〇遊園地の広場
品川明日香「お母さ〜ん、次はアレ乗ろう〜」
品川有美「メリーゴーランドかぁ それならお母さんも乗れるかなぁ」
品川明日香「あっ、悠香は撮影係ね」
品川悠香「・・・」
品川有美「ごめんね、悠香ちゃん・・・」
品川明日香「早く行こ行こ〜！」
品川悠香「・・・」
　　私と明日香はいわゆる異母姉妹──
　　お母さんは私の本当のお母さんじゃない
　　それは私も明日香もよく知ってる
　　でもお母さんはお母さんだし、私は特に気にしていないのだけど、明日香の方はそうもいかなくて──
　　ことあるごとに、自分が本当の娘なんだと私にアピールしてくる

〇女の子の一人部屋
品川悠香「・・・」
品川明日香「は？ちょっ!?」
品川明日香「人の部屋に勝手に入らないでよ！」
品川悠香「ごめん、読みたい本があって・・・」
品川明日香「はぁ・・・居候のくせに図々しいんだけど」
品川悠香「・・・ごめん」
品川悠香「でも私たち家族だし、これくらい・・・」
品川明日香「家族ってさぁ・・・」
品川明日香「私、あのクソ男のこと父親だと思ってないから！」
品川明日香「あんたのお母さんが何で死んだか知ってんの？」
品川悠香「・・・」
品川明日香「捨てられたからだよバーカ！ あのクソ男にな！」
品川悠香「そんなの分かってるよ」
品川明日香「・・・」
品川明日香「私は捨てられたくないんだよ」
品川明日香「あんなクソ男でも、本当の娘は私だって認識してもらわないと」
品川明日香「それにお母さんは私のお母さんだ！」
品川明日香「この家だって私の家だ！」
品川明日香「お前に取られてたまるか！」
品川悠香「取らないよ・・・」
品川明日香「早く出てけよ！ いつまで私の部屋で突っ立ってんだよ！」
品川悠香「・・・」
品川明日香「チッ」

〇部屋の前
　　私はずっと明日香の目の敵にされてきた
　　私は何も悪いことしてないのに
　　むしろ、可哀想なのは私の方なのに
　　いつまでそこにいるんだよ！
　　気配で分かるんだよ・・・クソ！
品川悠香「ごめん」
　　ねぇ、私、自分の名前嫌いなんだ
　　お前と同じ文字が入ってて・・・
品川悠香「・・・」
　　気持ち悪いんだよ
　　繋がってるみたいでさ
品川悠香「・・・ごめん」
　　私たち姉妹は共同体なんかじゃない
　　──ずっと「敵同士」だった

〇高い屋上
　　「敵同士」だから、こんなミッションにも一緒に参加できた
品川明日香「これを書いたのはあいつです！」
品川明日香「そこの品性の欠けた緑のクソ女です！」
風見陽「♪」
　　だから・・・ごめん
　　結局、私たちは最後まで相容れないんだよ
　　追放失敗！追放失敗！
品川明日香「は・・・はぁ!?」
風見陽「私じゃなかったみたいだね〜」
品川悠香「・・・」
品川明日香「悠香、お前・・・」
品川明日香「やっぱりお前が書いたんじゃねーか！ いつも人のこと見下しやがって」
品川明日香「この陰湿で性悪で八方美人のクソビッチが！」
品川明日香「うっ・・・」
品川悠香「・・・ごめんね」
風見陽「あははっ 喧嘩でもしたのかな？」
品川悠香「・・・」
品川悠香「あなたってなんか、人間らしくないですね」
風見陽「・・・どゆこと？」
品川悠香「そのままの意味です」
風見陽「そのままの意味って何？」
風見陽「そのままのニュアンスで何でも伝わると思ってるの？ 自分の気持ちを相手が理解してくれると思ってるの？」
品川悠香「・・・」
風見陽「自分の気持ちを上手く言語化しようともせずに人から理解を得られると思わないでね」
風見陽「妹ちゃん？とも来世では仲良くなれると良いね♪」
品川悠香「・・・」
品川悠香「私と明日香が姉妹だってどこで気付きました？」
風見陽「最初から」
品川悠香「えっ」
風見陽「血が繋がってそうだったから」
品川悠香「・・・」
品川悠香「血が繋がってる・・・」
西園寺ミレ（なんなんあいつら、勝手に自爆して）
西園寺ミレ（まぁ敵が減るのは良いんだけど あの女のペースが続くのだけは避けたいわ）
西園寺ミレ（と言っても手詰まりなんだよね 一か八かで勝負するのも、う〜ん）
品川悠香「あの」
西園寺ミレ「ん？」
品川悠香「お互いに届いた陰口、共有しませんか」
品川悠香「もしかしたら何か、ヒントになるかもしれません」
西園寺ミレ「ヒントって何？ 私と組んであいつ倒そうっての？」
品川悠香「はい」
西園寺ミレ「・・・」
西園寺ミレ「いいね。乗った」
西園寺ミレ「あいつ気に食わないし、うちらであの鼻っ柱をへし折ってやろう」
風見陽「え〜、私だけ仲間外れ〜？ ずる〜い」

〇高い屋上
品川悠香「私に届いたのはこれです」
　　一人目（匿名）：
　　ワキガ
　　二人目（匿名）：
　　中学時代いじめられっ子だったくせに高校デビューで髪を染める陰キャ
　　三人目（匿名）：
　　悲劇のヒロインぶってる勘違い女
　　四人目（匿名）：
　　鼻の角栓詰まりすぎのブス
西園寺ミレ「・・・なるほど」
品川悠香「では、あなたのも・・・」
西園寺ミレ「見せるわけないじゃん」
品川悠香「えっ」
西園寺ミレ「バカなの？ もう私は知りたいこと知ったから」
西園寺ミレ「あんたとのやり取りはここで終わり〜」
品川悠香「・・・」
風見陽「あはっ。悠香ちゃんだっけ？」
風見陽「君、間抜けってよく言われない？」
品川悠香「・・・」
　　サブミッション「陰口人狼」
　　
　　残り３名