Removable(リムーバブル)

nori

エピソード1(脚本)

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〇アパートのダイニング
新見貴子「珍しいわね、あんたが電話なんて。しかもこんな遅くに」
「つい声が聴きたくなって」
新見貴子「何よ、それ。気持ち悪いわよ」
「ゴメン・・・」
新見貴子「何かあった?」
「母さん・・・俺・・・」
新見貴子「何よ」
「俺・・・人を殺しちゃったかもしれない」
新見貴子「何の、冗談!?」
「冗談なんかじゃないんだ。ホントの話。まだ確認したワケじゃないけど・・・」
新見貴子「何よ、その確認したワケじゃないって」
「人を刺した。刺したっていうか、別に刺すつもりなんてなかった。でも・・・結果的に俺が刺したことになる」
新見貴子「誰を刺したっていうの?」
「わからない。知らない奴。俺・・・俺・・・ただ助けようと・・・こんなことになるなんて・・・ゴメン」
新見貴子「ちょっと隆志、落ち着きなさい。一体、何があったの?どうしてあんたが、見知らぬ人を刺さなきゃいけないの」

〇入り組んだ路地裏
新見隆志「参ったなあー。また今日もこんな時間だよ。もっと人、雇ってくれないと回らないっつーの」
「やめてよー。あんたとはもう終わったんだから。もう付きまとわないでよ」
「勝手に決めつけないで欲しいな。僕はまた終わったとは思ってないし。仮にキミが終わったと思っても、僕らまだやり直せるだろ?」
新見隆志(げっ、修羅場かよ。参ったな―、回り道してたら、もっと帰り、遅れちゃうしなー)
「何すんのよ!!」
「ゴメンよ。傷つけるつもりなんてないんだよ。ただ、あんまりキミが言うことをきかないもんだからさ」
新見隆志(バイオレンスのおまけつきかよ。余計に修羅場だなあ)
「そうやって力で従わせる気?心があなたから離れてるってことがわからないの?」
新見隆志(うわっ、言うねえ。強気──。どんな女、なんだろう)
新見隆志(意外と、可愛いじゃん)
男「わかったよ。キミがそこまで言うなら、仕方ないね」
新見隆志(おっ、修羅場解消?だったら早く、道を空けてくんないかなあ)
神里友里「何よ、それ!?」
男「心をひとつにできないなら仕方ないよね。せめて滅びゆく肉体だけでもひとつにしようかと思ってさあ」
神里友里「意味、わかんない」
男「意味はわかんなくていいよ。もうキミの意思の問題じゃないから。肉体だけが僕と共に滅んでくれればいい」
神里友里「あなたどうかしてるわ」
男「そんなことはどうでもいいんだよ。さあ、先に行って待っててくれないか。僕もすぐ行くからさ」
新見隆志「危ない──」
男「何だい、キミ!?」
新見隆志「早く、この場から離れるんだ。早くっ!!」
神里友里「えっ、でも・・・」
新見隆志「いいから。キミが逃げたら、俺も直ちにこの場から離れる。こんなのを相手にする義理は俺にはないからね」
神里友里「わかった。助けてくれてありがとう。早く、逃げてね」
男「あー、なんてことをしてくれるんだ。何の関係もないキミが邪魔しないで欲しいんだよね」
新見隆志「邪魔する気なんかない。ただの人助けだ」
男「彼女が去った以上、もうどうしようもないじゃないか」
新見隆志「わかってくれたなら、話が早い」
男「そうだね。仕方ないから、この代償はキミで払ってもらうしかないね」
新見隆志「ちょっと待てって」
男「うっ・・・」
新見隆志「おいっ!?しっかりしろ」
新見隆志「そんなこと・・・」

