お人形みたいな……?(脚本)
〇木の上
シャルロッテ「すごくいい眺めよ!エミリーもどう?」
シャルロッテは太い木の枝に腰掛け、脚をぶらぶらと動かしていた。
エミリー「お嬢様・・・はしたないですよ!」
エミリー「それから、旦那様がお呼びです」
ルーベル「シャルロッテ!降りてきなさい、話しがある」
シャルロッテ(お父様が私に?)
シャルロッテ「よっ、と」
シャルロッテは軽やかに着地した。
ルーベル「お前の嫁ぎ先が決まった」
シャルロッテ「どういうこと?」
ルーベル「言った通りだが?」
シャルロッテ「まさか、お父様・・・」
シャルロッテ「私は何処の誰かもわからない人と結婚する気なんてないって言ったでしょ?」
ルーベル「相手はサンデルシア王国の公爵だ」
ルーベル「何不自由なく暮らすことができるだろう」
シャルロッテ「私はそんなこと望んでいないわ!」
ルーベル「なんだと!?」
ルーベル「お前のために高い金を払わされるこちらの身にもなれ!」
シャルロッテ「なにその言い方!」
シャルロッテ「こっちから出てってやるわよ!こんな家!」
〇城の客室
シャルロッテは明日の出発に向けて支度をしていた。
シャルロッテ(お父様にはあんなこと言ってしまったけど)
シャルロッテ(私が誰かの妻になるなんて想像もできない)
シャルロッテ(きっと相手は私を見てびっくり仰天でしょうね)
エミリー「失礼します」
エミリー「お嬢様、お支度は順調ですか?」
シャルロッテ「エミリー!もうバッチリよ!」
エミリー「・・・あの、よろしかったのですか?」
シャルロッテ「いずれは、とは思っていたの」
シャルロッテ「それにうちは貴族とは言っても裕福ではないから」
シャルロッテ「これで少しはお父様のお役に立てるわ」
エミリー「お嬢様・・・」
シャルロッテ「お相手はラピスラズリ家の方だそうよ」
エミリー「ラピスラズリ・・・」
シャルロッテ(私でも名前を知っているぐらいの名家)
シャルロッテ「どうしてそんな相手と・・・?」
エミリー「お嬢様?」
シャルロッテ(あ、思わず声に出てしまったわ)
シャルロッテ(エミリーに心配をかけるわけにはいかない!)
シャルロッテ「ううん、なんでもないの!」
〇城の客室
シャルロッテ「はあ・・・」
シャルロッテ「お母様・・・」
シャルロッテ(お母様もお父様もお互いを愛し合っていたわ)
シャルロッテ(だからお母様が亡くなってもお父様は他の女の人と一緒にはならなかった)
シャルロッテ(それなのに私には政略結婚をさせるのね)
〇古い洋館
エミリー「お嬢様、お元気で」
シャルロッテ「エミリーも!また会いましょう!」
シャルロッテ(本当は一緒に行きたかったな・・・)
シャルロッテ(でもエミリーを連れて行ったらお父様が一人になってしまう)
ルーベル「シャルロッテ」
ルーベル「しっかりと自分の役目を果たしなさい」
シャルロッテ「はい、お父様」
〇海
シャルロッテは船に揺られながら遠くの方を見つめていた。
シャルロッテ「私の役目ってなんだろう?」
シャルロッテ(お父様が私のためを思ってくれてるのはよくわかる)
シャルロッテ(だってそうじゃなきゃ公爵なんて身分の方と婚約させてもらうことはできないもの)
シャルロッテ(でも私は自分の家や相手の地位や名誉のために生きているの?)
問いかけても返事をする者はいない。
シャルロッテはエミリーの言葉を思い出す。
〇城の客室
エミリー「お嬢様は少々おてんばがすぎることがございます」
シャルロッテ「はい・・・」
エミリー「ですが、私はシャルロッテ様ほど明るく、まっすぐな方に出会ったことはありません」
シャルロッテ「エミリー・・・」
エミリー「お相手がどのようなお方でも、シャルロッテ様でしたらきっと大丈夫ですよ」
シャルロッテ「・・・ありがとう」
〇海
塩の混じった生暖かい風がシャルロッテの髪を揺らす。
シャルロッテ(愛のない結婚なんて悲しいわ)
シャルロッテ(いや!決めつけは良くない!)
シャルロッテ(とっても愛情深い方かもしれないもの!)
