レディと執事と世界征服

きさらぎみやび

神宮寺セリナの野望(脚本)

レディと執事と世界征服

きさらぎみやび

今すぐ読む

レディと執事と世界征服
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
神宮寺セリナ「世界征服ですわ!!」
クラス全員「────!?」
  彼女の第一声に驚き、クラスがしん、と静まりかえった。
神宮寺セリナ「あら?」
神宮寺セリナ「聞こえませんでしたかしら?」
神宮寺セリナ「────こほん。では改めて」
神宮寺セリナ「世界征服ですわ!!」
藤堂カオル「テメェ、うっせえんだよ!!」
  彼女の宣言に苛ついたのか、教室の一番後ろの席に座っていた不良少女がバットで床を殴りつけた。
  再び教室が静まりかえる。
担任 山田「あ、あの・・・・・・転校生の神宮寺セリナさん?」
担任 山田「先生は自己紹介をお願いしたつもりなんだけど・・・・・・」
神宮寺セリナ「ええ。分かっておりますわ」
神宮寺セリナ「ですからわたくしの夢、いえ、野望をお伝えしたのです。わたくしの事を知って頂くのにこれ以上のことはありませんわ」
担任 山田「そ、そうなのね・・・・・・」
藤堂カオル「いや、山田も説得されてるんじゃねえよ!!」
藤堂カオル「大体この学校にそんな格好(ナリ)してくるなんて舐めてんのか」
神宮寺セリナ「あら、服装の規定には反していないつもりですわよ?」

〇大きな木のある校舎
  確かにこの学校、私立鳳(おおとり)学園に明確な制服の規定はない。学生らしい服装であること、という一文があるのみだ。

〇教室
藤堂カオル「はっ、そんなルールなんて知ったことかよ。アタシが気に入らねえって言ってるんだ」
藤堂カオル「ドレスみてえな服を着て、お嬢様のつもりか!?」
神宮寺セリナ「ええ、わたくしはお嬢様(レディ)ですことよ」
神宮寺セリナ「ただし、お金はありませんが」
藤堂カオル「はぁ? どういうことだ?」
神宮寺セリナ「わたくしの家はとてつもなく『お貧乏』なのです」
神宮寺セリナ「ですからこの服もわたくしが自分で作ったものなのですわ」
藤堂カオル「てめえ、金持ちじゃねえのかよ。お嬢様なのにか?」
神宮寺セリナ「持っているお金が多いからといって、お嬢様(レディ)というわけではありません」
神宮寺セリナ「それでしたらアラブの石油王だってお嬢様ということになります」
藤堂カオル「わっかんねえなぁ。じゃあ一体なにがお嬢様ってことになるんだよ」
神宮寺セリナ「よくぞ聞いてくださいました」
神宮寺セリナ「お嬢様(レディ)とは!!」
神宮寺セリナ「『生き様』なのですわ!!!!」
担任 山田「そ、そうなの・・・・・・?」
神宮寺セリナ「そうですわ。少なくとも、わたくしがお嬢様(レディ)の目標としている『あのお方』は、そのように仰っておりましたわ」

〇レトロ
謎のお嬢様(レディ)「セリナ、よく覚えておきなさい」
謎のお嬢様(レディ)「お嬢様(レディ)とは『生き様』のことなのよ」
謎のお嬢様(レディ)「それは何よりも高潔な生き方なのです」
謎のお嬢様(レディ)「いま、あなたはお貧乏でとてもつらい境遇に置かれています」
謎のお嬢様(レディ)「ですが、お嬢様(レディ)を目指して努力を続けていれば、いつか羽ばたいて、世界を手に入れることだって出来るようになりますわ」
謎のお嬢様(レディ)「それまで頑張るのよ、セリナ────」

〇教室
神宮寺セリナ「わたくしはそれ以来、この理不尽な世界を変えるため、立派なお嬢様(レディ)となるべく日々精進を重ねているのです」
藤堂カオル「────生き様、生き様だと!」
藤堂カオル「それならアタシの女番長(スケバン)としての生き様だって舐めてもらっちゃ困るぜ!!」
神宮寺セリナ「それは──わたくしに対する、いえ、『お嬢様(レディ)』に対する宣戦布告と受け取ってもよろしくて!?」
藤堂カオル「おう。アタシの生き様(スケバン)とお前の生き様(レディ)、どっちが勝つか勝負といこうじゃねえか」
藤堂カオル「アタシが勝ったらお前はアタシの舎弟になってもらうぜ!」
神宮寺セリナ「いいでしょう。ではわたくしが勝ったらあなたはわたくしの執事(バトラー)になっていただきますわ」
藤堂カオル「おし、決まりだな!!」

〇学校の体育館
  勝負の場となった体育館にはいつの間にか野次馬が現れ、二人の勝負の行方を面白そうに眺めている
担任 山田「なんで私が審判に・・・・・・」
藤堂カオル「公平な判断を頼むぜ、山田ちゃん」
神宮寺セリナ「わたくしもいつでも行けますわよ」
藤堂カオル「勝負は簡単だ」
藤堂カオル「どんな手を使ってもいい」
藤堂カオル「お互いの持っているこのバットを相手に当てれば勝ち」
藤堂カオル「単純で分かりやすいだろ?」
神宮寺セリナ「承知いたしましたわ」
担任 山田「両者よろしいですか?」
担任 山田「それでは・・・・・・始め!!」
藤堂カオル「おい、お前ら!! やっちまえ!!」
神宮寺セリナ「!?」
  カオルの合図と共に野次馬の中から二人の不良が飛び出してきた
「ヒャッハー!!」
神宮寺セリナ「何をするんですの!?」
  二人はセリナに飛びかかると両脇を抱えて動けなくさせる
藤堂カオル「悪いな、なんでもありってことで舎弟を使わせてもらったぜ」
藤堂カオル「これで終わりだ」
藤堂カオル「おらぁっ!!」
藤堂カオル「なんだとっ!?」
  驚くカオル
  それもそのはず、カオルのバットを受け止めたのは、セリナを羽交い締めにしていたはずのカオルの舎弟だったからだ
  続く!!

次のエピソード:藤堂カオルの矜持(プライド)

コメント

  • 途中でタイトルを思い出しこれ……執事って……この子か……?!ってなってまさかスケバンを執事にするスタイル(?)なのかと驚き先が気になりました。
    レディとは生き様という話も面白いですしスムーズにスケバンとレディ対決に流れ込んだあたりが好きです

  • セリナちゃんの言う通り、レディって生き様なんですよね。
    他人のいるところだけで取り繕っても、それはレディではないのです。
    高級品に囲まれてるだけではレディではないのです。
    セリナちゃんかっこいいです!

  • セリナちゃんのキャラクターが魅力的でした!今後の展開がすごく楽しみです!!

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