飴噛み砕く系男子(脚本)
〇教室
先生「これ、分かるやついるかー?」
先生「あゆむ!どうだ」
あゆむ「えーっと・・・」
あゆむ「分かりません・・・」
先生「じゃあ・・・」
先生「ゆき!」
ゆき「恐怖・・・ですか?」
先生「おしい!ここで言う”それ”とは、勇気を表しているんだ!じゃあ・・・」
先生「今日はここまで!」
あゆむ「・・・」
〇学校の廊下
あゆむ「・・・」
友達「あゆむー!」
友達「カラオケいかねえ?」
あゆむ「行かない」
友達「いっつもそうじゃんかー」
友達「なんで?」
あゆむ「別に・・・」
あゆむ「お前と遊びたくないわけじゃないよ」
あゆむ「でも・・・」
友達「でも・・・?」
あゆむ「なんでもねえよ・・・」
あゆむ「また明日・・・」
友達「おい!あゆむー!待てよー!」
〇教室
友達「ゆきー!今日さ!カラオケ行かない?」
ゆき「うん!いいよ!」
ゆき「下手でも・・・よければ・・・」
友達「やったー!いこー!」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
あゆむ「俺〜、なんて〜♪」
あゆむ「はぁ・・・」
あゆむ「・・・」
あゆむ「・・・」
あゆむ「40点・・・」
あゆむ「こんなんじゃ、あいつとカラオケ行ってもなぁ・・・」
あゆむ「て・・・」
あゆむ「ん・・・?」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
ゆき「私〜、だって〜♪」
ゆき「ふぅ・・・」
友達「いえーい!」
ゆき「・・・」
ゆき「41点・・・」
友達「ゆきの歌、気持ちがこもってて好きだな〜」
ゆき「そうかな・・・あ、ありがとう」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
あゆむ「この声・・・」
あゆむ「同じクラスの『ゆき』さん・・・」
あゆむ「あんなに盛り上がってる・・・」
あゆむ「俺には真似できないや・・・」
〇教室
先生「みんな〜、早く帰れよ〜」
あゆむ「あ・・・」
ゆき「・・・」
あゆむ「あの・・・」
あゆむ「どうかした・・・?」
ゆき「わ!」
あゆむ「ごめん!なんかずっと下向いてたから」
ゆき「ううん、私こそごめん!」
あゆむ「・・・」
ゆき「・・・」
あゆむ「それ・・・」
ゆき「これは・・・」
あゆむ「歌唱レッスン?て、書いてあるの?」
ゆき「うん・・・」
ゆき「迷ってるの・・・」
あゆむ「いいじゃん」
ゆき「でも私・・・」
ゆき「とてつもなく音痴なの」
ゆき「歌うのは大好きだけど」
ゆき「本当に下手なの・・・」
ゆき「親にもまだ言ってないし・・・」
あゆむ「でも、歌うの好きなんでしょ?」
ゆき「うん・・・大好き・・・」
あゆむ「ゆきさんならできるよ」
あゆむ「勇気があって・・・」
あゆむ「いつも頑張ってるし!」
あゆむ「この前もカラオケで・・・」
ゆき「カラオケ?」
あゆむ「あ、いや・・・」
あゆむ「とにかく、ゆきさんなら大丈夫!」
あゆむ(俺とは違って、勇気ある人だから・・・)
ゆき「なんか決心ついたかも!お母さんに相談して見る!」
あゆむ「頑張って!」
あゆむ「・・・」
〇研究所の中
あゆむ「これを、こうして・・・」
じいや「坊ちゃん、何をなさっておられるのですか?」
あゆむ「俺も勇気を出せるようになるには、どうすればいいのかと思ってさ・・・」
あゆむ「飴、作ってるんだ」
じいや「はて?飴ですか?」
あゆむ「ああ、この飴は勇気が出る成分を凝縮して作ったんだ」
あゆむ「これを舐めると・・・」
あゆむ「まあいいや、明日試して見るよ」
じいや「流石、坊ちゃんでございます」
じいや「そのような凄い飴を生み出されるとは」
あゆむ「でもこの飴、ちゃんと舐めないと・・・」
〇教室
あゆむ(飴を一口・・・)
先生「誰かここ!分かるやついるかー?」
あゆむ「はい!」
あゆむ「勇気です!」
先生「はっはっは!」
先生「惜しい!ここまで話してきたことは勇気についてだが・・・」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
あゆむ「俺〜、はまだ〜♪」
友達「あゆむ・・・急にどうしたんだよ・・・」
あゆむ「え?だってお前、良く誘ってくれてたから」
友達「ま、まあ、たしかにな!」
あゆむ「どう?俺の歌」
友達「まあ、下手だな」
あゆむ「そっか、でも、なんか堂々と歌えるわ」
友達「そ、そっか!そりゃよかった!」
友達「じゃんじゃん歌おうぜー!」
〇研究所の中
あゆむ(この飴が有ればなんでも・・・)
あゆむ(例えば好きな人に思いを伝えることも・・・)
じいや「坊ちゃん」
あゆむ「うわ!」
あゆむ「びっくりしたよ、なんだよ爺や」
じいや「飴はどうでしたか?」
あゆむ「ああ、良い感じだったよ」
あゆむ「これがあれば好きな人に告白することも・・・」
じいや「坊ちゃんもそのような年頃ですか・・・」
あゆむ「ち、ちげえよ!」
じいや「ふぉっふぉっふぉ」
じいや(顔がニヤけておられる)
じいや「青春ですなあ」
あゆむ「だから違うって!」
〇学校の廊下
あゆむ(飴を舐めて・・・っと)
あゆむ「きた・・・」
ゆき「どうしたの?あゆむくん」
あゆむ「ちょっと話があってさ」
ゆき「うん!なあに?」
あゆむ「あ、あの・・・」
あゆむ(やばい・・・!なんで・・・!)
