異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第六話『スリーストライク、スリーボール、スリーアウト』(脚本)

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〇荒れた競技場

〇荒れた競技場
レヴィリック「前回の説明を元にグラウンドを用意した。これから実際に人を配置し、ヤ・キュウの試合の流れをやってみるぞ」
ハンズ「初めまして、神の御使い様。 兵長バンズともうします」
リベル「リベルだ。副兵長をしている。 後ろの連中はウチの国の兵士たちだ」
マコ「ドロシー、この国って軍隊はいないんじゃなかったっけ?」
ドロシー「兵士は治安を守る存在だから軍隊とは違うわ。マコには警察って言えば分かりやすいかしら?」
マコ「なるほどね。・・・・・・それで、こっちの兵隊さんじゃないっぽい人は?」
ヤマクモ「ヤマクモだ。小ぶりな者よ」
マコ「? 小ぶりってなにが?」
ドロシー「ヤマクモの言う事は気にしなくていいから、適当に聞き流して」
ヤマクモ「大きなモノを持つ者の言う通りだ。我のことは気にするな。ただ愛でるのが我が流儀だ」
マコ「??? そう、ですか?」
レヴィリック「ヤマクモはユグド聖国の食客だ」
マコ「食客って?」
ドロシー「意味合い的には、お客として招いている相手ってことだけど、ぶっちゃければ雇っている傭兵ね」
マコ「傭兵って確か、戦争の為に雇われた戦いのエキスパートだよね? えっ、でもこの国って軍隊を持たないって・・・・・・」
レヴィリック「軍隊ではない、食客だ」
ドロシー「レヴィリックのアイデアでね。このご時世だからね。最低限の戦力は必要ってことでね」
マコ「なるほど、物は言いようって訳ね」
ドロシー「ちなみに私も、その食客の一人。職人のビビゼルもそうね。自分で言うのもなんだけど、そこそこの手練れ揃いよ」
マコ「えっ、じゃあこの国って実は戦力が揃っているってこと?」
レヴィリック「おいおい勘違いされては困るな、神の御使い殿。食客たちはたまたまこの国に滞在しているだけであって、我が国の戦力ではない」
レヴィリック「ただ戦争になれば、自発的に動くかもしれないが、それは軍隊を持たない我が国とは一切関係ない」
マコ「うわー、やっぱアクドイわ、この宰相」
リベル「おい、レヴィリック。 今度は何を始めるつもりだ?」
レヴィリック「口の利き方に気を付けろよ、リベル副兵長。俺は宰相で遥かに偉い立場にある。お前が舐めた口を聞いていい存在ではない」
リベル「ふざけるな、この犯罪者が」
ハンズ「よせ、リベル」
リベル「ですが、ハンズ兵長・・・・・・」
ハンズ「全てはユニファ王女殿下がお決めになったことだ」
リベル「くっ」
マコ「・・・・・・えっと、これって予想通り、レヴィリックには人望がまったくないって解釈でいいのかな?」
ドロシー「レヴィリックはかなり強引な手を使って今の地位を手に入れたもんだから色々としがらみがあるのよ」
レヴィリック「さて諸君。先んじて伝えた通り、我々はこれから【ヤ・キュウ】という神聖なる儀式をすることになった」
レヴィリック「それ全て、こちらにおわす神の御使いマコ様の指示であり、ユニファ王女も承諾されている」
レヴィリック「諸君に反論の余地はない。 命が惜しくば、指示通りに動くように」
兵士たち「ざわざわ」
マコ「・・・・・・なんだか兵士の皆さんが、恐れ戦くように私のことを見ているんだけど?」
ドロシー「そりゃ、マコは神の御使いだもの。 逆らったら消されるくらいに思っているんじゃないかしら?」
マコ「・・・・・・釈然としないけど、今は、そういうことにしておいた方がいいってことね。了解了解」