シャルロッテ(ここで考えたって仕方ないわ)
シャルロッテ「当たって砕けろだ!」
〇ファンタジーの学園
ラピスラズリ邸
シャルロッテ「立派なお屋敷・・・」
シャルロッテ(さすが公爵家のお家だわ)
手前は三階建て、さらにその奥にはもっと高い建物が見える。
〇植物園のドーム
シャルロッテ「温室まであるわ・・・」
〇ファンタジーの学園
シャルロッテ「こんな大きなお家・・・私には場違いね」
〇上官の部屋
ナナ「こちらのお部屋でございます」
シャルロッテ「ありがとう!」
シャルロッテ(なんだか緊張してきたわ)
シャルロッテ(エミリーはああ言ってくれたんだから)
シャルロッテ(大丈夫・・・)
シャルロッテ「私はシャルロッテ・コンクシェルと申します」
シャルロッテ「これからよろしくお願いします!」
ガブリエル「ガブリエル・ラピスラズリだ」
シャルロッテ(お人形みたいな顔だ)
シャルロッテ(でも、冷たい表情・・・)
シャルロッテ(きっとあの顔は陶器か何かでできているんだわ)
シャルロッテ「・・・」
ガブリエル「・・・」
シャルロッテ(あれれ?)
シャルロッテ「えっと?それだけ?」
ガブリエル「他に何かあるのか?」
ガブリエルはシャルロッテを睨む。
シャルロッテ「いえ!」
シャルロッテ(ひえー!コワイ!)
ガブリエル「用が済んだならさっさと出て行け」
シャルロッテ「ひ、ひゃい!」
シャルロッテ(愛情どころか愛想もない!)
シャルロッテ(いったいこれからどうしたらいいの・・・?)
〇城の廊下
ナナ「奥様、お待ちしておりました」
シャルロッテ「お、奥様!?」
シャルロッテ(そっか、私もう公爵夫人なのね・・・)
ナナ「何かご無礼がございましたら申し訳ありません!」
シャルロッテ「違うの!なんだかまだ実感がなくて」
ナナ「そ、そうでございましたか」
シャルロッテ(ちょっと堅いなあ・・・私も緊張しちゃう)
ナナ「お荷物は既にお部屋へ運んでおります。ご案内いたしますね」
〇城の廊下
バーバラ「あら、あなた・・・」
シャルロッテ「あ、こんにちはー!」
バーバラ「フフフ」
シャルロッテ(行ってしまったわ・・・)
シャルロッテ(誰だろう?)
〇城の廊下
シャルロッテ(人もたくさんいるのね)
〇貴族の部屋
シャルロッテ「広っ!」
シャルロッテ(前の部屋の三、ひょっとすると四倍ぐらいはあるかも・・・)
シャルロッテ(落ち着かない・・・)
ナナ「何かございましたらお呼び下さい」
そう言ってナナは静かに部屋から出ていった。
シャルロッテ「本当にすごいお家なのね」
シャルロッテ(使用人はたくさんいたし、建物も庭園も豪華で同じ貴族と言えどこんなにも違う)
シャルロッテ(きっとガブリエル様は優秀な方なんだわ)
シャルロッテ「はあ・・・」
シャルロッテ「名前を思い出しただけで先が思いやられる!」
シャルロッテは叫びながらベッドにダイブした。
そのままごろんと仰向けになると天蓋のカーテンが太陽光を反射して輝いていた。
シャルロッテ「きれー・・・」
シャルロッテ「・・・」
シャルロッテ「愛してもらえばいいじゃない!」
シャルロッテ(最初は大体こんなものよ!)
シャルロッテ(これから仲良くなればいいんだわ!)
シャルロッテ(まずは呼び方からね・・・)
シャルロッテ「うーんと、ガブリエル・ラピスラズリだから・・・」
シャルロッテ(ガッピー・・・ラッピー・・・いや、違うな)
シャルロッテ(ガブ・・・)
シャルロッテ「そうだ!ガブさんだわ!」
シャルロッテ(短くて呼びやすいし、かわいい!)
シャルロッテ「よーし!明日からはこれで決まり!」
〇上官の部屋
同じ頃
イゼム「さっき公爵夫人が来たんだって?」
ガブリエル「ああ」
イゼム「どうだった?」
ガブリエル「どうもこうもないさ」
ガブリエル「しかし・・・・・・」
ガブリエル「うん、やはり似ていたよ」
使用人のナナちゃんとの交流がもっと見てみたいなーと思いました!
攻略結婚に抵抗はありながらも父親や家系のために決心したこと、第一印象がよくなかった将来いやすでに旦那様に対しても前向きに良い関係が保てることを願うことも良く出来た人だと思います。エミリーの言っていた通りになるといいですねえ。
令嬢ものが大好きなので読ませて頂きました!
シャルロッテ嬢とガブさんの恋愛、楽しみにしています✨
早く両想いになれますように😆