高校最後のダンスは君と

柚葉 鈴

高校最後のダンスは君と(脚本)

高校最後のダンスは君と

柚葉 鈴

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〇大広間
  今日は高校の卒業パーティーの日。生徒会役員だけがその後片付けのためにその場に残っていた。
生徒会役員「すみません、先輩。卒業生なのに片付けの手伝いなんて」
あかり「気にしないで。あと1時間で全部片付けないといけないんでしょ」
生徒会役員「ありがとうございます。 さすがは先輩ですね。歴代の生徒会長の中でも優秀だって先生方に噂されてましたよ」
あかり「私なんて全然だよ。雑務はこなせても人を惹きつけるようなカリスマ性もないし、奇想天外な発想も浮かばないし・・・」
生徒会役員「そんな人がいたんですか?会長が奇想天外だと他の役員が苦労する未来しか見えないんですけど・・・」
あかり「そんなことないよ。すごく・・・すごく楽しかったから。まるで明るい星に照らされてるみたいに毎日がキラキラしてた」
あかり「(どんなに手を伸ばしても届かない一等星。夜空で一番明るいシリウスみたいな人だった)」
生徒会役員「その人のこと、好きなんですね」
あかり「えっ!?」
生徒会役員「その人のことを話す先輩の顔、恋する乙女って感じでしたよ。 好き、なんですよね?」
あかり「・・・うん」
生徒会役員「だから今日のパーティーでは誰とも踊らなかったんですか?あのジンクスがあるから」
あかり「そういうのじゃないよ。ただ相手がいなかっただけ」
大星「じゃあ、高校最後のダンスは俺となんてどうだ?」
あかり「な、えぇ!?ど、どうして先輩がここに!?」
大星「相変わらずいい反応するなあ。俺は奇想天外な元会長なんでな。突然現れたっておかしくないだろ?」
あかり「ま、まさかさっきの会話聞いてたり、しないですよね?」
大星「君が明るい星みたいな俺のことを好きって話なら、聞いてないから安心しな」
あかり「全部聞いてるじゃないですか・・・」
生徒会役員「先輩!手伝いありがとうございました。先生への報告が30分以上かかる予定なのでごゆっくりどうぞ!」
大星「いい後輩だな」
あかり「はい」
大星「今日ここに来たのは、君と高校最後のダンスを踊るためなんだ。あのジンクスは知ってるだろ?」
  この学校の卒業パーティーにはあるジンクスがある。
  曰く、『高校最後のダンスを想い合って踊った男女は必ず結ばれる』と。
大星「お姫様、俺と一曲踊ってくれますか?」
あかり「はい、喜んで」
  1、2、3──
  ステップを踏みながら2人で踊る。
  音楽は必要ない。きっと自分たちの心臓の鼓動でかき消されてしまうから。
  やがてダンスが終わる。
  離れがたいけれど、離れられることにホッとするほど拍動がうるさくて──
大星「先に言わせてしまったが──」
大星「ずっと前から好きだった」
大星「俺の恋人になってくれませんか?」

〇高級住宅街
  その日の帰り道
あかり「『大星』って、シリアスの和名なんですよね」
大星「ああ、夜空で一番明るい星だな」
あかり「私、先輩のことシリウスみたいだって思ってたんです。明るくて、手を伸ばしても届かない星──」
大星「届くぞ?ほら、好きなだけ触っていいから」
  そう言って、先輩は私と手を繋いだ
大星「初めて会った時から、可愛い子だなとは思ってたんだ。それが、君のことを知れば知るほどその魅力に囚われていった」
大星「受験生の君に負担をかけないようにって1年待つことにしたんだが、他の男に奪られないか気が気じゃなかったな」
大星「俺はこんなに心配してたのに、卒業パーティーで誰とも踊らないとはな」
あかり「先輩だって、去年誰とも踊らなかったじゃないですか!」
大星「君がいるのに、他の女と踊るわけがないだろう?」
あかり「・・・ずるいです、先輩」
大星「俺が翻弄するのもされるのも、君だけだ」

コメント

  • ロマンチックでダダ甘なストーリーですね。ジンクスといい、すっと登場する大星といい、好きなものが詰め込まれた感じで楽しませてもらいました。

  • 確かにダンスパーティーにそんなジンクスがあったら、意地でも適当な相手とは踊りたくないですよね。先輩、ナイスタイミングであらわれてしかも両想いだなんて、甘いふたりにこっちまで嬉しくなりました。

  • 綺麗なストーリーですね、、、想いがうまく交差していて優しい温かい気持ちにさせて頂きました。純粋に人を想う気持ちっていいですね。

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