大学生から始める交換日記

びわ子

二人の思い出(脚本)

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〇おしゃれな大学
  経済学研究科へどうぞ!
  テニスサークルへどうぞ!
波風 晴人(コレがサークル勧誘!)
小野寺 野々果「こんにちは!」
波風 晴人「えっ!?」
波風 晴人(勧誘!?)
波風 晴人(どうしよう)
小野寺 野々果「料理サークルです!大学4年間分の 簡単にできるレシピ教えます♪」
波風 晴人(俺、自炊には自信ないしな)
波風 晴人(行って決めてみるか)
  こうして俺は流されるように
  料理サークルへ入部する事になった

〇居酒屋の座敷席
小野寺 野々果「では歓迎会を始めます!!」
小野寺 野々果「今日のお料理は 全てサークルの先輩が作ったものです!」
小野寺 野々果「美味しくいただきながら」
小野寺 野々果「先ずは隣の人から 交流を深めてくださいね〜♪」
小野寺 野々果「では!皆んなで手を合わせ」
小野寺 野々果「いただきます!」

〇居酒屋の座敷席
「美味しい!」
「え!?」
波風 晴人「こ、こんにちは!」
西日 陽子「こんにちは」
波風 晴人(何話せばいいんだ・・・)
「・・・」
波風 晴人「えー、俺」
波風 晴人「波風晴人っていいます」
西日 陽子「わ、私は西日陽子といいます」
「・・・」
波風 晴人(話が続かない・・・)
西日 陽子「波風さんは関東の方ですか?」
波風 晴人「い、いえ○✖️県春夏村って所からって 知らないですよね・・・」
西日 陽子「え!」
波風 晴人「え!?」
西日 陽子「私!○✖️県秋冬村出身なんです!」
波風 晴人「えー!」
「・・・」
波風 晴人「すごい偶然・・・」
西日 陽子「まさか同郷の人だなんて!」

〇大学の広場
小野寺 野々果「2次会に行く人ついて来てねー♪」
「・・・」
波風 晴人「西日さん!」
西日 陽子「は、はい!」
波風 晴人「俺、この街に」
波風 晴人「知り合いがいなくて」
波風 晴人「その・・・ 友達になって下さい!」
西日 陽子「は、はい! 私も同じなので」
西日 陽子「ぜひ!」
西日 陽子「あの・・・」
西日 陽子「私、友達になった人と」
西日 陽子「”交換日記”するのが 当たり前になっているんですが」
西日 陽子「これって私の周りだけでしょうか・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「えーっと」
波風 晴人「俺、字がむっちゃ汚いけどいい?」
西日 陽子「はい!かまいません!」
  そして俺は
  ”交換日記”を始めることになった

〇木造の一人部屋
  西日さんから来たノートには
  昨日起こった出来事や
  他愛無い話が書かれていた

〇桜並木
西日 陽子(わぁー! 桜がとても綺麗)
西日 陽子「きゃ!」
西日 陽子「ビックリしたー」
  桜道を散歩中
  フードの中に花びらが
  溜まっているのを知らず
  洗濯機にいれて大変だった話

〇家庭科室
小野寺 野々果「レンジに♪」
小野寺 野々果「卵入れて♪」
小野寺 野々果「スイッチオン♪」
小野寺 野々果「ひぇー!」
  昔、小野寺先輩がサークル入部1ヶ月目に
  ゆでたまごを作ろうと
  電子レンジに入れて爆発させた話

〇木造の一人部屋
  ”交換日記”を手渡す度に
  俺は西日さんに友達以上の
  気持ちが芽生えてきていた
波風 晴人(もうすぐ花火大会か)
波風 晴人(誘ってみるか?)
波風 晴人(でも、断られたらヘコむしなぁ)
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「えぇーい! 俺らしくない!」
波風 晴人「当たって砕けろだ!」
  2週間後にある花火大会
  時間合うなら観に行きませんか?
波風 晴人「送信っと」
波風 晴人「やっちゃった」
波風 晴人「きた!」
  お誘いありがとうございます
  実は急にバイトのシフトが
  決まってしまって
  すいません
波風 晴人「・・・」
  ごめんね急に話し持ちかけて
  また今度!
波風 晴人「はぁ・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「俺もバイト入れよ・・・」

〇お祭り会場
波風 晴人(バイト疲れた・・・)
波風 晴人(花火か・・・)
波風 晴人「・・・」
  おーい!晴人くーん!!
波風 晴人「小野寺先輩!?」
小野寺 野々果「1人?」
波風 晴人「今バイトの帰りで 先輩は誰かと?」
小野寺 野々果「彼氏と来たけど はぐれちゃってね・・・」
小野寺 野々果「ごめん、髪束ねたいから ちょっと荷物持ってくれない?」
波風 晴人「いいですよ」
  先輩の頸が色っぽく
  俺は後ろを向いた
  その時──

