〇玄関内
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（私はよく彼を観察（ストーキング） しているからわかる・・・）
犬谷 花風(いぬや かふう)「今日は天気がいいから散歩してくるよ。 別に何かを買いに行くとかじゃないからね」
犬谷 花風(いぬや かふう)「で、でもお腹は空かせておいてね」
犬谷 花風(いぬや かふう)「じゃあ、楽しみにしててね!!」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（プレゼント受け取りに行くんだろうなぁ）

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（今日で26歳か）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（何を買ったんだろ？）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（花風はわかりやすいからなぁ）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（きっと──）

〇大きいショッピングモール
犬谷 花風(いぬや かふう)「お高め美容液、おしゃれお財布は もうプレゼントしたから・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「むむむぅ～」
脳内花風ver.静「ネイと同じだけ美しい花束はどうだろう？」
脳内花風ver.静「沢山の花で愛を表現するんだ」
脳内花風ver.動「1日10個限定発売の リッチロールケーキがいいかも」
脳内花風ver.動「ネイがスイーツを食べてる姿は 可愛いからお得だよ!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「そういえば腕時計が欲しい的なことを 呟いていた気がする!!」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（って感じの脳内会議が 進行していたに違いない）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（花風なら、覚えてくれてるはず）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（それで・・・）

〇ショッピングモールの一階
犬谷 花風(いぬや かふう)「時計っ、時計──」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ごめんね、俺、彼女いるから」
犬谷 花風(いぬや かふう)「しかも、凄く可愛い彼女が」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（女の子に捕まるだろうけど）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（平気な顔して惚気るに違いない）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（あとは・・・）

〇宝石店
犬谷 花風(いぬや かふう)「時計店～」
犬谷 花風(いぬや かふう)「どれがいいか・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「むむむぅ～」
脳内花風ver.静「知性溢れる上品なブラックがおすすめだ」
脳内花風ver.静「クールなネイをより美しく!!」
脳内花風ver.動「防水設計で壊れにくいこれだよ」
脳内花風ver.動「日課のランニングを応援しよう!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「普段あまり身に着けないピンク色を 折角だからと恥じらいつつも 着けてくれるネイは・・・？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「可愛いっ!!」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（可愛い顔して 意外とそういうこと考えてるからなぁ）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（問題は・・・）

〇大きいショッピングモール
犬谷 花風(いぬや かふう)「プレゼント、喜んでくれるかな？」
脳内花風ver.静「喜んでもらえるように こうやって脳内会議を発足しているんだ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「何か忘れてる気がする」
脳内花風ver.動「俺達が忘れるわけないよ!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「お腹が減ったし帰ろう!!」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（たぶん、ご飯のこと忘れてるなぁ）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（ご飯くらい作ってあげたいからいいけど）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（・・・）
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)（ハンバーグにしよ）

〇大きいショッピングモール

〇マンションの共用廊下

〇玄関内
犬谷 花風(いぬや かふう)「ただいま～」
「お、おかえりー」
犬谷 花風(いぬや かふう)「えっ!! 和風手ごねハンバーグの匂いがする!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「もう美味しい!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「じゃなかった」
犬谷 花風(いぬや かふう)「サプライズしなきゃ・・・」
「き、聞こえてマース・・・」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「さ、散歩は楽しかった？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「えっとね、すごく楽しかったよ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「とってもサプライズ日和で」
犬谷 花風(いぬや かふう)「・・・やべ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「サプライズ日和・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「とにかく今日はネイの誕生日だから プレゼントがあるよ!!」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「ゴリ押すね・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「驚いてほしい!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「結構前に腕時計が欲しい的なことを 呟いていた気がするから、時計っ!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「普段あまり身に着けない色だけど、 よかったら着けてほしい」
犬谷 花風(いぬや かふう)「絶対に似合うと思うから!!」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「ぜ、全乗せ・・・」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「着けるけど・・・」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「ぺかーって感じの笑顔やめてよ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「照れてて可愛いよ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「どうかな、サプライズは成功？」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「驚きはしたけど、実はお見通しだった」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「成功まであと少しかなぁ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「嬉しいけど」
犬谷 花風(いぬや かふう)「そっか・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「よかった、まだ成功してなくて・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ここからが本番だよ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「えっ・・・!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「俺はさ・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「付き合ってから今日まで ずっとネイのことが好きで、」
犬谷 花風(いぬや かふう)「この気持ちが ネイへの愛だと思うんだ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「俺はネイと一緒に 幸せになりたくて・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「あー、俺って思ったことすぐ 口に出しちゃうからさ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ネイへの気持ちが止まらないんだ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「つまり」
犬谷 花風(いぬや かふう)「俺はネイと結婚したい」
犬谷 花風(いぬや かふう)「もしネイが同じ気持ちなら 指輪を受け取ってほしい」
犬谷 花風(いぬや かふう)「どうかな？」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「・・・・・・」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「の、」
犬谷 花風(いぬや かふう)「え、No!?」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「脳内会議はちゃんとしたの・・・？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「びっくりしたぁ、 いじわるしないでよ・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ネイなら、わかるんじゃない？」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「そうだね」

