メモリー

57Toki

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〇高級マンションの一室
  家に帰ると玄関には
  見たことのない靴。
莉緒「誰か来てるの?」
  リビングのソファに
  腰かけてる人を
  見た瞬間に、どきっと心臓が鳴った。
  端正な顔立ちのその人は
  優しく微笑んで、こっちを見つめてる。
  いつくしむような眼差しで。
  誰だろ? 全然心当たりがない。
母「莉緒、おかえり。 蒼くんのこと、覚えてる?」
莉緒「蒼?」
母「小さいとき、いつも一緒に遊んでたでしょ」
  信じられない。
  目の前の男の子が蒼だなんて。
  幼馴染の蒼は、わたしより一つ年上。
  毎日一緒に遊んでた。
  子どものころは
  身長も同じくらいだったのに。
  立ち上がった蒼は、
  見上げるくらいに背が高かった。
  びっくりしてるわたしを見て、
  蒼がにやりと笑った。
蒼「おれのこと忘れてただろ。薄情だな」
  驚かせることに成功して、満足そうな顔。
莉緒「だって、蒼が引っ越してから ずっと会ってなかったんだよ?  わかんないって」
  緊張して損した。
  ときめきを返してほしいくらいだ。
蒼「そうかな、コロはおれのこと 覚えてたみたいだけど」
  うちで飼ってる柴犬のコロが、
  嬉しそうに蒼のまわりをうろつく。
  はしゃいでるコロをなでて、
  蒼は目を細める。
蒼「会いたかったんだよな。コロ。 おれもさみしかったよ」
母「今A大学通ってるんだって。 莉緒、勉強教えてもらいなさい」
莉緒「え、いいのに」
母「蒼くん、よろしくね」

〇女の子の二人部屋
蒼「莉緒の母さんから頼まれたんだ。 家庭教師してほしいって」
莉緒「そんなのいらないって」
蒼「今年受験だろ、おすすめの問題集とか 今度持ってくるよ」
莉緒「家庭教師って、漫画読んでるだけじゃん」
蒼「莉緒が問題解くの待ってる間、暇だし。 これ、続きある?」
  あの蒼に勉強教わるなんて変な感じ。
  全然集中できない。
  さっきから、同じところを
  何度も読み返してる。
  わたしは蒼の横顔をちらっと観察した。
  別人みたいにかっこよくなってる。
  なんかずるい。
  置いて行かれたような気分だ。
蒼「受験がんばれよ。 莉緒と同じ大学通うの楽しそうだし」
莉緒「先輩ってこと? 違和感あるんだけど。あ、蒼が留年したら、同級生じゃん」
蒼「それは困る」
蒼「よし、全問正解!  莉緒の母さん心配してたけど この調子なら大丈夫だろ」
莉緒「よかった」
蒼「外行こう。アイスおごるよ。 がんばったご褒美に」
莉緒「いいの? やった!」

〇土手
蒼「はい」
  コンビニで蒼がさしだしたのは、
  わたしが一番好きな味のアイス。
蒼「好きだっただろ」
莉緒「えっ、覚えてたの?」
蒼「覚えてるよ。 莉緒、いっつもこの味食べてたから スナックならめんたいこ味。 ゲームのときはドンキー使ってて」
蒼「あと、散歩の途中でコロが逃げて 泣いてたのも覚えてる」
莉緒「忘れてよ」
  久しぶりにこの街へ帰ってきた蒼を
  案内しながら、散策した。
  歩いてるだけなのに、
  みんなが蒼に注目してる。
  背が高くてよく目立つし、
  大学でもモテるんだろうな。
蒼「ここ、新しくなってる」
莉緒「小学校の裏にあった 駄菓子屋はそのままだよ」
蒼「あっ、ここ!  秘密基地作っておこられたよな」
  二人で歩いていると、
  懐かしい思い出が次々に
  よみがえってくる。
  いつまでも話がつきなかった。
  今日は、見なれた景色が
  やけにまぶしく感じられる。
莉緒「送ってくれてありがとう」
蒼「いいよ。通り道だし」
莉緒「大学入って忙しいんでしょ? 家庭教師なんかしなくてもいいよ」
  蒼は照れたように口元をかくした。
蒼「おれから言い出したんだ。 莉緒に会う理由が欲しかったから」
  心臓が苦しい。
  なんでドキドキしてるのかわからない。
蒼「莉緒がよかったら家庭教師、 続けさせてほしい。 おれはこれからも莉緒に会いたい」
莉緒「・・・わたしも」
蒼「じゃあ、また明日」
  蒼の笑顔はあの頃のままだった。

コメント

  • 懐かしさやドキドキなど、莉緒の感情が細やかに描かれていて、読んでいてとても伝わってきます。この2人の可愛い恋愛は、ずっと見ていたくなりますね。

  • 昔のことを覚えていてくれるのって、自分にしたらすごく嬉しいことですよね!まぁ嫌なことは忘れてほしいですが笑
    純愛って感じがして、とても応援したくなりました!

  • 幼馴染みに久しぶりに会ったときに思わぬイケメンになっていたら、不思議な懐かしさもありながら、でも時間があいていたらなんとなくぎこちなくもなりそうで、ドキドキしてしまいますよね。頭がよい男性に勉強教えてもらうというのも、学生時代の理想のシチュエーションだったので、読んでいて楽しかったです。

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