正夢ピクニック

すな

正夢ピクニック(脚本)

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正夢ピクニック
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〇女性の部屋
  私の趣味は絵を描くこと
浜野由美(今晩ももっと、描きたいなあ・・・)

〇女性の部屋
浜野由美「あっ、もう朝!」

〇小さい会議室
碇課長「浜野はどうした?」
マサシ「もう来ますよ、たぶん」
浜野由美「申し訳ありません、遅れました!」
碇課長「なにをやってるんだ!  クライアントはもう帰っちまったぞ!」
浜野由美「ごめんなさい・・・寝坊してしまって」
碇課長「まったく浜野には困ったもんだ。 ここのところずっと遅刻ばっかじゃないか」
マサシ「僕のせいです。今日がすごく大事な案件ってきちんと説明してなかった」
碇課長「浜野は遅刻だけじゃなくミスも多い! 広告代理店は信用を失ったらおしまいだ! まったく、何とかしてくれないかね!!」
浜野由美「申し訳ありません・・・」
  ──終業時刻──

〇雨の歓楽街
マサシ「お疲れさま。 最近、調子どう?」
浜野由美「ごめんなさい、寝不足気味で。 遅刻もミスも多くて申し訳ないです」
マサシ「もしかして、不眠症?」
浜野由美「そういうわけじゃないんです。 夜更かししがちで、なかなかさっと起きられなくて」
マサシ「僕、浜野さんに朝、電話しようか」
浜野由美「えっ。そんなの申し訳ないです」
マサシ「チームリーダーとしては放っておけないよ。 浜野さんの遅刻は僕の責任でもある。 毎朝、電話させてもらうよ、いい?」
浜野由美「じゃ、ライン電話にしてもらっていいですか?」
マサシ「了解。 ね、前から思ってたけど、浜野さんのアイコン、素敵だね。 どこから拾ってきたの?」
浜野由美「あ、これ、私が自分で描いた絵なんです」
マサシ「えっ。すごい。うまいじゃない。 浜野さん、こんな絵描けるんだ」
浜野由美「はい。絵を描くのは、好きなんです」
マサシ「ふうん。 ね、浜野さん、ピクニックって嫌い?」
浜野由美「ピクニックですか? 嫌いじゃないです。 ていうか、ピクニック嫌いなんて人、いないと思いますけど」
マサシ「明日の土曜日さあ、柊公園で正夢ピクニックっていうのがあって。 僕、よく行くんだけど、来る気ない?」
浜野由美「はあ・・・お邪魔でなければ」
マサシ「じゃあ明日、柊公園の真中にある一番大きな木の下に来てみて。僕はお昼くらいにはいるから。よろしくね」
浜野由美「はあ・・・よろしくお願いします」
浜野由美「正夢ピクニック? どういう人たちが来るのかな?  私、ほんとに行っていいのかな?」
  明日って、どんな人たちが来るんですか?
  それと、何を持っていけばいいんですか?
  
  由美
  DJとか、ラッパーとか、劇団員とか、ダンサーとか、いろいろだよ。手ぶらでいいから来てみてよ
  
  マサシ
浜野由美「ふうん・・・」

〇大樹の下
マサシ「おおい、こっちだよ、浜野さん!!」
浜野由美「はあい、先輩!」
DJ志望者「マサシの友達?」
マサシ「そう。ていうか会社の後輩。 浜野さんこれ、よかったら」
浜野由美「わあ、これ、食べていいんですか?」
マサシ「もちろん。僕が作ったんだ」
浜野由美「え、これ、先輩が?」
マサシ「そう。よかったらぜひ」
浜野由美「いただきます・・・おいしい!」
DJ志望者「正夢ピクニックにようこそ。 ここは夢を叶えるピクニックなんだ」
着物女子「ここでお互い、夢を語り合って形にしていくピクニックなのよ」
着物女子「私は今、趣味で劇団員をやってるけど、いつかは女優として食べていけるようになりたいの」
ラッパー志望者「俺はラッパー目指してる まだ仕事にはならないレベル けどいつか、必ず俺はやる 宅録で今、曲つくってる」
ダンサー志望者「アタシはダンサーになりたい!」
DJ志望者「俺はDJ。作曲もしてる。まだこれで食っていけるってとこまでいけてないけど。 ここいらの仲間と一緒に今、CD作ってるところ」
マサシ「実は僕も、いつかカフェをやりたいと思ってるんだ」
浜野由美「そうだったんですか! ホントは私も、絵を描く仕事をしたいんです。いつも夜遅くまで絵を描いてて徹夜になっちゃうことが多くて」
DJ志望者「へえ。君、どんな絵を描くの?」
浜野由美「ええと、たとえば・・・」
DJ志望者「へえ、いいじゃん! 俺らの作ってるCDジャケットの絵、描いてくんないかな?」
浜野由美「え? あ――はい、いいですよ。 って、私でいいんですか?」
DJ志望者「もちろん。ありがとう、頼んだ! 今はお礼、たいしてできないけど、売れたらギャラ、弾むよ」
浜野由美「あ、はい・・・了解です!」
マサシ「僕も今、修行中のつもりなんだ 今の勤め先も、カフェをやった時に役立つんじゃないかと思っててね。 開業資金も貯めたいし」
浜野由美「そうだったんですか!」
マサシ「僕は自分の夢を忘れないようにするためにこの正夢ピクニックに通ってる。 浜野さん、僕はこれから毎朝、君に電話するよ」
浜野由美「あ、遅刻しないように、ですね。はい!」
マサシ「それと、夢を忘れないようにね。 君はいつか絵を仕事にする。 僕はカフェを開く。 その夢をお互い、毎朝、確かめあおう」
マサシ「そしてこの正夢ピクニックで、夢を実現するためにどういうことをしたか話そう。 いいかな?」
浜野由美「はい!」

〇新緑
  毎朝、先輩から電話をもらって
  毎月、正夢ピクニックに行って
  10年が過ぎた

〇テーブル席
  マサシ先輩はとうとうカフェを始める
マサシ「オープニングに浜野さんの絵を飾りたいけど、いい?」
浜野由美「はい!」
  私の絵はずいぶん売れるようになっていた
  正夢ピクニックの仲間たちが
  続々と先輩のカフェにやって来る
  みんな夢を叶えている。
  店内にかかるのはプロになった仲間の曲
  同じグラスを手に取ろうとして、私と先輩の手が触れた
マサシ「僕たちって、ぴったりだと思わない?」

〇豪華な部屋
  今、私たちはカフェのそばのすぐそばで
  いっしょに暮らしている
  私は絵を描いて、マサシはカフェの店長をやって

〇テーブル席
  カフェが忙しいときは、私も手伝う

〇大樹の下
  正夢ピクニックも続いてて
  幸せ。

コメント

  • 夢を実現させるために夢を具体的にイメージして潜在能力に働きかけるイメージング(引き寄せの法則)という手法を思い出しました。正夢ピクニックは仲間と夢を共有するからさらに効果的かもしれませんね。由美とマサシは最高のパートナーを得るという夢まで叶えてすごいの一言。

  • 凄く素敵なお話でした!
    夢を語り、夢を叶え、そんな仲間とずっと過ごせたらって考えると、人生めぐり合いや出会いがとても大事なんだなぁと深々感じました。

  • 正夢ピクニックでみんなの夢が叶ってますね。
    もちろんみんながんばった証だと思いますが、こうやって夢を語り合うのもがんばる原動力になったのかな?と思いました。

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