〇荒れた競技場
レヴィリック「とりあえずマコの説明通りに守備の人間を配置してみたが、明らか外野が広すぎるな。本当にこれで合っているのか?」
マコ「間違いなくホームランのラインが広すぎたんだと思う」
ドロシー「どうする、レヴィリック? もうちょっと狭める?」
レヴィリック「・・・・・・・いや、とりあえず、このままでいこう」
レヴィリック「ヤ・キュウにおいて人数と守備配置は自由だから対応は可能だ。いずれは変更するかもしれんが当面はこれでいく」
マコ「あっ、また何か悪だくみしてる」

〇荒れた競技場
レヴィリック「守備が配置に付き、攻撃側が一人ずつバッターボックスに立つんだな」
マコ「そうそう。それでピッチャーが球を投げていく。ドロシー、軽く投げてね」
ドロシー「はーい、いくわよ」
  ひゅー、ぽとん。
レヴィリック「この投げた球が、真ん中辺りだとストライクで、外れるとボールということだが、基準はどこなんだ?」
マコ「えっと確かこの辺だったかな? テレビとかの映像だと、ここに変な四角形が出てたんだよね」
レヴィリック「分かりやすい基準があると考えると、おそらく、このベースの幅の上を通らないといけないんじゃない?」
マコ「あっ、そうそう! そんな感じだったと思う!」
レヴィリック「高さもありそうだな。 胸の高さから膝上くらいか?」
マコ「たぶん、それくらい」
ドロシー「そうなるとバッターが有利みたいね。ピッチャーはよほど工夫しないと打たれるわ」
ドロシー「・・・・・・あとさ、マコ。どうしても納得できないことがあるんだけどさ」
ドロシー「スリーストライクでワンアウト。 スリーアウトでチェンジよね?」
マコ「うん」
ドロシー「両方ともスリーよね」
マコ「うん。三つだよ」
ドロシー「ならなんでボールだけフォーなの?」
マコ「・・・・・・そういえば、なんでだろ?」
ドロシー「スリーストライク、スリーアウト。 ボールだけがフォアボール」
ドロシー「これって、おかしいわよね」
マコ「おかしいね」
  という訳で結論
マコ「じゃあ『スリーストライク、スリーボール、スリーアウト』で」

〇荒れた競技場
レヴィリック「では形式通りに進めてみるか。ピッチャーは引き続きドロシー。バッターはヤマクモだ」
ヤマクモ「承知」
マコ「あっ、ヤマクモさんのバットは立派な剣なんだ」
ヤマクモ「・・・・・・小ぶりな者よ。 もう一度、言ってくれまいか?」
マコ「? 何を?」
ヤマクモ「我がこの手に握っているのはなんだ?」
マコ「? だから【ヤマクモさんの立派な剣】でしょ?」
ヤマクモ「・・・・・・うむ、満点だ」
マコ「??? えっ、どういうこと、レヴィリック?」
レヴィリック「気にするな。というか忘れろ」
ドロシー「レヴィリック、とりあえず色々と許せないから、コイツ殺していい?」
レヴィリック「ヤ・キュウをしろ、ヤ・キュウを」
ヤマクモ「ふっ、嫉妬か、大きなモノよ。安心せよ。我は女子(おなご)に対しては平等だ。さあ、その思いの丈を投げてくるがよい」
ドロシー「OK、分かった。全力でぶつけるわね」
ヤマクモ「どうせ球をぶつけるなら、我が股間の玉を狙ってくるがよい。さすれば、我が竿で見事に打ち返してくれよう」
マコ「・・・・・・なんか、今気づいたんだけど。ヤマクモさんって、かなりヤバくない?」
レヴィリック「そこに目を瞑れば、剣の腕は超一流だ。ドロシーが本人目掛けて全力で投げたところで、平気で打ち返すだろう」
マコ「というかさ、それだとデッドボールになるんじゃないのかな?」
レヴィリック「・・・・・・なんだ、それは?」
マコ「だから【デッドボール】。ピッチャーがバッターにボールをぶつける反則行為」
レヴィリック「おい、マコ。聞いてないぞ」
マコ「うん、私も言っていないことに今気づいた」
ドロシー「・・・・・・確か、デッドって死ぬって意味じゃなかったかしら?」
レヴィリック「死ぬボール。つまり相手を意図的に殺害する為のボールということか! そんな恐ろしいルールがあったとは!」

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