〇アパートのダイニング
脳内花風ver.静「プロポーズの言葉はシンプルにいこう」
脳内花風ver.動「でも伝えたい言葉が多すぎるね」
犬谷 花風(いぬや かふう)「好きな気持ちを全部伝えよう」

〇アパートのダイニング
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「結婚が前提だった？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「大正解〜」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「指輪、つけて」
犬谷 花風(いぬや かふう)「似合ってるよ、綺麗だ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「どう？ 人生をかけたサプライズは？」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「驚いたよ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「けど、」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「花風と結婚することは予想してたよ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「思ってた何倍も何十倍も 嬉しくてたまらないけど!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「俺も驚いてるんだ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「この先もネイのことが もっともっと好きになりそうで」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ネイにも同じ気持ちで いてもらえるように頑張るよ!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「それから、もっともっと ネイを驚かせられるようにもなりたいな」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ぐうぅぅ～」
犬谷 花風(いぬや かふう)「お腹なっちゃった・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「あっ!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ごめんね、 ご飯買ってくるの忘れちゃった」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「だと思って作っておいたよ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「一緒に食べよ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「さすが、俺のことを 誰よりも分かってくれてるね!!」
犬谷 花風(いぬや かふう)「不甲斐なさまで・・・」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「あとちょっとでできるから、待ってて」
犬谷 花風(いぬや かふう)「途中だったんだ？」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「愛情、追加で入れておきたいじゃん？」
犬谷 花風(いぬや かふう)（・・・）
犬谷 花風(いぬや かふう)（本当はね、）

〇大きいショッピングモール
犬谷 花風(いぬや かふう)「何か忘れてる気がする」
犬谷 花風(いぬや かふう)「ご飯、どうしようかな・・・」
犬谷 花風(いぬや かふう)「夜景の見えるレストランを 仮予約してるけど・・・」
脳内花風ver.静「本当にそこでいいのか」
脳内花風ver.動「自分が何をしたいのか、 それをしっかり考えようぜ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「そうだよね」
犬谷 花風(いぬや かふう)「お店には悪いけど──」

〇アパートのダイニング
犬谷 花風(いぬや かふう)（ネイに関わることだから）
犬谷 花風(いぬや かふう)（覚えていたんだ、忘れるわけないよ）
犬谷 花風(いぬや かふう)（これはワガママだけど、）
犬谷 花風(いぬや かふう)（こんな素敵な夜くらいは、）
犬谷 花風(いぬや かふう)「二人きりで過ごしたかったんだ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「また何か言ってたでしょ」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「もっと会議しなきゃ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「考えてもネイなら 全部わかっちゃいそうだね」
鳥月 寧依子(とりつき ねいこ)「・・・愛を叫んでる？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「そうだよ」
犬谷 花風(いぬや かふう)「愛の言葉は口に出してもいいんじゃない？」
犬谷 花風(いぬや かふう)「大好きだよ、この先もずっと」