脚本がない

下假 貴子

エピソード3…職がない(脚本)

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〇古いアパートの部屋
萩原まいる「じゃあ、お姉チャンバイトだから。やっぱり社会人にはしてくれないみたい。現実みろよか。昨日、私、凄い事いっちゃったもんね」

〇クリーム

〇高層階の部屋
萩原まいる「現実見ろよ。   私のが凄いってとこみせてやる」

〇白

〇古いアパートの部屋
萩原 辰「お姉チャンカッコよかったよ」
萩原まいる「ほんと」
萩原 竜「今日からバイト何だろ?」
萩原まいる「そうよ。 お父さんとお母さんの保険金取られちゃったし・・・しようがないけど」
萩原 竜「取られた〜。何で?」
萩原まいる「会社のお姉さんに担保として取られちゃった」
萩原 辰「いくら?」
萩原まいる「二千万近く。ごめんね。だから働くしか脳がないんだ」
萩原まいる「何とかなるよ。二人は安心して学校に行きなよ」
萩原 竜「は〜い」
萩原まいる「私も行かなきゃ」

〇白

〇ファストフード店
萩原まいる「いらっしゃいませ。  ハンバーガー一つに    ポテトのL一つですね」
萩原まいる「いらっしゃいませ」
店員「お疲れ。 ここ忙しいでしょう」
萩原まいる「・・・はい。  大丈夫です」
店員「じゃあ、私また向こうにいってるね」
萩原まいる「あ、はい」
店員(アハハ。ウケる。 大丈夫ですだって。ないよね)
萩原まいる(大丈夫です何ていってないっていうの)
「そろそろだな」

〇コンサートの控室
萩原まいる「お疲れさまです。 (他のお店の人も同じように休憩か)」
店員「ちょっと可愛くない」
萩原まいる「・・・」
店員「若いね」
萩原まいる「うふふ」
店員「二千万の借金だって」
萩原まいる「あっ・・・」
萩原まいる「うっ・・・」
萩原まいる「むっ・・・。  何よ。言いたいこといって    直接言えばいいのに」
萩原まいる「・・・後、3時間頑張らなきゃ」
萩原まいる「ふぅ」

〇ファストフード店
萩原まいる「いらっしゃいませ・・・」
店員「ああ、ごめん。あがっていいよ。遅くなっちゃったね」
萩原まいる「はい。ありがとうございます」
萩原まいる「お疲れ様でした」

〇古いアパートの部屋
萩原まいる「二人共ごめんね。ご飯遅くなったね」
萩原 竜「いいよ」
萩原まいる「今日はご馳走だ〜」
萩原 辰「うわあい」
萩原 辰「うわあ、凄い姉ちゃん。毎日働いてよ」
萩原 竜「そういえば辰の所、明日、昼前に終わるんだろ。昼ごはんどうすんだ」
萩原 辰「どうしょう」
萩原まいる「こうしよう」
萩原 辰「こざししょう」
萩原まいる「こらっ」
萩原まいる「私の店まで来て食べてから帰るの。行けなかった鍵屋に行って。いつも、辰が一番早かったでしょう」
萩原 辰「分かった」
萩原まいる「それにしても美味しいね」
萩原 竜「もぐもぐ」
萩原 辰「ここにはお父さんもおかあさんもいないもん」
萩原まいる「そうだね。きれいな星だね」

