岩泉

夢(脚本)

岩泉

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夢
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〇まっすぐの廊下
事務員「それでは、こちらの教室でお待ち下さい」
私「はい、ありがとうございます」

〇教室
  誰もいない放課後の教室に案内され、
  私は周りを見渡した
私(懐かしいなぁ・・・)
  かつてこの高校に通っていた私は
  教育実習生としてこの場所に戻って来た
  そう、こんな綺麗な夕陽の日だった・・・
  私が彼に憧れ、先生を目指そうと
  思ったのは・・・

〇教室
  当時、絵の勉強がしたくて有名美術大学を目指していた私は放課後、誰もいなくなった教室でこっそり絵の練習をしていた
  そんなある日・・・
???「素敵な絵ですね」
私「えっ・・・!?」
  ハッと顔を上げるとそこには
  私の担任である先生が立っていた
先生「こんな時間まで勉強ですか?」
私「あ、すみません、すぐに帰ります・・・!」
先生「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
先生「毎日熱心に頑張っている君を見ていたら つい気になってしまいまして・・・ 良ければ僕が絵の勉強教えましょうか?」
私「え、でも先生って国語の担当じゃ・・・?」
先生「実は国語の他に美術の教員免許も 持っているんですよ僕」
私「そうだったんですか、でもいいんですか? 私なんかの為に・・・」
先生「君だからですよ。 夢に向かって頑張っている生徒を 担任の僕が応援しないでどうするんですか」
私「先生・・・」
先生「僕に君の夢を叶えるお手伝いをさせて下さい。 さぁ、一緒に頑張りましょう!」
私「はい・・・!」
  こうして放課後、先生と2人きりの
  勉強会が始まった・・・

〇黒
  先生は本当に凄かった
  的確な指摘と色遣い
  言っていた通りさすが美術の先生だ
  そんな先生のおかげで私はどんどん上達していった
先生「上手になりましたね」
  耳元でそう囁かれ、少し照れながらも
  とても嬉しかった
  そして私は無事志望大学に合格した
  この時、私は教師になって生徒の夢を叶えてあげたいという想いと同時に
  先生のことを1人の男性として意識していた・・・

〇教室
  ──卒業式──
先生「卒業おめでとうございます。 大学に行っても頑張って下さいね」
私「先生、本当にありがとうございました。 先生に色々教えてもらえて私、 本当に嬉しかったです!」
先生「いえ、僕も君の夢を叶える手助けをすることができて良かったです」
私「・・・」
私「先生、実は私先生のことが──」
先生「しー、それ以上は言わなくて大丈夫ですよ」
  そう言って先生は人差し指でそっと
  私の唇を抑えた
先生「僕と君は先生と生徒。 そうですね、君が今よりもっと素敵な 大人になったら・・・ 考えてあげなくもないですよ」
  冗談そうに先生はそう言った
  その時の顔は悲しい表情を我慢しているような、どこかぎこちない笑顔だった・・・
  あの時の顔を私は忘れられなかった

〇教室
私(先生、今はどうしているんだろう・・・)
???「お待たせしました」
私「あ、初めまして、私明日から教育実習生 としてお世話になりま──って先生!?︎」
先生「お久しぶりですね」
私「まさか先生が私の担当・・・? でも先生って国語の担当じゃ──」
先生「はい、実は当時の僕は資格を獲ったはいいものの、芸術を教えることに自信がなく そのことを隠していました」
先生「でも熱心に絵を描いている君の姿を見て、僕も自信を貰い、今は美術の先生としても教えているんですよ」
私「そうだったんですか」
先生「今の僕がいるのは君のおかげです ありがとうございます」
先生「・・・」
  そういうと先生は黙り込み、静かに深呼吸してこう言った
先生「ずっと君を待っていました・・・」
私「え・・・」
先生「正直あの時は本気になれませんでした。 先生に恋だなんて良くあること、」
先生「大学生になれば僕のことなんか忘れて 同じ年代の男性と一緒になるだろう、 そしてそれが君の幸せだと」
先生「そう思っていました・・・」
私「先生・・・」
先生「でも君はこうして僕の元に戻って来て くれました。こんなにも素敵な大人に なって・・・」
  そう言って私の垂れた髪を
  優しく耳にかける
先生「君がいなくなった後も僕は忘れられなかった・・・」
先生「だから僕も自分の気持ちを伝えます」
先生「・・・」
先生「今度は僕の夢を 一緒に叶えてくれませんか?」
私「それって・・・」
  すると先生はギュッと私を抱きしめた
先生「僕もあの時からずっと・・・ 君のことが好きでした」
先生「こんな僕ですが、 共に人生を歩んでくれませんか・・・?」
  熱い体温と心臓の早い鼓動が
  体越しに伝わってくる
私「・・・はい、もちろんです!」
  キーンコーンカーンコーン
  その時私達2人の幸せを祝うかのように
  チャイムが鳴った・・・
  先生は卒業式の時と違い
  とても幸せそうに笑っていた
  ここからまた新しい夢が始まる
  今度は彼と一緒に・・・
  END

コメント

  • 先生が素敵です、自分の気持ちを抑えて好きな女の子の幸せを願うだなんて、でも最終的には二人が幸せになってくれてよかったです。

  • とっても優しく綺麗な物語ですね。彼女も先生も、繊細で真っ直ぐな心根ですし。読んでいて心に響くピュアラブストーリーですね。

  • あぁなんて素敵な展開なんでしょう。先生だって人間、こういう恋におちることもありますよね。生徒と先生のときはきっちりブレーキをかけていて、このタイミングで伝えてくれるってところにもさらに魅力を感じました。

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