エピソード1(脚本)
〇大学の広場
とある大学の昼休み
アキ「いただきまーす」
ハヤト「お、唐揚げ入ってんじゃん」
アキ「ハヤト!!」
ハヤト「もーらいッ!!」
アキ「ちょっと!!」
ハヤト「もぐもぐ」
ハヤト「まぁまぁだな」
アキ「勝手に食べといて何それ!?」
ハヤト「そんなプリプリすんなよ」
ハヤト「顔まるくなってんぞ」
アキ「はぁ!?」
ハヤト「ああ、悪りぃ」
ハヤト「丸顔なのは昔からか」
アキ「逃げるな!!」
アキ「まったく、何なのよアイツは」
アキ「変わってないのはそっちでしょ」
アキ「幼稚園の時から意地悪ばっかり」
〇散らかった研究室
とある大学の研究室
???「・・・ふふ・・・ついに」
アキ「失礼しまーす」
アキ「・・・誰もいないのかな」
アキ「げっ、嫌な予感・・・」
キサラギ教授「ゲッホゲホ」
キサラギ教授「思ったより衝撃が強かったのぉ」
アキ「・・・何してるんです、キサラギ教授」
キサラギ教授「アキくん!!ちょうど良いところに」
キサラギ教授「今しがた新作が完成したんじゃ」
アキ「・・・パンですね」
キサラギ教授「ただのパンではない!!メロンパンじゃ!!」
アキ「そこ重要なんだ」
キサラギ教授「このメロンパンを食べた者はな・・・」
アキ「食べた者は・・・?」
キサラギ教授「意地悪になっちゃう!!」
アキ「用事を思い出したので帰ります」
キサラギ教授「待て待て待て、待ってお願いだから」
アキ「そんなの作って誰が喜ぶんですか」
キサラギ教授「それはアキくん、」
キサラギ教授「はい、キサラギです。ええ、はい。・・・では後ほど」
キサラギ教授「ロンドンの学会発表について呼び出しじゃ」
アキ「あれで世界的に超有名な科学者なんだよね」
〇散らかった研究室
ハヤト「おい、起きろよ」
アキ「むにゃむにゃ」
ハヤト「・・・アキ」
アキ「もう食べられない〜」
ハヤト「ぷッ!!」
アキ「私、寝ちゃってた?」
ハヤト「こんなとこで寝たら風邪ひくぞ」
アキ「心配してくれたの・・・?」
ハヤト「まぁバカは風邪ひかないって言うし大丈夫か」
アキ「何ですって!?」
アキ「ドキドキして損した」
アキ「ハヤトこそ、こんなとこで何してるわけ?」
ハヤト「お前の寝顔見てた」
アキ「えっ!?」
ハヤト「すっげぇヨダレ垂れてたぞ」
アキ「嘘でしょ!?」
ハヤト「夢の中でも食ってるんだな」
アキ「うるさい!!」
アキ「キサラギ教授が変なもの作ったりするから、それを・・・」
ハヤト「どうした?」
アキ「メロンパンがなくなってる・・・」
ハヤト「ああ、あの黒焦げの?」
アキ「そう、知らない?」
ハヤト「食った」
アキ「食べちゃったの・・・」
ハヤト「どうせ食いしん坊のお前がつくったんだろ」
ハヤト「あんな焦げてちゃ食べられねーだろうから代わりに貰ってやったんだ」
ハヤト「感謝しろよ」
アキ「身体とか、何ともない?」
ハヤト「お前の失敗作、昔から食べてんだぜ」
ハヤト「あれくらい何でもねーよ」
アキ「いちいち失礼なやつ!!」
アキ「ハヤトが食べたところで元から意地悪なんだから問題ないか」
ハヤト「はぁ?」
アキ「あ、もうこんな時間」
アキ「帰ろっと」
ハヤト「ちょ、待てよ!!」
〇大学の広場
アキ「あちゃー雨だ」
ハヤト「俺を置いてくとは良い度胸じゃねーか」
ハヤト「なんだ、傘忘れたのかよ」
アキ「朝、バタバタしてたから」
ハヤト「本当子どもの頃からそそっかしいよな」
アキ「ぐぬぬ」
ハヤト「俺の傘に、・・・ん?」
ミナミ「困ったなぁ」
ハヤト「ミナミじゃん、どうした?」
アキ「確かハヤトのサークルの後輩だっけ」
ミナミ「先輩・・・実は傘忘れちゃって」
ハヤト「んじゃ、これ使えよ」
