読切(脚本)
〇まっすぐの廊下
1年生のときは
学校の日が楽しみになるなんて思っても見なかった
「あ!三坂先生!」
「先生!おはようございます!!」
三坂 透「おはようございます・・・」
三坂 透(・・・)
女子1「あの先生さ、かっこいいけど冷たいよねー」
女子2「え、わかるー、なんかうちらにも敬語だよね」
でもわたしは先生と仲良くなりたい!
どうすればいいんだろう──
〇教室
三坂 透「それで──」
三坂 透「またあなたですか」
三坂先生は、わたしの担任ではなく、担当の授業もない
三坂 透「何回言ったらわかるんですか?スカートの丈!!短すぎます」
ただ、わたしの学年の生徒指導の先生
それだけがわたしと先生の繋がりなんだ
三坂 透「それに、あなたは成績は優秀なんだから、こんなことで内心に響くようなことしたら──」
「はい!すみません!!でも直せないです」
三坂 透「まったく、またそれですか」
三坂 透「いい加減、先生をからかうのはやめなさい」
「先生が生徒指導を担当する限りずーーーっとわたしのスカートは短いんです!」
三坂 透(はぁ、ほんとに問題児だ)
〇シックなリビング
三坂 透「ふぅ・・・」
三坂 透(他の先生に聞いてみたところ、あの生徒1年生から優秀で、)
三坂 透(校則も今まで破ったことないとか、むしろ地味だったとか聞いたんだが、一体どういうことだ?)
三坂 透(最近はスカートの丈のみではなく、段々とエスカレートしているし)
三坂 透(わざと生徒指導されるようなとこをしている・・・?)
三坂 透「まさか、俺のことが好きとか?」
三坂 透「いやいやいや!自惚れるな、透!生徒だぞ!」
三坂 透(とりあえず、この現状をなんとかせねば)
〇教室
〜本日の生徒指導〜
三坂 透「今日は、」
三坂 透「ピアスを開けたと、」
「はい!でも途中で血が出ちゃって!だから片方だけです!」
三坂 透(これも、俺のため・・・?)
どうしたんだろう今日の先生
なんかいつもと違う
「先生?」
三坂 透「あっ、いや大丈夫だ、君は生徒、生徒なんです!わかりますか?!」
「え?はぁ、まあそうですね」
三坂 透「そのーーー、あれだ、君は」
三坂 透「わたしのこ、、とが、、」
三坂 透「、その、す、す、」
え!!!!!!
好きなのバレてる!?
三坂 透(俺は一体何言ってんだ!?こんなこと言ってどうするんだ)
三坂 透「(咳払い)」
三坂 透「毎日毎日ここに呼び出されるより、」
三坂 透「友達と遊んだ方がよっぽど有意義な時間をすごせるのではないのでしょうか?」
「1年のときから・・・友達・・・いないもん」
三坂 透「そう、でしたか、」
〇事務所
三坂 透「・・・」
三坂 透「・・・」
女性教師「せ、先生?透先生!」
三坂 透「はっ」
女性教師「ぼーっとしちゃって、大丈夫ですか?」
三坂 透「はい、大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ありません。 では、お先に失礼します」
女性教師(透先生って本当にわからない人ね・・・)
〇教室
〜本日の生徒指導〜
「先生!今日はねー、じゃーーん!ネイルしてきちゃった!」
三坂 透「わかりました」
「え?めっちゃ可愛くないですかー??」
三坂 透「もう(俺のために)頑張らなくていいですから」
「頑張るってなにを、、」
三坂 透「もう、無理しないでください」
「無理なんかしてません!」
三坂 透「あなたが生徒指導されるようなことをしなくても」
三坂 透「今まで通りこうやって話しませんか?」
「え?どういうことですか?」
三坂 透「わたしたち」
三坂 透「友達になりませんか?」
「友達?」
「なります!なります!でもなんで?」
三坂 透「そ、それは」
三坂 透「あなたに友達がいないからですよ」
「先生、それは」
「お互い様でしょ?」
三坂 透「うっ まあ確かに、」
三坂 透「そうですね」
先生が笑っているところを初めて見た
今日は、私たちが友達としての第一歩を踏み出した記念日になりました
きっとかっこいい先生なんででしょうね(笑)先生と話すきっかけが欲しいからと校則を破ってまで近づこうとする彼女が可愛すぎです。
先生に指導してほしくて校則を破ってしまう、そんな健気な女の子絶対にかわいいですよ。
いじらしいじゃないですか!
個人的にそんな女の子が好きなので力がこもりました。笑
思春期によくある、無理して頑張っちゃっている女の子の心情や様子が、一人称側なのにすごく伝わってきます。ラストの距離の詰め方も、人付き合いが上手くない2人らしくて微笑ましいですね。