遠回り(脚本)
〇明るいリビング
三年前・・・
奏 「じゃーん♪」
尚 「おっ!いいじゃん♪」
奏 「似合ってるかな?」
尚 「似合ってる似合ってる♪」
奏 「ふふっ・・・ありがと尚」
尚 「そっか・・・奏でも明日から社会人か なんか早いなー」
奏 「あはは♪ なんかおじさんみたいなこと言うね尚」
尚 「コラコラ~俺はまだ25だぞ~」
私は高松奏、24歳。
大学を卒業し、明日から社会人の仲間入り。
彼は、藍川尚、25歳。
私と同じ大学の同じサークル出身で、IT関係の会社に勤めている。
尚 「あのさ、奏」
奏 「ん?何?」
尚 「これ・・・」
奏 「これって・・・・・・」
尚 「俺と、結婚してください」
奏 「け、結婚!?️ ちょ、急にどうしたの・・・」
尚 「奏でも明日から社会人、 俺も仕事が安定してきた だから、今だと思ったんだ」
尚 「俺、奏と結婚したい」
奏 「・・・・・・・・・・・・」
尚 「どう・・・・かな」
奏 「正直に言うと・・・私はまだ、 結婚はしたくない・・・・・・」
尚 「えっ・・・」
奏 「そ、そりゃ私だって結婚を一生したくない訳じゃないし、結婚するなら尚がいいよ」
奏 「けど・・・今私は、仕事がしたいの、明日からの新生活を頑張りたいの!」
奏 「だから・・・・・・」
尚 「なんか・・・・・・ごめん そんな気持ちにさせるつもりはなかったんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
奏 (ごめん、尚)
尚 「わかった・・・」
尚 「俺ら、ちょっと距離おこう」
奏 (えっ・・・・・・)
尚 「ちょっと、これから先の事・・・・・・ 考えさせてほしい」
奏 「・・・・・・うん、わかった」
そういって、尚は自分の部屋に戻っていった。
〇店の入口
涼子「それで自然消滅と」
高松 奏 「うん・・・」
彼女は私の友達、野原涼子
同じ職場の仲間で、時々相談に乗ってもらっている
私と尚は、あの出来事をきっかけに、連絡を取ることなく自然消滅した
そして今、なぜ私が三年前の話をしているかというと、今日、大学のサークル同窓会があるからだ
高松 奏 「私が悪かったのかな ただ私は、私の意見を聞いてほしかっただけなのに」
涼子「奏はその後、尚君に会ったの?」
高松 奏 「会って、ない・・・」
涼子「なんで? なんで二人とも、その後向き合い直すことができなかったの?」
高松 奏 「そりゃ仕事とか・・・ 尚からの連絡だってなかったし、 連絡先消されてたのかもだし」
涼子「それは言い訳だよ」
高松 奏 「え・・・」
涼子「奏」
涼子「自分の非も認めなさい」
高松 奏 「そんな・・・」
高松 奏 「じゃあ私はどうすれば良かったの? したいことも頑張りたいことも全部犠牲にして、結婚すれば良かったの?」
涼子「そうとは言ってない!!️ 私が言いたいのは、 今回の事はどっちかが悪いとかじゃなくて、どっちも悪いって事!!️」
涼子「時間も作ろうと思えば作れたし、連絡もしようと思えばできたんじゃないの?お互いに」
涼子「私、間違ってること言ってる?」
高松 奏 「言ってない」
高松 奏 (涼子の言ってることは、正しい)
涼子「今日、行くんでしょ同窓会」
高松 奏 「けど、会えるかどうか・・・ 尚、集まりとか苦手だし」
涼子「それは、奏もでしょ?」
涼子「会いたいって思うから、行くんでしょ?」
高松 奏 「うん、会いたい・・・」
涼子「大丈夫、奏ならできる 会えなくても、連絡してみな」
高松 奏 「うん!」
高松 奏 「私、トイレで気合いいれてくる!!️」