〇白

〇古いアパートの部屋
萩原まいる「じゃあまた後で」
萩原 辰「は〜い」
萩原 辰「・・・」

〇ファストフード店
萩原まいる「いらっしゃいませ」
店員「ほんとにいいの?今日は遅い休憩で」
萩原まいる「いいですよ。  大丈夫です」
萩原まいる(早く辰来ないかな?)
萩原まいる「あ、来たっ」
萩原 辰「姉ちゃん。早く何か食べたい」
萩原 辰「姉ちゃん綺麗やな」
店員「あら、ありがとう」
店員「じゃあ後、お願いね」
萩原 辰「どうしたん」
萩原まいる「厨房で仕事だよ」
萩原 辰「ハンバーガーだけ食べるわ」
萩原 辰「・・・ぱくぱく」
店員(・・・っといい迷惑だよね。 休憩あとでいいとか。休憩させないようにした)
萩原 辰「・・・ぱくぱく。  姉ちゃん」
萩原まいる「暑いな。可笑しいな。休憩したいのに。・・・ってかもう上がりの時間」
萩原 辰「姉ちゃん」
萩原まいる「あ、まだ帰ってなかったんだ。  どうしたの?」
萩原 辰「まいるじゃないよ。   ねえちゃん・・・」
店員「・・・あ、はい。何かしましたでしょうか。 ほら・・・     あっ・・・えっ?」
萩原 辰「姉ちゃん。それはないわ。  何でそんなことするか分からんけど・・・ そんなん口ばかり動かしてるとニワトリになるで」
萩原 辰「悔しかったらCookDollって言ってお人形さんになってチキン作っとき」
店員「何を・・・」
萩原 辰「クックダーラーならんような。  姉ちゃんあがりやろ。帰るで」
店員「もういいわ。明日から来なくていい」
萩原 辰「何で姉ちゃんにいわれやならんのや」
店員「それは私が店長だからよ」
萩原まいる「顔が違う・・・」
萩原まいる「まあ、でもありがとうございました」
萩原 辰「千尋そんなのいいからほっときな。 でも忘れないで私は千尋の味方だから」
店員「何意味のわからないこといってるの」
萩原 辰「現実見ろや。 そんな、対応ばかりしたったらな顔がぎょーさん変わってじゃが芋から目を出した顔なるで。ほなな」
萩原まいる「お疲れ様でした」
  ・・・。
借金取り阿久津「どうもおおきに」
借金とり「邪魔しにきやした」
萩原 辰「邪魔しにきたなら・・・って、わてほんまによういわんわ」
借金とり「あほかいな」
萩原 辰「アドおしえたるから堪忍。   引っ越ししたばかりサカイ」
借金取り阿久津「ほんまかいな」
  ・・・
借金取り阿久津「そうかいなっていわんかい」
萩原 辰「・・・」
萩原まいる「・・・」

〇電気屋
萩原 辰「・・・電器屋や。電気屋」
萩原まいる「こらっ・・・」
借金とり「何でも好きなもんかっていいぞ」
萩原 辰「うそや」
借金とり「どうぞ」
借金とり「姉ちゃんは鍵取りに行き」
萩原まいる「はい。ありがとうございます」
萩原 辰「これとこれとこれと・・・」
借金とり「全部で5つやな。Wi-Fiもやな。つうやな」
萩原 辰「お姉チャン携帯高いから」
借金とり「あ、じゃあ。ちょっとまっとけよ」
萩原 辰「・・・」
借金とり「おっ、またせたな。   ほな、姉ちゃんとこ行こうか」
萩原 辰「姉ちゃん」
萩原まいる「ごめん、ごめん。鍵手に入ったよ。 キーホルダー付きパトちゃん」
萩原 辰「レアやん」
借金とり「ほなさいなら。  プレゼントは後日や。  ほらっ」
萩原 辰「わあ、これ最新のグリーンアップルやん」
借金とり「じゃあな」
借金取り阿久津「掴みはokか?」
借金とり「ぐ〜」
借金取り阿久津「ふざけるな。ふざけすぎだ」

〇開けた交差点
萩原 辰「レッツダンシング〜」
萩原 辰「あなたもぐ〜。わたしもぐ〜。今夜はダンシング〜」
萩原まいる「早く漫才師なれるといいね」
萩原 辰「人笑わした時から漫才師や。 姉ちゃんも早う夢みつけなや」
萩原まいる「夢ね」

〇古いアパートの部屋
萩原 辰「兄ちゃん戻ってきたで」
萩原まいる「いない。どうして!」
萩原 辰「探しに行かな・・・」
「えほん、えほん」
萩原まいる「・・・何か声した」
「こっちだよ」
萩原 辰「あ、兄ちゃんや」
萩原 竜「寒い」
萩原 辰「大丈夫兄ちゃん?」
萩原まいる「取り敢えず中に入ろう」

