ビックバンラブ

石嶋ユウ

第一話 ファーストコンタクト(脚本)

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石嶋ユウ

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〇渋谷駅前
  大通りに光が一つ落ちてきた。
  地面まで残り一メートルというところで、これは生き物だと直感が告げた。

〇渋谷駅前
  光の中から女性が一人現れた。彼女は目を閉じている。
  大通りの真ん中。大勢が僕と彼女のことを見ている。
  彼女が目を開くとその瞬間、この場にいた僕以外の全員が倒れ込んだ。彼女の目はどこか遠いところに向けられている。

〇渋谷駅前
ヒメ「オウジ。あなたをずっと探していました。さあ、帰りましょう。私たちの故郷へ」
セナ「オウジ・・・・・・。 僕はそんな名前じゃない。僕は向井セナだ。あなたは一体誰で何者なの?」
ヒメ「そんな・・・・・・ あなたがオウジではないのですね。オウジはあなたの顔をコピーしたと聞いていたのですが・・・・・・」
セナ「僕の顔をコピー?」
ヒメ「彼はこの星の暦で一年前からあなたの顔をして生活していると聞いています」
セナ「一年も前から! 僕と同じ顔した人がどこかにいるってこと・・・・・・ えぇ・・・・・・」
ヒメ「普通は自分と同じ顔をした人がいたら嫌ですよね・・・・・・」
セナ「あの・・・・・・、 とりあえず話を聞きたいので、場所を移しませんか? ここだと、なんか落ち着かないので・・・・・・」
ヒメ「そ、そうですね! じゃあ、右の方に見えるカフェで話しませんか?」
セナ「そうしましょう」
  すると彼女は指を鳴らした。倒れていた人々はたちまち起き上がり元の日常へと戻っていった。
  僕らは近くのカフェへと入った。お互い飲み物を注文して空いていたテーブル席へと座った。

〇テーブル席
ヒメ「改めまして、私はヒメといいます。遠い遠い星からやってきました。よろしくお願いします」
セナ「よろしく」
ヒメ「私は幼馴染のオウジを探しています」
セナ「なんで、そのオウジって人を探しているの? そもそも人なの?」
ヒメ「私たちはあくまで人の姿をコピーしているに過ぎません。今の私もどこかの誰かの姿をコピーしたものです」
ヒメ「オウジは地球暦でいうところの一年前に私たちの元から突然姿を消しました。理由はわかりません」
ヒメ「ただ、彼がこの星にいるという情報が仲間からあったのです。それを頼りに幼馴染である私が彼を探しに来たということです」
  彼女は一枚の写真を取り出した。そこには僕の顔をした男が大通りを歩いている様子が写っていた。
セナ「なんか不思議な気分。僕は普段こんな格好をしないから・・・・・・」
  写真に写っているオウジという男はアロハシャツを着ていた。僕はアロハシャツを持っていない。まるでドッペルゲンガーだ。
ヒメ「しかし、どうしましょう・・・・・・ 星のみんなには彼を連れて帰ると言ってしまったので、これじゃあ帰れないです・・・・・・」
  彼女は悲しそうだった。僕はこの人を助けなかったらきっと後悔すると思った。だから、決意をした。
セナ「あの、もしよければ彼が見つかるまでは僕と行動を共にしませんか?」
ヒメ「と、言いますと」

〇テーブル席
セナ「この写真、多分僕の家から近い場所なんですよ。だから、もしかするとオウジって人はこの近くで暮らしているんじゃないかな」
セナ「この近辺のことなら僕は詳しいので、僕に手伝えることはあると思うんです・・・・・・」
  そう言ったものも本当に見つかるか確証はない。僕はただ、彼女を一人にするわけにはいかないと強く思っただけだった。
ヒメ「わかりました! 実は一人で来たからとても不安だったんです。ありがとうございます!」
セナ「よかった! じゃあ、改めてよろしくね」
ヒメ「よろしくお願いします!」
  これが僕と彼女のファーストコンタクトだった。そして、この事が宇宙全体を巻き込んだ大事になるなんて・・・・・・

コメント

  • あまりにも壮大な世界観での恋愛モノ、何だかワクワクしてきます!今後の展開が全く想像できなく、次話が楽しみになってきます。

  • 自分の顔がコピーされてるって、知ってしまったら「え!?」ってなりますよね。
    でも面倒見が良さそうな彼ですから、彼女もしばらくは落ち着いた生活ができそうですね。

  • 「光が一つ落ちてきて,それが生き物だと察した」ところから既にビックバンラブが始まっていたのですね!?恋心もそうですが,宇宙人でも困っていたら助ける思いやりの精神等,考えさせられました。

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