〇散らかった部屋
新見隆志「どうしてこんなことに・・・俺、これからどうなるんだろう・・・アイツ、動かなかった・・・」
新見隆志「母さん、俺・・・隆志」
「珍しいわね、あんたが電話なんて。しかもこんな遅くに」
新見隆志「つい声が聴きたくなって」
「何よ、それ。気持ち悪いわよ」
新見隆志「ゴメン・・・」
「何かあった?」
新見隆志「母さん・・・俺・・・」
「何よ」
新見隆志「俺・・・人を殺しちゃったかもしれない」
「何の、冗談?」
新見隆志「冗談なんかじゃないんだ。ホントの話。まだ確認したワケじゃないけど・・・」
「何よ、その確認したワケじゃないって」
新見隆志「人を刺した。刺したっていうか、別に刺すつもりなんてなかった。でも・・・結果的に俺が刺したことになる」
「誰を刺したっていうの?」
新見隆志「わからない。知らない奴。俺・・俺・・・ただ助けようと・・・こんなことになるなんて・・・ゴメン」
「ちょっと隆志、落ち着きなさい。一体、何があったの?どうしてあんたが、見知らぬ人を刺さなきゃいけないの」
新見隆志「・・・」
「あんた、さっき確認したワケじゃないって言ったわよね。それ、どういうこと?その人は病院?警察には連絡した?」
新見隆志「俺・・・逃げた・・・怖くなって、そこから逃げた・・・だから、今はどうなってるのか・・・」
「隆志、あなた今、どこにいるの?」
新見隆志「アパート」
「今からその場所に戻りなさい。それで事実を確認するの」
新見隆志「そんなこと・・・」
「ゴメン、こんな残酷なこと言って。でも、事実と向き合うしかない」
「その人は病院に運ばれてて、命が助かるかもしれない。ただ助けようとしたって言ったわよね?」
新見隆志「うん・・・」
「あなたがさきに手を出したワケじゃないんでしょ?」
新見隆志「うん・・・」
「母さん、法律のこととかよくわかんないけど、正当防衛ってのが認められるんじゃないの?」
新見隆志「わかんないよ、そんなこと・・・」
「現場に行くの、隆志」
新見隆志「・・・」
「大丈夫、母さんがあなたのことを守るから」
新見隆志「わかった・・・」
新見貴子「ゴメン、隆志・・・」

〇入り組んだ路地裏
新見隆志(誰もいない・・・)
新見隆志(もう病院に運ばれたのかなあ。それにしても誰もいないなんて・・・警察は?)
新見隆志(ここだよな、刺したの)
新見隆志「そんな馬鹿っな!?」
新見隆志「血痕がない!!」
新見隆志「あっ、母さんかな」
新見隆志(非通知・・・こんな時間に・・・)
新見隆志「はい・・・」
「おっ、非通知なのに取りましたね」
新見隆志「誰ですか?」
「そうですね、あなたの秘密を管理する者、とでも言っておきましょうか。初めまして、新見隆志さん。くっくっくっ」
新見隆志「何を言ってるんですか」
「とぼけなくてもいいでしょう。このタイミングで電話してるんですよ。何の話かわかるはずだ」
新見隆志「・・・」
「驚いたことでしょうね。死体、おっと失礼。まだ死んでませんでした」
「男の体はともかく、血痕すらないことに」
新見隆志「拭き取ったっていうんですか」
「まさか!?それじゃ、完全に証拠は消せないでしょう。その形跡は残ってしまう」
新見隆志「・・・」
「拭き取ったのではなく、あの場面を取り除いたのですよ」
新見隆志「どういうことですか?」
「つまりですね、あの場面を切り取って、我々が管理しているワケですよ。管理しているっていうことの意味がわかりますか」
新見隆志「そんなことができるワケないでしょ。そんな話を俺が信じるとでも・・・」
「では、こうしましょう。明朝、同じ場所にお越しください。昨晩あなたが起こした場面を目撃することになります」
新見隆志「待ってください」
「管理するとはそういうことです。我々はいつでもあの場面を元に戻すことができる」
新見隆志「ひとつ教えてください。あの男はまだ生きてるんですか?」
「ご安心を。あなたはまだ殺人犯にはなってませんよ。くっくっくっ。さっき言ったでしょう、あの場面を管理していると」
「つまり、あの男の時間も止まっているワケですよ。虫の息という状況は変わりませんがね」
新見隆志「あれは正当防衛が認められるはず」
「それを証明してくれる人がいるとでも?過剰防衛というも言葉があるでしょう。正当防衛が認められても、世間がどう思うか」
新見隆志「何が目的ですか?」
「それはおいおい。今宵は挨拶までにとどめておきます。今宵は安心してお休みください。Good night」

コメント

  • ちょうど引き込まれるタイミングで話が終わったので、この続きがとても気になります。お母さんがなにか鍵をにぎっているような雰囲気もあったりなかったり。

  • お母さんが言った【ごめん。】の一言が引っ掛かります。この電話の主と関係があるのでしょうか。場面を切り取る、という表現がとても鮮烈でした。どうして作業したのか、早く知りたいです!

  • これからの展開楽しみです。凄いハラハラしてみてしまいました。カップルは果たして…こわいですね

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