蟻地獄に咲く薔薇のよう

戸羽らい

Ep.20 陰口人狼④(脚本)

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戸羽らい

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〇高い屋上
西園寺ミレ(私に送られた陰口と照合して考えると)
  私宛て→
  ・マウント取りたいだけのクズ女
  ・高飛車なくせに股の緩いビッチ
  ・老け顔
  ・見た目年齢30歳、精神年齢10歳
  悠香宛て→
  ・ワキガ
  ・悲劇のヒロインぶってる勘違い女
  ・中学時代いじめられっ子だったくせに高校デビューで髪を染める陰キャ
  ・鼻の角栓詰まりすぎのブス
西園寺ミレ(「老け顔」と「ワキガ」は恐らく同一人物)
西園寺ミレ(「マウント取りたいだけのクズ女」と「悲劇のヒロインぶってる勘違い女」もニュアンスが似てて──)
西園寺ミレ(「見た目年齢30歳」と「鼻の角栓詰まりすぎのブス」も着眼点が似てる)
西園寺ミレ(悠香宛ての「中学時代いじめられっ子だったくせに〜」に関しては── 私が勝手な想像で書いたやつだし・・・)
西園寺ミレ(・・・)
品川悠香「・・・」
西園寺ミレ(となると消去法で・・・ 「高飛車なくせに股の緩いビッチ」はこの女──悠香が書いたことになるじゃん)
西園寺ミレ(私には届いていて 彼女には届いていない性質の陰口)
品川悠香「・・・」
西園寺ミレ「悠香ちゃん」
品川悠香「はい・・・」
西園寺ミレ「私今、あんたの命握ってるわ」
品川悠香「私が書いた陰口が分かったんですか?」
西園寺ミレ「うん」
西園寺ミレ「でもすぐには殺さないであげる」
西園寺ミレ「まずはあの女・・・」
風見陽「あらら〜」
西園寺ミレ「あいつを先に殺してから」
西園寺ミレ「協力してね♪」
品川悠香「・・・」
品川悠香「何をすればいいんですか?」
西園寺ミレ「うーん、とりあえずあいつに一発かましてよ」
品川悠香「・・・」
西園寺ミレ「私にすぐ殺されるくらいなら、あいつに挑んでから死んだ方が良くない?」
西園寺ミレ「ムカつくでしょあいつ それにほら、当たって砕けろって言うじゃん」
品川悠香「・・・」
品川悠香「・・・分かりました では、何かヒントください」
西園寺ミレ「ヒント?」
品川悠香「はい。あなたは私に書かれた陰口を知っていますよね」
品川悠香「その中から、あの人が書きそうなものを教えてください」
品川悠香「あなた目線、私の陰口が分かるくらいなんですから、あの人の陰口も絞れてると思うので」
西園寺ミレ「・・・」
西園寺ミレ「まぁ、これくらい良いか」
西園寺ミレ「私は「ワキガ」があいつの陰口だと思う」
西園寺ミレ(「老け顔」「ワキガ」のシンプルなディス)
西園寺ミレ(同一人物の可能性が高く、もしこれで外しても次に私が当てやすくなる)
西園寺ミレ(っていうか、もはや一択まで絞れる)
品川悠香「分かりました」
品川悠香「追放・・・しません」
西園寺ミレ「は?」

〇高い屋上
西園寺ミレ「追放しないって・・・ いや、しろよ」
西園寺ミレ「しないとあんたを追放するけど」
品川悠香「「ワキガ」はあなたの陰口じゃないんですね」
品川悠香「それが分かっただけで私は十分です」
西園寺ミレ「・・・いや、まぁそういう返しもあるとは思ったけど」
西園寺ミレ「じゃあ本当に追放しちゃうよ?」
西園寺ミレ「私、あんたの陰口ほぼ確実にコレだっての割れてるんだけど」
品川悠香「どうぞ、好きにしてください」
風見陽「え、なになに? 悠香ちゃんを追放しちゃうの?」
風見陽「私を倒せるのその子くらいしかいないのに・・・勿体ない」
西園寺ミレ「はぁ?」
風見陽「だってさ、君じゃあ・・・」
風見陽「痛・・・」
西園寺ミレ「どいてろブス」
風見陽「・・・」
西園寺ミレ「分かった。そんなに追放されたいならしてあげる」
西園寺ミレ「本当にいいのね? 泣いて謝るなら許してあげ──」
品川悠香「ほら」
西園寺ミレ「?」
品川悠香「外すのが怖いんでしょ?」
品川悠香「私の陰口が分かったとか言うけど、本当は自信ないんだよね」
品川悠香「イキるだけイキって、実際に追放する勇気ないんでしょ」
西園寺ミレ「・・・」
西園寺ミレ「私は常に最悪を想定してるだけ・・・」
品川悠香「臆病な人」
品川悠香「そうやっていつも言い訳ばっかして生きてきたんだね」
西園寺ミレ「うるせぇよ・・・ そんなにしてほしいならしてやる・・・」
西園寺ミレ「追放します!」
西園寺ミレ「「高飛車なくせに股の緩いビッチ」を書いたのはこの悠香とかいう陰キャ女です!」
西園寺ミレ「はっ・・・ あんま舐めんなよクソ陰キャが」
西園寺ミレ「お前ら陰キャはイケてる女を見るとすぐにビッチだとか言うよな」
西園寺ミレ「きめーんだよその蛆虫みてぇな思考がよ」
  追放失敗!追放失敗!
西園寺ミレ「・・・は?」
品川悠香「まぁ、見た目年齢30歳、精神年齢10歳の人には当てられませんよね」
西園寺ミレ「お、お前・・・」
品川悠香「・・・」
風見陽「あーあ、マウント取りたいだけのクズ女は結局マウント取れなかったね〜」
品川悠香「あなた、結構良い目をしてますね」
風見陽「君もね」
風見陽「あはっ」
風見陽「ははははっ」

〇高い屋上
風見陽「風が吹いてきた」
風見陽「これがお互いにとって追い風となるのか、向かい風となるのか」
品川悠香「私は向かい風の方が好きです」
風見陽「奇遇だね!私もだよ!」
風見陽「さぁ、ここからは一騎打ちだ! 最後まで楽しもう!」
  サブミッション「陰口人狼」
  
  残り2名

次のエピソード:Ep.21 陰口人狼⑤

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