ちはる)「くそー、木下さんの好きな人って誰なんだ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「しまった、例の発作が始まって──」
  駄目だ、抑えきれない

〇おしゃれなリビングダイニング
母さん「ねぇあなた。千陽は立派な男の子に成長したわね」
父さん「・・・」
母さん「あなた?」
父さん「あぁ、俺もそう思うよ」
「はっ? なーに言ってんのよ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「残念だけど私は女でーす」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「それも将来は悪い女になるつもり」
父さん「千陽・・・」
父さん「いや、千陰か」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「へぇ、あいつの為に腕を奮ったんだ」
母さん「ちゃんと千陰ちゃんのも用意してるの」
母さん「きゃ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「バカなのあんた。さっき食べたばかりの体で入る訳ないでしょ!」
父さん「千陰!」
父さん「母さんになんて事するんだ! 謝れ!」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「は? やんの?」
父さん「くっ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ふっ、雑っこ(笑)」
父さん「待て、もう夜だぞ! どこに行く気だ千陰!」

〇団地

〇マンションの共用廊下
武司の母「待ちんさい武司、どこ行くんね」
来栖武司(くるす たけし)「うざいじゃババア」
来栖武司(くるす たけし)「ほっとけや!」

〇団地
  ムシャクシャする
  理由はわからん
  夜に気分が昂るんじゃ
「武ちゃん!」
来栖武司(くるす たけし)「お、なんじゃ誠美か」
木下誠美(きのした なるみ)「どこに行く気?おばさん泣いてたよ」
来栖武司(くるす たけし)「どこでもええじゃろが」
木下誠美(きのした なるみ)「良くない」
木下誠美(きのした なるみ)「どうせ今から街に行って喧嘩でしょ」
木下誠美(きのした なるみ)「お願いやめて。危ないし武ちゃん捕まっちゃうよ」
  たいぎい女じゃ
  こいつも俺に干渉してきよる
来栖武司(くるす たけし)「お前うざいけえもう行くで」
木下誠美(きのした なるみ)「待って武ちゃん、私──」
来栖武司(くるす たけし)「なんじゃ?」
木下誠美(きのした なるみ)「ううん、やっぱなんでもない」
来栖武司(くるす たけし)「いや、なんかあるじゃろ。言えや」
木下誠美(きのした なるみ)(武ちゃん・・・)
木下誠美(きのした なるみ)「えっと、それじゃあ聞きたい事があるの」
木下誠美(きのした なるみ)「武ちゃんって気になる人いる?」
来栖武司(くるす たけし)「そんなんおらんで」
木下誠美(きのした なるみ)「えっ」
木下誠美(きのした なるみ)「そっか──」
木下誠美(きのした なるみ)「もういい」
来栖武司(くるす たけし)「訳わからん」

〇ネオン街

〇ゲームセンター
来栖武司(くるす たけし)(どっかにボコってもええ外道はおらんかの)
トン田「さっきからなんで勝てねんだよ」
来栖武司(くるす たけし)(◯◯工業高校のトン田?)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「あんた格ゲー下手でザッコ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ほら、さっさとコンティニューして私にタダで遊ばせなさいよ」
トン田「嘗めやがって」
トン田「女だからって調子のってんじゃねえぞ」
  トン田が女子の胸ぐらを掴んだ
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「なによ殴る気?」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「やれるもんならやってみなさいよ」
  怖じけずに言い返しよる!?
  気の強い女じゃ!
トン田「俺は女は殴らねえ」
トン田「けどな」
トン田「投げて落とすぜ」
トン田「だって柔道部の合同練習で女子部員を投げても平気なんだからよぉ!」
  待てやこの外道がぁ!
トン田「いってえな、誰だ」
来栖武司(くるす たけし)(ちっ、一撃で倒せんかった)
トン田「ん?お前見たことあるぞ」
トン田「確かこの辺りで調子に乗ってイキッてる中坊だろ」
トン田「高校生に逆らうなよ!」
トン田「表に出ろ」

〇ネオン街
トン田「うおおっ!」
来栖武司(くるす たけし)「くっ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「捕まれちゃ駄目、手を弾いて」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「次、空いた顔面に正拳突き」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「怯んだ、次はこっちが掴んで投げる」
来栖武司(くるす たけし)(重たっ!)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「姿勢をもっと低くして前に倒れ込むように引っ張れ!」
来栖武司(くるす たけし)(浮いた)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「とどめの一撃」
  来栖はトン田の顔を霞めるように蹴って
  あえてとどめを刺さなかった。
来栖武司(くるす たけし)「はよどっか行けや」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「何でやらなかったの」
来栖武司(くるす たけし)「あれ以上必要はないけえよ」
来栖武司(くるす たけし)「それより、さっきはありがとな」
来栖武司(くるす たけし)「正直体格差があるけん負けるとこじゃったわ」
警察官「む、騒ぎの原因はお前らか」
警察官「よく見たら未成年じゃないか。こんな夜遅くに何やってる!」
来栖武司(くるす たけし)「げっ、ポリじゃ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「こっち着いてきて」
警察官「待て!」