あゆむ(嫌われたらどうしよう。もし失敗したらもう一緒に話せないかも。この後の学校生活も地獄、ゆきさんからも一生変な目で見られ・・)
あゆむ(飴、全然効いてねえ〜!)
ゆき「ん?」
あゆむ「あの!歌唱レッスンの話!どうだった・・・?」
ゆき「あれね!あゆむ君のおかげでお母さんに伝えられたよ!」
ゆき「ちゃんと自分の気持ち」
ゆき「自分で伝えたから、お母さんも分かってくれたのかな・・・」
ゆき「ちょっと怖かったけど・・・」
あゆむ「・・・」
あゆむ「そっか!それはよかった!」
あゆむ「それが気になってさ!」
ゆき「そうだったんだ!ありがとう!」
あゆむ「おう!」
あゆむ「・・・」
あゆむ(・・・)
〇研究所の中
あゆむ(どうすれば・・・)
あゆむ「もっと大きな勇気のエネルギーを飴に・・・」
じいや「坊ちゃん・・・どうでしたか?」
あゆむ「まだ足りなかったかな・・・」
じいや「次はどうするのですか?」
あゆむ「自分で勇気を集めて、それを飴に注入するしかないか・・・」
〇教室
あゆむ(飴無しはきついけど・・・)
先生「わかるひとー?」
あゆむ「は、は、は、は、はいいい!!!」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
あゆむ「お、お、お、お、俺だってえぇえ〜♪」
友達「あゆむ、なんかめっちゃ緊張してない?そんな無理して歌わんでも」
友達「めっちゃ恥ずかしそうやし・・・」
友達(でも・・・前より気持ちこもってて良い歌に聞こえるかも・・・)
〇ボロボロの吊り橋
バンジー案内人「それでは!」
あゆむ(これも!)
バンジー案内人「3!」
あゆむ(ゆきさんに!)
バンジー案内人「2!」
あゆむ(告白するため!)
バンジー案内人「1!」
バンジー案内人「バンジー!!!」
あゆむ「ギャァアアアァァ!」
〇研究所の中
あゆむ「これだけ貯めた勇気をこの飴に・・・」
あゆむ「よし・・・」
〇学校の廊下
あゆむ「きた・・・」
ゆき「あれ?あゆむ君、どうし・・・」
あゆむ「ちょっと待っててゆきさん」
あゆむ「今から飴を・・・」
あゆむ「・・・」
あゆむ「・・・」
〇学校の廊下
ゆき「ちゃんと自分の気持ち」
ゆき「自分の言葉で伝えたから・・・分かってくれたのかも」
〇学校の廊下
あゆむ「俺も、自分で言わなきゃ」
ゆき「あゆむくん・・・?」
あゆむ「この飴、舐めないで噛み砕くと効果が無いんだ。のど飴みたいに」
バリッボリッ
あゆむ(怖い!)
あゆむ(嫌われたくない!)
あゆむ(バンジージャンプなんかより)
あゆむ(よっぽど怖い!)
あゆむ(でも・・・)
あゆむ(でも・・・)
あゆむ(そんなことより、ゆきさんのことが)
あゆむ「好きです」
凄く気持ちが伝わってくる作品でした!
こっちがドキドキしてしまいます笑
物や道具に頼るより、自分の気持ちを素直に伝えられる、それが一番気持ちいいですよね!
彼の一生懸命さが伝わってきました。
告白が何よりも勇気がいるみたいですが、自分の意思で言おうとしてるあたりがかっこいいです!
彼の真っ直ぐな気持ちがとても気持ちよかったです、素直に自分を表現するのて恥ずかしかったりしてできなかったりしますが彼は素敵でした。楽しいストーリーでした。