涼子「いってらっしゃい♪」
携帯「尚さんからお電話です」
涼子「・・・・・・!?️」
涼子「やれやれ・・・」
〇大ホール
サークル仲間「何年ぶりかな~」
サークル仲間「変わんねぇな~」
奏 「みんな久しぶりだねぇ~」
どこを見ても、尚はいない
もしかしたら、まだ来てないのかも・・・
二時間後・・・
奏 「食べた食べた~」
サークル仲間「飲んだ飲んだ~」
サークル仲間「美味しかったなお酒~ 飲めないなんてもったいないぞ奏~」
サークル仲間「何言ってんの~? 奏、昔一回飲んで倒れたじゃんか~」
奏 「やめてよぉ~」
サークル仲間「私、トイレー」
サークル仲間「私もー」
奏 (やっぱり忙しいのかなぁ尚)
サークル仲間「おーい藍川ここだよ!!️ 遅ぇーよ、こっちこっち!!️」
尚 「わりいわりぃ仕事長引いちゃって まだやってる?」
サークル仲間「やってるやってる!!️ 飲めよ飲めよー」
尚 「ばーか 俺が酒一滴も飲めねぇーの知ってるだろ?」
奏 「来てくれた・・・」
尚 「あ・・・」
尚 「久しぶり・・・高松・・・さん」
奏 「あ、え、あ、藍川くんも久しぶり・・・」
奏 (名字で呼ばれたから、名字で呼んじゃった・・・・・・)
奏 「久しぶりだねぇ!」
尚 「元気だった?綺麗になったな」
奏 「あ、ありがとう」
奏 (うれしいはずなのに・・・・・・)
奏 (距離を感じる・・・)
〇川に架かる橋
サークル仲間「じゃあ今日はお開きと言うことで 解散ー」
奏 「じゃあ私帰るね」
尚 「待って、送ってくよ」
奏 「いいよーいいよー」
尚 「良くないよ」
奏 「大丈夫だって いつも会社帰るときは一人だから」
尚 「だめだ 危ないよこんな夜道に」
奏 (なんか、びっくり・・・)
奏 「え、うんわかった じゃあお願いしようかな」
尚 「任せなさい」
〇川に架かる橋
「・・・・・・・・・・・・」
尚 「さっきさ、会社帰りは一人って言ったじゃん」
奏 「うん・・・」
尚 「もしあの時、ちゃんと向き合ってたら 高・・・奏は、今も一人じゃなかったんだよな」
尚 「ごめん、向き合おうとしなくて」
奏 「私も・・・言い詰めちゃってごめん」
(やり直せるだろうか・・・・・・)
尚 「連絡先も残してた 唯一の繋がりがほしかったから」
奏 「私だって、残ってるよ」
尚 「俺、」
尚 「今も好きだよ」
尚 「奏の・・・こと」
奏 「え・・・」
尚 「やり直したい」
奏 「私で、いいの? 結婚も、私、まだはっきり・・・」
尚 「一生一緒にいるつもりだから、 二人でゆっくり考えていこうよ」
尚 「こんな俺でもいいなら、やり直したいです」
奏 「私も、同じです」
尚 「嬉しい」
奏 「私も」
尚 「うち、来ない?」
奏 「うん♪」
尚 「遠回りだけど、行こうか」
奏 「うん♪」
尚 「あ、そうだ」
奏 「どうしたの?」
尚 「何年も会えなかったんだ」
尚 「今日は返さないから」
奏 「・・・・・・」
尚 「行こう」
奏 「うん♪」
3年って長いなぁと現実的なことを考えて読んじゃいました。でもこの時間の間にふたりとも、歩み寄るとか素直に言葉にして伝える大切さを学んだりできたんじゃないでしょうか。嬉しい結末でした。
遠回りしたから見えることもありますよね。
お友達がいい人ですね!
言いにくいこともはっきり言ってくれる素敵な人だなぁと。
紆余曲折ありながら、結果的に一本の道に戻ってくる、それが運命な気がします。
結果的にどの選択肢を選んでいたとしても、未来はその一本の道に繋がっているのかもしれません。