〇古い畳部屋
萩原まいる「寝たわね。良かった」
萩原まいる「辰、明日。竜を病院連れて行くから気を付けて学校に行ってね」
萩原 辰「分かった」
萩原まいる「じゃあ私達もねるか。凄い時間になったね」
萩原 辰「おやすみ・・・」

〇古いアパートの部屋
萩原 辰「・・・携帯も持っていくか」
萩原 辰「・・・」
萩原まいる「じゃあ、病院行こうか」
萩原 竜「うん」

〇病院の診察室
医師「ただの風邪でしょう。薬を出しておきます」
萩原まいる「良かった。薬出るって」
萩原まいる「昼どこかで食べていこう」
萩原 竜「うん」

〇テーブル席
萩原 竜「オムライスでいいわ」
萩原まいる「じゃあ私も」
萩原 竜「あまり、お腹すかないな」
萩原まいる「一つで良かったかもね」
萩原 竜「・・・」
萩原まいる「そういえば昨日・・・」

〇教室
生徒「家無しっこ。家なしっこ」
生徒「黄金無し、黄金無し」
萩原 辰「なんや、なんや。玉はあるで」
「かわいい。面白い」
「うぜぇ、でてけよ」
萩原 辰「でてかんで」
萩原 辰「ほな次いこか」

〇開けた交差点
萩原まいる「歩くのも疲れるね〜。   大丈夫?」
萩原 竜「頭痛い。ふらふらする」
萩原まいる「凄い熱。危ない・・・。  おんぶしようか。 よいしょ」
萩原 竜「お父さんみたい。  まあお父さんは肩幅広いけどな」
萩原まいる「男みたいっていいたいの」
萩原 竜「そうじゃないけど。あはっ」
萩原まいる「あ、ねたわね。 ほんと、重たい。この先どうなるかな。学校もない。家も売り飛ばされ。・・・お金もない」
萩原まいる「こんな歳で就職探せるかな」
萩原まいる「・・・」
萩原まいる「まあ頑張るしかないか」

〇古いアパートの部屋
萩原まいる「薬代に3800円かかったな~。  残金380円か〜 日払いのとこないかな」
萩原 辰「ただいま」
萩原まいる「お帰り」
萩原まいる「今日はご飯はオムライスだけどいい?」
萩原 辰「いいよ。って店のやんか」
萩原まいる「ありがとう」
萩原 辰「ん?」
萩原まいる「食べかけなのにごめんね」
萩原 辰「大丈夫や。 それより、今日あのおっちゃん来るで。 電話しとかな」

〇クリーム

〇古いアパートの部屋
借金とり「邪魔するで」
借金取り阿久津「こんばんは」
萩原まいる「どうして場所が」
借金取り阿久津「GPSや。携帯にGPSつけたんや」
借金取り阿久津「悪かったな。プライバシーの侵害して。これからもっとプライバシーの侵害したるさかい・・・」
借金とり「ゲームにWi-Fi欲しいやろ」
萩原 辰「ほしゅうないわ。なんなんなんだった」
借金とり「星の王子様と思ったか。私等、泣く子も黙る借金取りや」
借金取り阿久津「悪かったのう。 でもある意味、金の王子様や。 昔、お前ンとこの親父に世話になってのう、また協力してくれんかのう」
萩原まいる「お金なら間に合ってます」
借金とり「そうじゃないんや。俺等もあれから丸くなってのう反省したんや」
萩原まいる「??」
借金取り阿久津「ここに2千万ある。  取引せんか?」
萩原まいる「取引?」
借金取り阿久津「ちょっと条件があってのう。 そやな、まあ一片、口封じのためにこの金、1週間使わんで置いとき。 1週間後またくるわ」
萩原 辰「口は堅いで」
借金とり「Wi-Fiと玩具は置いとくで」
萩原 辰「待って」
借金とり「Wi-Fiはとぶもんや。  じゃあな」
  ──萩原まひる、萩原辰。この度、借金取りに追われる事になりました。──
  果たして余裕のある暮らしは出来るようになるのか、まいるは仕事がみつかるか、それは明日にならないと分からない。

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