1.雨降るカフェ(脚本)
〇空
雨降って地固まる
日本のことわざの1種
本当にそうでしょうか?
雨が降った程度で、ほんの些細なトラブル程度で、地は固まるのでしょうか。
喧嘩、隠蔽、嘘、不倫、愛、その他諸々。
生きているだけで起こる様々なトラブル。
果たしてそれらは、雨が上がった程度の事で地を固めて安定した未来を見せてくれるのでしょうか。
安定とは、固まった地とは、何なのでしょうか。
いつだって我々は
沼のように不安定な足場の上で、生きている
「本日はお足元の悪い中お越しいただき誠にありがとうございます________」
〇レトロ喫茶
「本日はお足元の悪い中お越しいただき誠にありがとうございます____」
ミカ「・・・・・・」
「お客様、タオルなどご利用ですか?」
ミカ「あぁっ!いや、あの・・・っ!」
ミカ「大丈夫・・・です・・・」
ミカ「ありがとうございます・・・・・・」
ミカ(そんなに濡れてたんだ私・・・ 恥ずかしい・・・・・・)
ミカ(さてさて、何を頼もうかな)
甘味は心を満たしてくれる。
だってほら、チョコにも幸せホルモン?とかいうのがあるらしいし。
プラシーボ効果?ってヤツでも、とにかく心が晴れるならそれでいい。
行き詰まった時、モヤモヤした時、嫌な事があった時。そんな時は好きな事に逃げるのが1番だ。
逃げるが勝ちってやつだ。
ミカ「あ・・・・・・タッチパネル・・・」
ミカ「嬉しいなぁ・・・・・・」
ミカ(なるべく人に迷惑かけたくないから、こんな感じでタッチパネルのお店増えないかな・・・)
「お待たせいたしました〜。 こちらお冷でございます〜」
ミカ「あ、ひゃい!」
「ご注文の際タッチパネルでお願いします〜 ごゆっくりどうぞ〜」
ミカ「・・・・・・・・・・・・はい・・・」
ミカ(ひゃいって・・・・・・言っちゃった・・・)
ミカ(後で1人反省会しよ・・・・・・)
甘味は心を満たしてくれる。
それだけじゃなくて、無口だから付き合いやすい。
人が嫌いなわけじゃないけど、ちょっと怖い。
みんなみんな、心の中で何を考えているのか分からなくて、怖くて。
ミカ「・・・・・・パフェと・・・オレンジジュースと・・・」
そんな日には、無口に甘やかしてくれる甘味に逃げるのが1番。
ミカ(パンケーキ・・・! えぇ〜!!?どうしよう・・・)
ミカ(2つはさすがにカロリーが・・・)
ミカ「・・・・・・えいっ」
ミカ(結局両方頼んじゃった・・・)
ミカ(優柔不断、ダメだなぁ)
ミカ「1人反省会・・・」
ミカ「長くなりそうだなぁ・・・」
〇レトロ喫茶
レオ「お待たせしました〜!!!」
ミカ「あ、は、はい・・・!」
レオ「こちらがオレンジジュースと・・・」
レオ「たっぷりイチゴのデラックスパフェ・・・」
ミカ(げ、元気な人・・・)
ミカ(そんなおっきい声・・・おっきいパフェ頼んじゃったの周りに・・・・・・ は、恥ずかしい・・・・・・)
レオ「と、スフレパンケーキの2段!ですね!」
ミカ「はい・・・・・・」
レオ「・・・・・・あれ?もしかしてお水出し忘れちゃいました?」
ミカ「え・・・?もらって・・・・・・」
レオ「1つしか無いみたいだったので。 すぐお持ちしましょうか」
ミカ「あ、あの、えっと・・・・・・」
ミカ「あってます・・・。 1人、です・・・」
レオ「・・・・・・」
レオ「そーなんですね!」