ミナミ「いいんですか!?」
ミナミ「でも先輩が濡れちゃいますし」
ハヤト「気にすんなよ」
ハヤト「俺、こいつと帰るし」
アキ「ええっ!?」
ミナミ「・・・そういうことですか」
ミナミ「じゃあ、お言葉に甘えて」
ミナミ「ありがとうございます!!」
アキ「・・・・・・」
ハヤト「・・・仕方ねーから雨宿り付き合ってやるよ」
アキ「何よ、カッコつけちゃって」
ハヤト「アキ!?」
〇散らかった研究室
アキ「ハヤトのやつ、他の子にはあんな優しくしちゃってさ」
キサラギ教授「おお、アキくん」
キサラギ教授「こんな時間まで研究熱心じゃな」
アキ「教授、例のメロンパン残念ながら失敗ですよ」
キサラギ教授「なぬっ!?」
ハヤト「二度も俺を置いて行くとはって・・・」
ハヤト「キサラギ教授じゃないですか、お疲れ様です」
アキ「ハヤトが食べました」
キサラギ教授「・・・ふむ、なるほど」
アキ「でも、なーんにも変わりなし」
ハヤト「何の話だよ」
アキ「さっき食べたメロンパン、あれキサラギ教授の新作なの」
ハヤト「マジかよ、また怪しい研究か?」
キサラギ教授「誰が怪しいって?」
ハヤト「いや、えっと、どんな斬新な研究を・・・?」
キサラギ教授「ふふ、それはのぅ・・・」
アキ「食べた人が意地悪になるメロンパン」
ハヤト「・・・なんか腹減ったな」
アキ「メロンパン以外なら何でも食べたい」
キサラギ教授「二人でスルーするのやめて」
アキ「ですから失敗ですって」
アキ「意地悪どころか後輩の女の子に鼻の下こーんなに伸ばしちゃうんだから」
ハヤト「んなことしてねーよ」
アキ「してた!!」
ハヤト「してねー!!」
アキ「意地悪なのは私にばっかり!!」
キサラギ教授「研究は大成功じゃ!!」
アキ「どういうことですか?」
キサラギ教授「このメロンパンを食べた者は意地悪になる」
ハヤト「それはさっき、」
キサラギ教授「ただし!!その対象は」
キサラギ教授「最愛の人だけ」
ハヤト「・・・は?」
アキ「・・・え?」
キサラギ教授「そもそも意地悪というのは好意の裏返しじゃ」
ハヤト「べ、別に俺はアキのこと・・・」
キサラギ教授「意地悪を言えば言うほど、本心の裏返しというわけじゃ」
アキ「じゃあ今までの意地悪も本当は・・・」
ハヤト「アキが美味しそうに食べてると俺も幸せ」
ハヤト「アキの顔見るとホッとする、でもドキドキもするんだ」
ハヤト「危なっかしくて放っておけねーよ」
ハヤト「失敗したって俺がいるだろ」
ハヤト「アキが可愛いくて仕方ない」
ハヤト「好きだよ」
ハヤト「ずっと前から大好きだ」
アキ「ハヤト・・・!!」
キサラギ教授「そういうことじゃ」
ハヤト「ち、違う!!そんなんじゃねーし」
アキ「はいはい、わかってますよー」
アキ「雨止んだみたいだし、帰ろっか」
ハヤト「・・・仕方ねーな、一緒に帰ってやるよ」
キサラギ教授「・・・・・・」
キサラギ教授「めでたしめでたし」
キサラギ教授「と言いたいところじゃが」
キサラギ教授「ハヤトくんは昔からアキくんにだけ意地悪じゃったと」
キサラギ教授「とすると、これは」
キサラギ教授「ただの焦げたメロンパンだったわけか・・・」
オチが(笑)教授は一体何を作っていたのやら💦
研究ものだと本音がでちゃう薬とかが定番ですが、こちらは意地悪したくなっちゃう(しかも失敗作)っていうのが斬新で楽しかったです!
なんだかんだ付き合ったら仲良くやっていけそうな二人ですね!楽しかったです〜(^^)
面白ーい!こういうお話大好きです!お腹も空いてきて一石二鳥(?)です!
キサラギ教授のキャラが可愛くて、クスッと笑っちゃいました。食べると最愛の人にだけ意地悪になるメロンパン。そんな研究もお茶目で可愛いです。笑