涙のあとには

ななミロ

呪いを解く女の子(脚本)

涙のあとには

ななミロ

今すぐ読む

涙のあとには
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇公園のベンチ
女性「─だから、別れてほしい」
杉原 優「うん、分かった」
女性「バイバイ」
杉原 優「──・・」
杉原 優「また呪いの言葉か・・・」
杉原 優「ん?」
杉原 優「わっ」
杉原 優「涙とか」
杉原 優「かっこわる・・」
杉原 優(ボール?)
  ──ザッ・・・
上田 美貴「ボールー」
上田 美貴「!?」
杉原 優「・・・」
杉原 優(ヤバッ。泣いてるの見られた)
上田 美貴「っ!」
上田 美貴「・・・」
杉原 優「逃げられちゃった」
杉原 優(この辺の子かな?)
杉原 優「もう会わないだろうけど」
杉原 優「泣いてる所見られるとは──」
杉原 優「ってさっきから独り言多いな俺」
杉原 優「よしっ!帰るか・・・」

〇コンビニのレジ
杉原 優(アイスでも買って帰ろ──)
杉原 優「え?」
上田 美貴「あっ・・・」
杉原 優「さっき公園で会ったよね?」
上田 美貴「うん・・・」
杉原 優「変なとこ見せちゃってごめんね?」
上田 美貴「お兄さん元気になった?」
杉原 優「んー・・さっきよりは?」
杉原 優「それ、夕飯?」
上田 美貴「うん!パパとママが仕事で遅いからさ!」
杉原 優「そっか。小さいのに偉いね?」
上田 美貴「身長は小さいけど、私もう小学6年生だから!」
上田 美貴「12歳だよ?」
杉原 優「あっ、そうなの?」
杉原 優(5歳下か)
杉原 優「ごめんね?」
上田 美貴「すぐ謝ったから許してあげる!」
杉原 優「ありがとう」

〇川に架かる橋
  ──・・・
上田 美貴「えっ!じゃあ彼女と別れて泣いてたの?」
杉原 優「そう、情けない話だけど」
杉原 優「俺いつも顔だけって言われちゃうんだよねぇ・・・」
上田 美貴「カオダケ?」
杉原 優「顔だけはいいのに!って」
杉原 優「俺の中じゃ呪いの言葉だよ・・・」
  ジーーーッ
杉原 優「ん?」
上田 美貴「大丈夫!」
杉原 優「え?」
上田 美貴「顔がいいか私にはよく分からないよっ!」
杉原 優「ははっ そっかそっか」
上田 美貴「友達はあの人かっこいい〜とか好きな人が〜!とか言うけどさ、私まだよく分からないんだよね」
上田 美貴「ところで──」
上田 美貴「帰り道ずっと一緒だね?」
杉原 優「確かに。俺たちの家、案外近いのかな?」

〇マンションのエントランス
杉原 優「じゃあ、俺ここだから!」
上田 美貴「お兄さんって──」
上田 美貴「同じマンションの人だったんだ!」
杉原 優「え!?」
杉原 優「んー・・・」
上田 美貴「どうしたの?」
杉原 優「カップラーメン・・・」
上田 美貴「カップラーメン?」
杉原 優「カップラーメンかぁ」
杉原 優「よし!決めた!」
杉原 優「俺の家おいで?一緒に夕飯食べよう!」
上田 美貴「え!?いやいや悪いよ!」
杉原 優「大丈夫!俺の母親料理上手だから!」
杉原 優「いこっ!」
杉原 優「ちゃんと食べなきゃ身長も伸びません!」
上田 美貴「急に身長のこと言わないで!」
杉原 優「ははっ」

〇高層マンションの一室
  ─1ヶ月後─
上田 美貴「いただきまーす!」
杉原 優「・・・」
上田 美貴「な、何?」
杉原 優「あれからもう1ヶ月もたつのかぁって思ってさ」
上田 美貴「あぁ!優ちゃんが泣いて」
  もごっ──
杉原 優「おーっと?それは言ったらだめでーす!」
上田 美貴「ふぁーい・・・」
杉原 優「まぁ、俺的には母さんと美貴が知り合いだったのが一番の衝撃だったけど」
杉原 優「『上田さんちの美貴ちゃんじゃな〜い!!』とか、そんなの漫画の世界だけだと思ってた」
上田 美貴「おばちゃんとママ仲良しだからね!休みの日に皆でお茶したりしてたもん♪」
上田 美貴「私もまさか」
上田 美貴「『うちの息子、顔はそこそこ。優しいだけが取り柄なのよねぇ─』」
上田 美貴「って話してた息子さんが優ちゃんの事だったとは思わなかったよ♪」
杉原 優「え!母さん俺のことそんな風に!?」
杉原 優「しかも顔はそこそこ・・・」
上田 美貴「そこそこで良かったね?顔だけじゃなくなるよ!?」
杉原 優「確かにね」
  ピロン♪
杉原 優「・・・」
上田 美貴「どうしたの?」
杉原 優「う〜ん。元カノが明日あの公園で待ってるって・・・話がしたいってきた」
上田 美貴「ふ〜ん?」
杉原 優「いまさら何を話すっていうんだろうね」
上田 美貴「・・・行けば?」
杉原 優「え?」
上田 美貴「離れて優ちゃんの良さに気づいたのかもしれないよ?」
杉原 優「そうかなぁ?」
上田 美貴「ってゆーか!待ってるって言ってる人ほったらかしはだめだよ?」
杉原 優「それもそうか・・・」
杉原 優「美貴は背が低いのに俺よりしっかりしてるね?」
上田 美貴「身長は関係ないっ!」
杉原 優「ごめんごめん」