レオ「ウチのパンケーキスフレなんで、スルスルっといけちゃいますよ!」
ミカ「え・・・?」
レオ「パフェだけじゃ足りなかったらいつでも呼んでください」
レオ「駆けつけるんで!」
ミカ「・・・・・・」
ミカ「ありがとう・・・・・・ございます・・・」
レオ「ごゆっくりどうぞ」
ミカ「・・・・・・」
ミカ「・・・・・・・・・」
ミカ「変な人・・・・・・」
〇レトロ喫茶
レオ「お下げしちゃいますね」
ミカ「あの・・・・・・」
レオ「はい?」
ミカ「・・・・・・・・・・・・」
ミカ「ありがとうございました」
ミカ「とっても、美味しかったです」
レオ「・・・」
レオ「いや、俺なんもしてないですよ!」
レオ「ただ運んだだけだし!」
ミカ「あ、そ、そうですよね・・・」
レオ「でも喜んでもらえてよかったです」
レオ「なんか悲しそ〜な顔してたんで。 笑顔見れてよかったです」
ミカ「あ・・・・・・・・・」
ミカ「はい・・・!」
レオ「それじゃ、ごゆっくり〜」
ミカ「・・・」
ミカ(カッコイイ人だなぁ・・・)
ミカ(って、何考えてるの私・・・!)
ミカ(あの人は店員さん・・・! 迷惑かけちゃダメダメ・・・!)
ミカ(接客ってわかってるけど・・・)
ミカ(優しい人だったなぁ・・・・・・)
みわ「・・・」
みわ「何アイツ・・・」
みわ「みわ、あんなの言われた事ないのに・・・」
〇センター街
ミカ「すっかり遅くなっちゃった・・・」
ミカ「・・・・・・ふふ。いい人だったなぁ」
ミカ(また会えるかな・・・・・・)
「お〜い!!!」
ミカ「ひゃっ!!?」
ミカ(ビックリした・・・・・・ 男の人の声だし私の事じゃないけど・・・)
「お〜い!」
レオ「さっきぶりですね!」
ミカ「あ・・・さ、さっき、の・・・・・・」
レオ「あ、俺レオっていいます! 西高の!」
ミカ「本当だ・・・・・・西高の制服・・・」
レオ「お客さんは南高っスよね。 すげぇな〜俺のとこより偏差値10以上違うし」
ミカ「ミカ、です!」
レオ「ミカ?」
ミカ「あ・・・・・・・・・あの・・・」
ミカ「名前・・・・・・です・・・」
レオ「いい名前っスね。 名前もミカちゃんもかわいーし」
ミカ「えぇ!?」
レオ「あのさ、嫌だったら断って欲しいんスけど」
レオ「その・・・・・・一目惚れ、つーか・・・」
ミカ「あ、え、えと・・・・・・」
ミカ「ごめんなさい!」
レオ「えぇ!?ちょっと、待っ・・・・・・」
レオ「・・・・・・」
レオ「いい暇つぶしになりそうだな。アレ」
"良さげな女見つけた"
"ミカ 南高 甘いものが好き コミュ障"
レオ「・・・・・・・・・腕がなるな」
レオ「楽しみだなァ〜!フるの!!」
安定した人生とは
一体何なのでしょうか
みわ「空が晴れたなら、みわの気分も晴れなきゃだよね〜」
みわ「だ〜か〜らァ〜」
みわ「次は無いから。あの南高のオンナ」
レオの感じのいい接客に恋の始まりを予感させられましたが、怖いセリフで雲散霧消ですね。彼の真意と目的は何か、これからの展開が楽しみになります。
彼の言葉が怖いです、、、人の気持ちを持て遊んで何を得るのでしょうか。地固まらずでお願いしたいですね、ストーリーの展開はとても楽しかったです。
これから始まるリカとレオの恋物語が、何かよからぬ雰囲気がしています。リカの純真な気持ちを弄ぶかの様なレオの発言が、雨降って時固まる様な気がしないです。