それ、君と見たかったヤツ(脚本)
〇大学の広場
学生「マサトー、今日空いてる~?」
学生「ちょっと~、今日こそサークル顔出してくれるのよね?」
マサト「うん、後で行くから」
マサト(あ、リナ!)
マサト「ちょっと、待てよ。無視すんなよ~」
リナ「おばさんからのあんた宛の荷物,私が預かってるから。早く取りにきて」
マサト「分ってるって。母さん、何で俺のとこに送ってこないのかなあ」
リナ「あんたが遊びまわって、家にいないからじゃない。こっちだって迷惑してんだから。幼馴染だからって」
学生「マサトー、早く~」
リナ「女の子たち、待ってるよ」
リナ「あ、佐川先輩、この間のレポートなんですけど」
リナは、俺の幼馴染だ。俺たちは大学生活を送るために、地方の小さな町から、この都会に出てきた。
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
リナ「荷物もって、とっとと帰って」
マサト「なあ、この間の心理学のレポート、ちょっと見せてくんない?」
リナ「また? それから、大学で話しかけてこないでよ。あんたの取り巻きの子たちから睨まれるんですけど」
マサト「ごめんね、モテモテで」
リナ「へへーんだ、小1のときに、お漏らししたこととか、暴露しちゃおうかなー?」
マサト「や、やめてくれ」
くそう~黒歴史を!
リナ「そろそろ、ちゃんと授業にも出なさいね。レポート、今回だけだよ」
マサト「うう、有難う。 そういえば、佐川先輩と付き合っているの?」
リナ「え?違うけど。 先輩は、博学だし、スマートだし、尊敬してるだけよ」
マサト「ああいうのが、タイプなんだ。俺とは正反対な感じ?」
リナ「あー、そうかも」
ガーン
〇教室
リナ「マサト、しっかりしな!一緒にかけ算の練習してあげるから。すぐに覚えられるよ」
マサト「うん・・・リナちゃん、ありがとう。いつもごめんね・・・」
リナは、いつも強くて優しかった。そんなリナが、ある日、くやしそうに
リナ「早く大人になりたい!」
マサト「どうしたの?」
リナ「この映画、見に行きたいのに。18歳じゃないと見られないんだって。見たいな~」
マサト「「恋、猫」?」
リナ「大人になったら、絶対、好きな人と見に行ってやる!」
俺は大人になったら、リナと「恋猫」を見に行こう、と決めた。一生懸命、勉強して、嫌いなスポーツも頑張った。
〇大学の広場
マサト「「恋猫」がリバイバル上映だ!チケットをゲットしたぞ!」
マサト「あ、リナ!」
学生「マサト、皆集まってるよ~ ん?もしかして、マサト、この子と付き合ってんの?」
「え?違うよ!」
佐川先輩「映画のチケットがあるんだけど。「恋猫」っていう昔の映画なんだけど。君、前に話してたよね」
マサト「わー、何でだよ?」
終わった。俺は、逃げるようにその場を立ち去った。
〇映画館のロビー
(映画館に来てしまった。大人になって「恋猫」を見る相手にリナが選んだのは、俺じゃなかったのに)
マサト(リナにふさわしい大人になれるように、頑張ってきたのに、俺、何やってんだろう)
???「ちょっと、そこで何してるの?」
マサト「うわー!びっくりした・・・」
リナ「もしかして、映画見に来たの?」
マサト「ええっと」
リナ「良かったら、私と、この映画一緒に見る?」
マサト「えええ?俺とでいいの?」
リナ「佐川先輩からもらったチケットだけど」
マサト「先輩とデートじゃないのか?」
リナ「はあ?だから佐川さんとは付き合っていないから。先輩、バイト先で貰ったから、興味があるなら、ってくれたのよ」
〇映画館の座席
マサト(く、こんなに泣ける映画だったのか。泣いてるって、ばれないかな?映画終わったら、今日こそコクるぞ!頑張れ、俺)
リナ(ついに誘っちゃった。イケメン・クールを装ってるけど、泣き虫のマサト、変わってないね)
〇映画館の入場口
リナ「今日は付き合ってくれてありがとう。じゃあ」
マサト「あ、ちょっと待って・・・」
リナ「何?」
マサト「リナ、俺、ずっと、君のことが、好きだった。ずっと「恋猫」、一緒にみられる大人になりたいって思って。頑張ってきたんだ」
マサト「俺と付き合ってください」
リナ「私も。ずっとマサトが好きだったよ」
fin
とっても可愛らしい彼ですね、素直で健気で愛しくなりますね。彼女を思ってずっと過ごしてきた彼が今後も彼女と幸せに過ごせたらいいですね。
マサトがけなげすぎる〜。彼女と一緒に幸せになるために長い間いっぱい努力してきたんだなぁというのが伝わってきました。好きな人のことを想うと、どんどん素敵になれるし、毎日がんばれちゃいますよね。
幼い頃から一緒に過ごして来たから付かず離れずといった様な関係が続いて来たけど、彼は彼女を一途に思っているのがよく伝わりました。