笑えない。納得しない。認めない。許容しない。諦めない。(脚本)
「これは、キミの夢」
「もう少しでやってくる懺悔の時間の、 予行演習の予行演習だよ」
「トーナメント戦ならベストエイトくらいなのかな」
「善戦してるような響きだよね」
「実際は違う」
「キミは何万という人間のひとりで、 いつも無気力で無力で、」
「そして、」
「無謀な夢を語る、愚者なんだもん」
〇大きい交差点
???「おはよう」
???「・・・・・・なんてね」
???「私はキミでしかないよ」
???「キミが勝手に妄想した私。偶像」
???「3年前、泣き続けて西から帰ってきたことも、」
???「本当の私は知らないよ」
???「私が振りかざすのは全てキミの心のうち」
???「本当の私よりは、きっと軽いんじゃない?」
???「全部自己満なんだろうね」
???「相当にひねくれてる。救いようもないんだよ」
???「それでもまだ、夏の終わりの続きを望むんだ?」
???「本当に愚かだよね」
???「狂ったように理想を夢想して、手を伸ばしてるフリだけして」
???「こんなはずじゃないんだって」
???「前に進めてもいないのに、ついには自分の殻に閉じこもることにしちゃうなんて」
???「いや、それの答え合わせはこれからかな」
???「もう限界だったのだし」
???「それにこの1年はよくもったんじゃない?」
???「冬の終わりまでは続けようと耐えたんだから」
???「おめでとう」
???「でも、だからと言って、」
???「春が来るわけじゃないよ」
〇島
???「好き勝手した9年だったでしょ」
???「長かったね。楽しかったね。お疲れさま」
???「きっとキミに必要だったのはそのほんの少しだけで、」
???「詰め込めば1年くらいに収まるような内容だったと悔やんでいたね」
???「頭を痺れさせて上手に誤魔化してたよ、うん」
???「バカ」
???「その間にキミは本当に色んなものを失ったね」
???「時はかねなりとはよく言ったものだよね」
???「あ、今はもうどっちも無いんだっけ」
???「捨てるものを完全に間違っているよ」
???「あるのはその醜い執着だけ」
???「散らかった部屋の真ん中で、虚ろに電脳世界を眺めて、」
???「いつまでも挑もうとしないままに、」
???「欲しい欲しいと駄々をこね続けてる、 夏の終わりの続き」
???「諦めないことも、継続することも、 大抵は美徳だよ」
???「でもキミのそれは異常だ」
???「どこまでココロが壊れたのか、正しく測れないでしょ」
???「・・・・・・それでもまだ間に合うって、治るって信じている」
???「バカ」
???「バカだよ」
???「バカ」
〇シックなカフェ
???「ここまで言わせておいて満足?」
???「キミは自分の幸せしか考えてない」
???「あの日、マスターに諭された通りの、自己中な破綻者だよ」
???「ここ数日で驚かされたじゃん」
???「『一人で生きてるつもりで、実は全然ひとりで生きてなかったんだ』って」
???「今更遅いよ」
???「せいぜい永く療養できるといいね」
???「世界に追いつけるといいね」
???「・・・・・・いや、全部を敵に回して、全部を認めさせてみせると覚悟していたもん」
???「やってみてよ。次の、その次の秋くらいまでは今のままでいられるから」
???「そうでしょ?」
???「信じてみせて」
「その腐った想いを美化して誇るためにも、 ね」
〇地下の避難所
???「最後に、少しだけ願いをカタチにしておくよ」
???「自分を慰めてるだけなんだけど」
???「他の誰も望んでいないその道行きのために」
???「これ以上のご褒美はないからね」
???「・・・・・・ふふっ」
???「いつかこんな未来がくるといいね」
???「トドメをさしてもらえるといいね」
???「過去にすがるばかりの哀れなキミに」
???「夏の終わりの続きを願うキミに」
???「じゃあね」
???「かんぱい」
fin
誰かに向けたメッセージなのか、自分自身に向けたメッセージなのか、どちらともとれるような不思議な感覚のある文章でした。眠れない夜ってこんな感じで、考えれば考えるほど沼にはまっていきそうになります。
様々な内面にうずまく感情が文章化されていて、ダイレクトに伝わってきます。
後ろ向きになっても、過去にすがっても、またそれも人生。一歩でも前に歩みを進められたら立派、私はそう自分に言い聞かせています。
ネットの世界にいると、自分には不必要な事柄まで頭に入ってきますよね。
そんな中で人々は疲れてるのかもしれません。
追い詰められているのは自分?それともみんな?
みたいなことを考えさせられる作品でした。