〇公園のベンチ
  ─翌日─
鈴本 綾「優く〜ん」
杉原 優「久しぶり」
鈴本 綾「話だけど」
鈴本 綾「単刀直入に言うね?」
鈴本 綾「私達より戻さない?」
杉原 優「へ?」
鈴本 綾「あれから他の男の子と遊んだりもしてみたけど・・・」
鈴本 綾「やっぱり私優くんの顔が一番好きなの!」
鈴本 綾「ね?だから・・・」
鈴本 綾「優くんもう私のこと嫌い?」
杉原 優「あっ」
  ──ザッ・・
上田 美貴「・・・」
鈴本 綾「どこの子かな?あっ、ボール?」
上田 美貴「優ちゃんごめん」
上田 美貴「行けばとか言わなきゃよかった」
鈴本 綾「あ!優くんの知り合いの子〜?」
上田 美貴「──・・・」
上田 美貴「あの!」
上田 美貴「優ちゃんの事傷つけないでもらっていいですか?」
鈴本 綾「え?」
上田 美貴「優ちゃん顔だけじゃないから!」
上田 美貴「優ちゃんは優しいし、面白いし・・・ そもそも顔だって別にそこそこだし!」
杉原 優「美貴?」
上田 美貴「とにかく、優ちゃんの事顔だけと思ってる人に優ちゃんは勿体ないです!」
鈴本 綾「え〜?もしかして優くんの事好きなのかなぁ?」
鈴本 綾「ふふっ もう少し大きくなったらおいでぇ?」
上田 美貴「・・・」
上田 美貴「本当はこんな事言いたくないけど」
上田 美貴「人のこと顔でしか判断できないバカ女!」
鈴本 綾「は?」
上田 美貴「これ以上優ちゃんに嫌な思いさせないで」
鈴本 綾「何この子っ」
  バッ──
  パチーン
杉原 優「いったー・・・」
鈴本 綾「あっ」
杉原 優「俺、自分より弱い立場の子に手あげる人嫌い」
杉原 優「よりも戻さない」
杉原 優「もう二度と俺たちの前に現れるな」
鈴本 綾「な、何よ・・・」
鈴本 綾「このロリコン!!」
杉原 優「美貴!大丈夫?けがない?」
上田 美貴「う、うん。 優ちゃんの方がほっぺ・・・」
杉原 優「はぁ〜」
杉原 優「俺のために無茶しないでよ・・・」
杉原 優「ん?」
上田 美貴「・・・」
杉原 優「何?その顔?」
上田 美貴(・・・)

〇川に架かる橋
杉原 優「美貴〜?まだそんな顔してんの?」
上田 美貴「優ちゃん!」
杉原 優「は、はい?」
上田 美貴「私決めた!優ちゃんのお嫁さんになってあげる!」
杉原 優「え!?」
上田 美貴「優ちゃん変な女の人につかまるもん!」
上田 美貴「私が優ちゃんを守ってあげる!」
杉原 優「いや、でも美貴俺のこと好きじゃないよね?」
上田 美貴「好きだよ?」
杉原 優「いつから!?」
上田 美貴「さっき!」
杉原 優「だからさっきから変な顔してたのか!」
上田 美貴「変じゃない!」
杉原 優「ははっ 気長に待ってまーす」

〇お嬢様学校
  ─数年後─
杉原 優「美貴!」
上田 美貴「優ちゃん!」
杉原 優「高校卒業おめでとう!」
上田 美貴「わぉ!」
上田 美貴「どうどう?高校卒業したよ?」
上田 美貴「もう立派なレディでしょ?」
上田 美貴「そろそろ私のこと好きになってもいいんだよ〜?」
杉原 優「ん?もう好きだよ?」
上田 美貴「へ!?」
杉原 優「もうとっくに好きだよ。美貴」
上田 美貴「本当?」
杉原 優「本当」
杉原 優「ずっと待ってた」
杉原 優「はいっ」
上田 美貴「わぁ」
上田 美貴「今日の優ちゃん・・・イケメンみたいだね?」
杉原 優「─・・」
杉原 優「”そこそこ”にね?」

コメント

  • 相手が子供だとしてもしっかり相手にして、女性として扱える紳士なんだなぁと感じました。
    そしてずっと待ってくれるあたりもキュンとします!

  • 優が美貴ちゃんを守れたのは、彼女の純粋な気持ちが共に過ごすうちに優に移ったからじゃないかなぁ。弱きを守れる優くん、名前の通りに優しく強くなったのですね。
    ラストの告白シーンもキュンキュンしましたー!これから先も二人には幸せな未来を歩いてほしいなと思いました✨

  • 優君、素敵すぎる〜!!始終ドキドキしてました!!

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