読切(脚本)
〇女の子の一人部屋
朝。
身支度をしていると、玄関のチャイムがなった。
「はーい!」
髪をセットしている途中、慌ててドアを開けると、宅急便のお兄さんがいた。
宅急便「お荷物です」
気のいい笑顔に、思わずつられた。
セット途中の髪を思い出して、少し恥ずかしくなった。
「ありがとうございます」
荷物を受け取り、ドアを閉める。
待ちに待った品に、心が躍る。
「かわいい〜!それに、おしゃれ!」
待ちに待った指輪は、シンプルだけど可愛らしいものだった。
大学生になって、アクセサリーを頻繁につけるようになった。
それでも指輪を渋っていたのは、サイズ感が掴めなかったからだった。
だけどこの前の日曜に、友達と行ったアクセサリーショップで、サイズを測ってもらった。
どの指にはめるかで、意味があるらしいことも、その時に知った。
アクセサリーの意味深さに感嘆したのが、指輪をつける決意に繋がったのだ。
「なんか、緊張する・・・・・・」
左手の人差し指に、指輪をはめる。
内気な自分を変えたくて、積極性が欲しかった。
「あれ?」
「は、入らない・・・・・・!!」
指輪は、第一関節で止まってしまった。
「ウソ!? サイズ間違えちゃった?」
納品書を見て、確かめる。
見に覚えのない数字に、愕然とした。
「何してるんだろう、私・・・・・・」
サイズを間違った指輪を、数秒眺める。
その魅力に、体がうずいた。
「仕方ない、他の指にはめよう」
仕方なく、ハマる指を探す。
「マジか・・・・・・」
ハマった指は、左手の薬指。特別な指。
「どうしよう・・・」
少し考え込む。
「まぁ、誰も気にしないか・・・・・・」
しょぼくれながら、指輪をして登校した。
〇大学の広場
ゆき「何? 結婚!?」
「違うよ! サイズ間違えたの!」
ゆき「だから、あれほど気をつけなって言ったのに」
友達は、やっぱり楽しそうにからかってきた。
だけど、こんなミスに気づいたのは、やっぱり、ゆきだけだった。
〇エレベーターの中
友達と別れて、1人、次の講義室に向かう。
誰かが走ってくるのが見えて、開くボタンを押して待った。
息を切らせながらやってきてのは、同じ講義を受けている隼人くんだった。
いわゆる人気者グループの1人で、その中でも、すれ違いざまに挨拶をしてくれる、気のいい人だ。
だからか、悪い噂一つ聞かないし、ゆきとも彼だけは親しみやすいと話していた。
「どうぞ」
声をかけると、彼は服で汗を拭いながら、入ってきた。
隼人「ありがとう」
返ってきた笑顔に、私はお辞儀を返した。
すると、彼はなにか驚いた様子で、横を通り過ぎた。
(・・・・・・? どうしたんだろう?)
閉めるボタンを押すと、なぜか重たい沈黙が流れた。
隼人「それ」
「はい?」
振り向くと、なぜか彼はふくれっ面だった。
隼人「それ、彼氏から?」
何を言っているのか分からなくて、首を傾げる。
隼人「・・・・・・指輪」
隼人「彼氏からのプレゼント?」
「え?」
指輪を見る
「ち、違いますっ!」
照れ笑いする
「通販で買って、サイズ間違えちゃったんです」
まるで業務連絡のような説明に、恥ずかしさが増した。
隼人「そっか」
扉が開く
隼人「良かった。ちょっと焦った」
「え?」
隼人「じゃあ、またね」
突然の笑顔に、降りるタイミングを逃してしまった。
「な、何・・・・・・」
頬がアツい。
心臓が、高鳴って止まない。
隼人くんの『良かった、ちょっと焦った』の一言、可愛すぎて悶えました〜(*´艸`*)
作者様の最後のコメントも響きました。
この後、ヒロインがどんな気持ちになって、どんな展開が待っているのか。
将来はその指に、隼人くんとの誓いの指輪がはまってたらいいなぁなんて思いました。
素敵なキュンをありがとうございました(^^)
指輪のサイズ違いってありますよね!学生時代なんかは、折角なのでフィットする指に無理やり着けたりもしますが、まさかそれが左手の薬指なんて。。。
女性の左手の薬指は、男子は良く見てますからね!ピュアな人と遊び人ほどw
これはドキドキしちゃいますね!でもこの彼氏の発言って、ある意味告白に近いですからね~でもこのまま何もアクションを起こしてこなかったら彼女も「何だったんだろう?」ってなっちゃいますね…