〇入り組んだ路地裏
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ここまで来れば安心よ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「てかあいつらから逃げるなんて余裕」
来栖武司(くるす たけし)「お前度胸あるの」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ニシシ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「それよりあんた強いわね。名前は?」
来栖武司(くるす たけし)「来栖武司じゃ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「私は千陰」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「多分同い年ね」
来栖武司(くるす たけし)「ほんならどこ中よ?」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「──中学二年よ」
来栖武司(くるす たけし)(俺がサボっとる学校と同じじゃ!)
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「ねえねえ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「武司ってなんでそんなおじいちゃんみたいなしゃべり方なの? あと いつも出歩いて喧嘩してんの?」
来栖武司(くるす たけし)「おじいちゃんじゃのうて広島弁は俺のアイデンティティーじゃ」
来栖武司(くるす たけし)「あと、そげにいっぺんに質問すんなや」
  なんでじゃろ?
  こいつはお袋や誠美と違って不快じゃない
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「あ、時間切れかぁ」
藤堂千陰(とうどう ちかげ)「それじゃ武司、悪いけど先に帰るね」
来栖武司(くるす たけし)「行ってしもうた」
来栖武司(くるす たけし)「学校、ちゃんと行こうかの」

〇一戸建て

〇男の子の一人部屋
藤堂千陽(とうどう ちはる)「・・・あれ?」
  昨晩はちゃんと僕は戻ったみたいだ

〇おしゃれなリビングダイニング
藤堂千陽(とうどう ちはる)「おはよう」
母さん「おはよう千陽」
母さん「昨日夜更かししてたでしょ。もう学校に行く時間ギリギリよ」
母さん「朝食を用意してるから早く支度しないさい」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「わかった」

〇白いバスルーム
藤堂千陽(とうどう ちはる)(母さんが泣いてたのを誤魔化した)
藤堂千陽(とうどう ちはる)(それに昨日僕が母さんにしたことも何となく覚えてる)
藤堂千陽(とうどう ちはる)「ごめん母さん」

〇学園内のベンチ

〇教室
藤堂千陽(とうどう ちはる)(あ、委員長)
  失恋してもやっぱり君が好きだ
  今まで通りやろう
藤堂千陽(とうどう ちはる)「おはよう委員長」
木下誠美(きのした なるみ)「おはよう。藤堂君」
  彼女は僕に笑顔で挨拶を返して
  いつもと変わらず普通に自分の
  席へと座った
  だめだ。やっぱり心が辛い。
  何で君の好きな人は僕じゃないんだろう
藤堂千陽(とうどう ちはる)「く、また例の発作が・・・」
  心と身体にストレスを感じると
  千陰の人格が僕の中から出そうになる。
  けれどここは学校だ。
  そしてクラス全員が僕のこの体質
  を知らない。何とか隠し通さないと・・・
クラスの男子「おい皆大変だ」
クラスの男子「あいつが学校に来た」
藤堂千陽(とうどう ちはる)「・・・はっ!」
藤堂千陽(とうどう ちはる)(うわ、まずい!千陰の変身道具を出そうとしてる)
  丁度何かに気が散って千陰を抑えることができた
藤堂千陽(とうどう ちはる)「えーと、何が起こった?」

〇学園内のベンチ
来栖武司(くるす たけし)(久々に学校行くって言ったらお袋が喜んだ)
来栖武司(くるす たけし)(それに学校には千陰もおるみたいじゃし一石二鳥じゃの)

〇教室
クラスの男子「あいつ(来栖)来る時ニヤついてたんだ」
クラスの男子「きっとこの学校の頂上を取る気だ」
藤堂千陽(とうどう ちはる)(そういえばクラスで一番の不良がいてずっと不登校のままだったな)
  正直僕はああ言った人種は苦手だ
木下誠美(きのした なるみ)(武ちゃん)
木下誠美(きのした なるみ)(急にどうして学校に来たの?)
木下誠美(きのした なるみ)(ううん、理由は何でもいい。武ちゃんが学校に来てくれるだけですごく嬉しい)
  僕はこの時まだ気がつかなかった
  木下さんの好きな人が来栖という不良で

〇まっすぐの廊下
来栖武司(くるす たけし)「千陰に会いたいの」
  そして来栖の好きな子が僕(千陰)だという事に
  続く

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 思春期特有のごちゃごちゃが丁寧に表現されており、そこに斬新な設定もプラスしていて、すごいです!続きも読ませていただきます!

  • ストレスがかかると女性に変身してしまい、奇妙な恋愛関係になってしまうストーリーが面白かったです!
    揺れ動く思春期世代の今後を楽しみにしています☺️

  • とっても面白かったです!
    奇妙な三角関係が始まってしまいましたね💦
    千陽(千影)が2重人格になってしまったも理由があるんですかね?
    個人的には不良なのに恋しちゃった来栖が可愛くて好きです〜(何で不登校になってしまったんだろう……?)
    3人(4人?)の恋の行方、続きが気になります!!

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