言霊の魔法

里見夕貴

読切(脚本)

言霊の魔法

里見夕貴

今すぐ読む

言霊の魔法
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇病院の診察室
  ここはハリ治療院──
  出会いは腰痛・・・
先生「お待たせしました 金田さんはご新規ですね」
  そう言って、先生は施術をする部屋に招き入れてくれた。
金田里美「こんにちは 失礼します」
金田里美(わぁ、イケメン・・・ ハリの先生って感じしないけど・・・)
  思えば──
  このギャップもあり
  一目惚れだったのかもしれない。
先生「下着は着たままで大丈夫ですので、 こちらに着替えてお待ちください」
  そう言って先生は部屋から出ていった。
金田里美(げっ、下着見せることになるの? 聞いてないよ・・・)
  紹介しているくれた後輩の顔が浮かんだ。初めてだから分からなかった・・・
  
  仕方なくノロノロ着替えていたら
  『トントン』
  先生がノックして入って来て
先生「どうぞ、こちらにお座り下さい 金田さんはどなたかのご紹介ですか?」
金田里美「はい あの鈴村さんから紹介してもらいました」
先生「あぁ、彼か・・・ 今日は腰痛ということですが 何か原因はありますか?」
  先生は受付で私が記入した問診票に
  書き込みしながら聞いてきた。
金田里美「仕事で・・・ 膝使わずに立ち上がったからかな と思います」
先生「そうですか・・・ じゃあ、ローブのひもはほどいてベットにうつぶせになってください」
金田里美「あの、ハリって初めてなんですけれど 痛いですか?」
先生「初めてだと怖いよね でもこんなに細いのハリって たまにちくっと感じる人もいるみたいだけど殆どの人は何も感じないですよ」
  とにっこり微笑んで答えてくれた。
  初めて見る笑顔にキュンとしてしまった。
  初めのハリは全く痛みを感じなかった。
  それどころか
  うっかり寝てしまっていた。

〇華やかな広場
金田里美「わぁー、綺麗 癒される」
  今日は休日出勤の代休──
  ちょっと遠回りして花園公園に寄ってから
  久しぶりにハリ治療に行くところ
金田里美(腰痛は何度か通って大分よくなったけれど、 この肩こり、一回で良くなるかな・・・)

〇病院の診察室
  施術服に着替えて待っていると──
  
  『トントン』
  ノックをして先生が入って来た。
先生「金田さんお久しぶりです 調子はどうですか?」
金田里美「お久しぶりです 忙しかったので肩がバリバリです」
先生「お仕事忙しかったんですね・・・ でも表情が明るいから大丈夫そうだね!」
  先生は問診を終わりにして
  ベッドに横になるように促した。
  私はベッドに横になり
  先生はハリをうちはじめた
金田里美「今日は久しぶりにお休みだったので 花園公園に行ってきたんです」
先生「あぁ、あそこは癒されるよね 僕も好きでよく行きますよ」
金田里美「そうなんですね 素敵な公園ですよね 桜の時期はすごい綺麗だろうなぁ・・・・」
先生「うん、あそこの桜は見事だよ でも、今年は早く散っちゃったね」
金田里美「お花見行く予定だった日に雨だったから 今年は通勤の時にちらっと桜を見ただけです」
先生「桜って、神様が宿る木だから美しいんだよ」
金田里美「このはなさくやひめのお話しですか?」
先生「うん、よく知っていますね!」
先生「あとね、昔は「さ」は神様を表す言葉だったの」
金田里美「そうなんだぁ 知りませんでした」
先生「くらは住処という意味があるから さくらで、神様の住む場所っていう意味」
金田里美「なるほど!」
先生「だから、桜って『神様の宿る木』だっていう言い伝えもあるんだって」
金田里美「そっか だからかな? 桜ってなんか特別な感じがします」
先生「うん、日本人にとって桜って特別だよね」
金田里美「お花見っていうと桜ですしね」
先生「うん あとさ 金田さんて里美さんていうお名前だよね」
金田里美「はい」
先生「僕ね姓名判断というのかな 氏名の読み解きをやっていたのね それで紐解いていくと・・・」
先生「さは神様でしょ とみは文字通り富・豊かさ 「神様の豊かさ」 という意味があるお名前なんですよ」
金田里美「わぁ!すごい!」
先生「しかも苗字が金田さんで お金も田んぼも豊かさ象徴しているでしょ」
金田里美「そんな風に考えたことなかったです」
先生「しかも縦に書くと左右対称になるお名前って竹の割ったような性格だったり 光の柱が立つことを象徴しているんですよ」
金田里美「おぉ!最強じゃないですか! 竹を割ったような性格ってよく言われます」
先生「氏名は使命と同じ言霊でしょ あなたは神様からの豊かさを受け取るのが氏名に入っている使命だから」
先生「花でも景色でも人の真心でも沢山の美しさに触れて、天国みたいな世界を自分で創り出していくのが使命ってことなんだと思いますよ」
金田里美「すごい使命ですね そんなすごいこと出来るかな?」
先生「大丈夫!意図する力ってすごいパワーだから、自分の氏名の使命を生きるって意図して生きていけばそうなるから」
金田里美「意図の力・・・」
先生「うん 言霊って本当にあるから ネガティブな言葉じゃなくポジティブな言葉に変換していくのも大事です」
金田里美「ポジティブな言葉に変換していく・・・ 分かりました! やります!」
先生「そうそう! 笑う門には福来る だから笑顔でポジティブな言葉いっぱい 使ってください はい、今日は終わりです」
金田里美「はい ありがとうございました」
  壮大な話しだったので、横になっていたのにくらっとしてしまった。
  
  先生は私の様子を見たからか、にっこり笑って
先生「落ち着いてから着替えて大丈夫ですよ」
  と部屋から出いった
金田里美(ヤバい!先生のこと好きになっちゃいそう)
  なんか幸せな気分・・・
  とほんのりほてった身体を感じながら私はにっこり微笑んだ

コメント

  • こんな鍼灸院はいいですね。筋肉と心のコリをほぐしてくれそうで。しかもお話上手のイケメンですから、女性方から大人気でしょうね。

  • 先生との会話、鍼治療以上によくききそうですね。名前にしてもこんなにたくさん褒めてもらえて嬉しくなるようなことを言ってもらえたら、それだけで心身いやされそうです。私も、先生に会いに行きたくなりました。

  • さくらってそういう意味があったんですね。
    たしかになんだか神秘的な花って感じがしますよね。
    そんな中に芽生えた恋心にキュンしました!

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