君の呼び方

るっちー

読切(脚本)

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〇住宅街の道
  ──朝
音海 ちえ「・・・おはよう!!ひろくん! ちょっと遅くなっちゃってごめんね。」
林 真尋「おはよう、ちぃ。全然待ってないから気にしなくて大丈夫だよ。じゃあ学校行こうぜ。」
音海 ちえ「・・うん!!」
音海 ちえ(私の名前はちえ。高校2年生だ。一緒に登校してるこの子は真尋。私の幼馴染みだ。そして私は真尋に恋をしてる。)

〇教室
  ──そうして学校に着き、私と真尋はそれぞれの席に着いた。
  私は席に着いた真尋をちらっと見た。彼が席に着くと彼といつも一緒にいる男子や、カースト上位にいる女子が話しかけていた。
音海 ちえ((ひろくん身長伸びてカッコよくなってますます人気になってるな。もうカースト上位の仲間入りしてるし、それに比べて私は、))
宇津木 凛「・・・おはよ〜って、お〜い、ちえ〜?林くんのことじっと見てどうした~?」
音海 ちえ「・・・えっ!?ってなんだ、凛ちゃんか。何でもないよ。おはよう凛ちゃん。」
  彼女は宇津木凛ちゃん。小学生の頃からの友達だ。凛ちゃんは、私が真尋が好きというのを知っているので、よく相談してるのだ。
宇津木 凛「何でもなくないでしょ〜?そんなに林くんのことが好きなら早く告白しちゃえばいいのに。」
音海 ちえ「それが出来ればこんなに悩んでないよ・・・。」

〇教室
  クラスに着き、俺とちえがそれぞれの席に座ったあと友人達が話しかけてきた。
合田 莉咲「おはよ〜真尋。」
村上 和樹「おはよう、真尋。」
林 真尋「ああ、二人ともおはよう。」
合田 莉咲「ところで、真尋はまだ”あの子”に告白してないの?」
村上 和樹「あ〜、それ俺も気になってたわ。」
林 真尋「なっ・・・!!そんなこと二人が気にしなくていいだろ!!」
合田 莉咲「その反応だとまだ告白してないわね・・・。」
  この二人が言っている”あの子”というのは、ちえのことだ。
合田 莉咲「・・・そうだ!!こういうのはどうかしら?」
  莉咲が言った作戦はこうだ。
合田 莉咲「私と真尋が付き合ってるような素振りをしてあの子に見せるのよ。そうすればあの子も少しは動くでしょ。」
村上 和樹「荒療治な気もすっけどまあ良いんじゃないか?」
林 真尋「嘘だろ!?」
合田 莉咲「本当よ。今日から作戦開始するからね!!分かった!?」
村上 和樹「あ~あ、莉咲のやつ変なスイッチ入っちまったな。 まあ、頑張れ真尋。」
林 真尋「お前他人事だと思いやがって!! はぁ・・・しょうがねぇな・・・。 分かったよ。」
合田 莉咲「あっ、先生きたから私達は戻るわね。 じゃ、また後で。」

〇教室
  ──数日後、学校。
音海 ちえ「ねぇ、凛ちゃん。最近、合田さんと真尋の距離近くない?もしかして付き合ってたりするのかな?」
宇津木 凛「合田さんと林くん付き合ってるんじゃないか、っていう噂もあるしね〜。」
音海 ちえ「はぁ・・・。それに合田さん最近真尋のこと”ひろくん”って呼んでるし・・・。もし付き合ってるとしたら嫌だなあ・・・。」
宇津木 凛「もしかして、ちえ合田さんに嫉妬してる?」
音海 ちえ「・・・そうかもしれない。恋ってこんなに辛いものなんだね。」
宇津木 凛「でもまだ付き合ってるか分からないじゃん!!だから、林くんに聞いておいで。そしたら本当のこと言ってくれると思うよ!」
音海 ちえ「・・・本当のこと?」
宇津木 凛「うん。だから行って来な。」
音海 ちえ「分かった。ありがとう凛ちゃん。」
宇津木 凛((まったく、二人とも自分の恋心には気づいてるのに、相手から好意を寄せられてることに気づかないのか、本当鈍感なんだから))
  凛ちゃんと別れた後ひろくんが一人になったところを見計らい、私は声を掛けた。
音海 ちえ「ひろくん、今ちょっといいかな?」
林 真尋「ちぃか。どうかしたか?」
音海 ちえ「えっと・・・、ひろくんは合田さんと付き合ってるの?」
林 真尋「ああ、そのことか。 ちぃ、放課後屋上に来てくれるか? そこで話したいことがあるんだ。」
音海 ちえ「・・・分かった。じゃあまた放課後に。」

〇高い屋上
  放課後になり、私は屋上に来た。
  屋上のドアを開けるともう真尋が来ていた。
音海 ちえ「待たせちゃってごめんね。ひろくん。」
林 真尋「いや、俺もさっき来たばかりだから大丈夫だ。」
音海 ちえ「・・・それで話って何?」
林 真尋「・・・ああ、その話なんだけど、ちょっと心の準備をさせてくれ。」
音海 ちえ「・・・?」
林 真尋「・・・ふー、よしっ!!心の準備が出来たから言うよ。」
林 真尋「ちえ、俺はお前のことが好きだ。 付き合ってください。」
音海 ちえ「・・・あ、えっ。」
林 真尋「ごめん!!そんなに嫌だった!? ちぃ、泣き止んでくれ〜!!」
音海 ちえ「ううん。違うの。まさか告白されるとは思ってなくて、嬉しくてっ・・・。」
音海 ちえ「・・・こんな私で良ければ、よろしくおねがいします。」
林 真尋「・・・ああ!!よろしくな!!」

〇教室
  翌日私達が教室に入ると凛ちゃんや合田さんからおめでとう〜!!と声を掛けられた。
宇津木 凛「おめでとう!!ちえ!!やっとだね!!」
合田 莉咲「そうよ!!二人ともお互い好きっていうのバレバレなのに本人達は全然気づいてないんだもの!!でも、ようやく付き合えたのね。」
  どうやら二人は昨日こっそりと屋上まで来て私達を見守っていたらしい。
  それを知ったときはびっくりしたけど、祝ってくれて嬉しかった。
音海 ちえ「これからもよろしくね、ひろくん。」
林 真尋「こちらこそよろしくな、ちえ。」
  ──fin.

コメント

  • 当の本人たちは全く気づかないですが、周りが気づいてるパターンってありますよね!
    でも青春をすごく感じてにやにやしながら、まるでそこにいるように感じました!

  • 途中、付き合っているフリをする提案をした女の子がこじらせちゃうんじゃないかと余計な心配をしましたが、登場人物全員が優しい友達想いな子たちで、気持ちよくお話が展開し、幸せな気持ちで読み終わりました。

  • 2人の会話のやり取りがとっても可愛らしかったです。さりげなく、呼び方を変えてる、、、素直な感じが心に残り楽しいストーリーでした。

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