〇花火
西日 陽子「波風くん・・・」
波風 晴人「に、西日さん!?」
西日 陽子「彼女いたんだ・・・」
波風 晴人「え!?」
波風 晴人「違う!違う!」
小野寺 野々果「陽子ちゃーん!」
西日 陽子「え!小野寺先輩!?」
北条寺 義満「野々果! 花火終わるぞ! こっち!」
小野寺 野々果「義満!!」
小野寺 野々果「ごめんね彼氏見つかったから行くねー」
小野寺 野々果「陽子ちゃん 晴人君1人にしてたら 私がとっちゃうわよー」
西日 陽子「ダメです」
波風 晴人「えっ・・・」
小野寺 野々果「冗談!冗談よー! 2人ともまた学校でね♪」

〇神社の石段
西日 陽子「勘違いしちゃってすいません」
波風 晴人「気にしてないよ」
西日 陽子「・・・」
波風 晴人(だめだ空気がたえられねぇ!)
波風 晴人「西日さん、まだ屋台空いてるし」
波風 晴人「一緒に買いに行こう!」
西日 陽子「はい!喜んで!」

〇木造の一人部屋
波風 晴人「あー!俺の意気地無し!」
波風 晴人(先輩に揶揄われた時)
波風 晴人(『ダメです』っていったよな)
波風 晴人(好きだからダメって事!?)
波風 晴人「あー!わからねー!」
波風 晴人(次チャンスあんのか)
波風 晴人(次のイベントは)
波風 晴人(クリスマス・・・)
波風 晴人「それまでには告白するぞ!」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「できるかなぁ・・・」

〇大学の広場
西日 陽子「あっ!波風君!!」
西日 陽子「はいノート!」
波風 晴人「サンキュー!」
波風 晴人「帰りに美味しい 店見つけたんだけど 行ってみない?」
西日 陽子「うん!!」
  あの夏の日から
  2人の仲が変わったように
  ”交換日記”も変化して
  彼女はイラストを描いたり
  飛び出す絵本のような工夫を
  こらしたりする様になっていった
  今の関係は秋風の様に心地よくて
  でもこのままでいられなくて
  時間だけが流れ
  クリスマスに近づいていった

〇イルミネーションのある通り
波風 晴人「もうすぐクリスマスだね」
西日 陽子「うん」
西日 陽子「そうだ先に渡しとくね」
西日 陽子「もう一冊終わっちゃうんだよ」
波風 晴人「だね」
波風 晴人(ここで言わなきゃ)
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「西日さん・・・」
西日 陽子「はい・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人(頑張れ!)
波風 晴人(頑張れ俺!)
西日 陽子「・・・」
波風 晴人「俺、西日さんが」
波風 晴人「好きです!!」
西日 陽子「・・・」
西日 陽子「・・・」
西日 陽子「波風君」
西日 陽子「・・・」
西日 陽子「さっきのノートに」
西日 陽子「私の気持ちが書いてあります」
西日 陽子「持って帰って読んでください・・・」
波風 晴人「え・・・」
波風 晴人「うん・・・」

〇木造の一人部屋
波風 晴人(あの場で言わず)
波風 晴人(持って帰ってて読んでって)
波風 晴人「どういう事?」
  震える手で
  最後のページをめくる
  そこには『 』だけが書かれ
  文字は何も書かれていなかった
波風 晴人「!?」
波風 晴人「は、白紙・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「つまり なんとも思ってないってことか・・・」
波風 晴人「ははっ!」
波風 晴人「ははははは」
波風 晴人「はは・・・」
波風 晴人「マジかよ・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「・・・」
波風 晴人「ん!?」
波風 晴人「なんだ!?」
波風 晴人「よく見ると『 』の中がへこんでる!」
波風 晴人「ま!?まさか!」
  鉛筆を寝かせて『 』の中を擦ると
  文字が浮かび上がってきた
  そこには一言
  『大好きです』と
波風 晴人「はは!」
波風 晴人「ははははは!」
波風 晴人「西日さんたら・・・」
波風 晴人「・・・」
  俺は彼女に電話をして
  駅に向かって走りだす
  新しいノートを持って──

コメント

  • 尊すぎる…😭
    びわ子様の作品ってどれも「気恥ずかしさ」や「戸惑い」や「躊躇い」といった感情を本当に丁寧に優しく描写してくださるので、すぐに心掴まれて感情移入してしまいます💕
    この芽生えた恋心を大事に温かく育んでいく展開には心震えました🥰 読後、気付かぬうちに目に涙を蓄えてしまっていました🥲シアワセ

  • 交換日記、とても懐かしい響きです。私達はどんどん文字を書かない生活になってきてしまったなあと自身でも反省しています。メールやlineメッセージでは伝わらないものって必ずありますよね。話すことより、書くことで伝わる想いを信じています。

  • 交換日記いいですよね。
    色々と書いてるうちに相手のことを知ってきて、いつまにか好きになってしまうのもありますよね。
    甘酸っぱい二人の恋がキュンとさせてくれました!

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