俺は君の担当者✍️

ライ麦

読切(脚本)

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〇書斎
編集の上崎さん「それで先生、原稿は出来たのでしょうか?」
森野 「・・・肝心のキャラの名前が思いつかなくて・・・」
編集の上崎さん「その名前が決定すれば出来るのですか?」
森野 「・・・資料室の電球が切れぎみで・・・ちょっと調べてないことが・・・」
森野 「・・・ペットのポン吉が太り気味で心配で・・・」
森野 「すみません、まだです・・・」
森野 「ラストの恋愛シーンが全くイメージ湧かない・・・」
森野 「ときめく台詞が浮かばない・・・」
編集の上崎さん「例えば、ポン吉・・・」
編集の上崎さん「・・・をどう褒めますか?」
森野 「プニプニまん丸フォルムが最高!」
森野 「食い意地がはってて待てができないところとか・・・飼い主の俺を飼い主と理解してなさそうなところとか・・・」
編集の上崎さん「すみません 私が質問を間違えました あと先生、飼い主としてちゃんとしてください」
森野 「反省してます・・・」
編集の上崎さん「では、そうですね 先生が子供の頃・・・」

〇書斎
編集の上崎さん「・・・では、その時の気持ちを参考に原稿を書いてください」
編集の上崎さん「スケジュールもう少し待ってもらえそうですが、なるべく早くお願いします もしこれで締切を過ぎたら原稿は落ちます」
森野 「・・・頑張ります」

〇書斎
森野 「書けない・・・」
森野 「何か上崎さんに恋愛観で諦められた気もするし・・・」
森野 「もっと上崎さんをキュンとさせるものを書きたい!」
森野 「悩んでもしょうがない・・・」
森野 「息抜きに秘密のバイトに行くか・・・・・・」

〇レトロ喫茶
森野「担当の森野です よろしくね」
森野(ここは『小説家なりきり喫茶』)
森野(小説家の気分を味わえる喫茶店 お客様は小説家、スタッフは編集者として接客する)
森野(ここは雰囲気を楽しむことが目的だから本物の編集みたいに本格的なアドバイスはいらない)
森野(俺は小説家として顔は出してないから)
森野(普段、言われてることと)
森野(言われたいことを言えばいい)

〇レトロ喫茶
お客の鳥木さん「よろしくお願いします」
森野「君、ここ初めてだよね」
森野「君は先生なんだから 遠慮なんていらないよ」
森野「先生、紅茶とパンケーキをお持ちしました」
森野「原稿は進んでますか?」
お客の鳥木さん「ありがとうございます 私の書いてる恋愛小説がイマイチで・・・ 恋愛経験少ないからかな」
森野「うーん、例えば・・・ 先生はペットいるかな?」
お客の鳥木さん「猫のポテがいます」
森野「その子をどう褒めてあげる?」
お客の鳥木さん「えっと、元気なポテといると笑顔になれて私が落ち込んでるとすぐ側に来てくれてとっても可愛い・・・ありきたりですね」
お客の鳥木さん「でもペットと恋愛は違うような・・・」
お客の鳥木さん「そっか、恋の始まり! 身近な好きのきっかけはそういうことですよね 何だか書けそう! ありがとうございます」
森野「先生の原稿、楽しみに待ってます!」
森野(ペットの答え、そういう感じか! 恋のきっかけ・・・なるほどな・・・)

〇レトロ喫茶
お客の五門さん「注文いつもので」
森野(あっ常連の五門さん!)
森野「五門先生!」
森野(五門さんの原稿は参考になるんだよな あっパクリは絶対にしないぞ)
森野「前回の大作、大変良かったです! 次の原稿は進んでますか?先生!」
お客の五門さん「森野くん・・・」
森野「五門先生!」
お客の五門さん「次のは後2ページ・・・」
森野「締切は今日ですよ!」
森野(・・・という設定)
森野「今日じゃないと原稿落ちますよ!」
森野「どうするんですか!先生!」
森野「後2ページよろしくお願いしますよ!」
森野「五門先生の原稿は皆が待ってるんですよ!」
森野「注文のコーヒーとモンブランです! ラスト2ページ、何とか頑張ってください!」
森野「俺は応援してます! 相談があれば言ってください、先生!」
お客の五門さん「森野くん、ありがとう」
森野(五門さん雰囲気が文豪だからこっちも担当の気分が味わえるんだよな・・・)
森野(まぁフリだけど・・・)
森野(しかし俺も頑張らなきゃな!)
森野(頑張ろう・・・)

〇レトロ喫茶
  カラン〜(ドアの開く音)
編集の上崎さん「えっ・・・森野先生!!!」
森野「上崎さん!!!」
編集の上崎さん「ここで何してるんですか!?」
森野「・・・ははっ 秘密のバイト!」
森野「小説家だけじゃ生活がね・・・」
編集の上崎さん「・・・バイトは禁止はしてませんよ 原稿の期限さえ守ってもらえましたら」
森野「・・・ところで上崎先生 ・・・でいいんだよね?」
編集の上崎さん「こちらの喫茶店が以前から気になってまして・・・ 先生がいるとは思いませんでしたが」
森野「ここじゃ俺は先生じゃないでしょ 君が先生で、僕は君の担当だよ」
編集の上崎さん「森野さん、ニヤニヤしないでください」
森野「ゴメン、ゴメン じゃあ先生、ご注文と原稿の相談があればいつでも呼んでください」

〇レトロ喫茶
編集の上崎さん「閉店の間近にすみません」
森野「遅いお客さんも多いし、気にしないでいいよ」
森野「ご注文のコーヒーとチョコケーキです この原稿なかなかいいね 完成が楽しみです上崎先生!」
森野「先輩に憧れる少女の気持ちが健気で可愛らしい」
編集の上崎さん「・・・ありがとうございます」
森野(上崎さんもこんな恋愛小説書くのか)
編集の上崎さん「可愛らしい・・・ですか」
編集の上崎さん「それは先生のペットのポン吉みたいにですか?」
森野「えっと・・・ ポン吉と言うより・・・」
森野(・・・なんだろう、この気持ち)
編集の上崎さん「森野さん、おかしいですよね 少女は憧れてただけなのに・・・」
編集の上崎さん「少女は先輩に何と言いたいんでしょうか?」
森野「・・・好き・・・かな」
編集の上崎さん「そうですね・・・ それが少女の素直な気持ちですね」
編集の上崎さん「森野さん、この小説のラスト決まりました ありがとうございます」
森野「先生・・・俺はこの小説はハッピーエンドがいいです」
森野「上崎先生、お願いします」
編集の上崎さん「はい・・・」
編集の上崎さん「私は先生の小説が好きです 頑張ってください それでは、また」

〇書斎
編集の上崎さん「先生、原稿は出来ましたか?」
森野 「俺はハッピーエンドが好きだからちゃんと書いたよ」
森野 「君が可愛くていつの間にか好きになってた。って」
編集の上崎さん「単純なセリフですが・・・」
編集の上崎さん「先生らしくて好きです」

コメント

  • 新鮮さを感じました!
    小説家が担当役になるバイト…発想がとても面白いです!
    この2人は絶妙な距離感を保ってますが、もし付き合ったり結婚したりしてもこの距離感は変わらなそうな印象です!

  • 小説家の担当になるカフェって、発想が楽しいですね!
    実際に小説家が働いてるとは、誰も思ってないところがまたおもしろいです。
    先生も楽しんでるようですし。笑

  • 小説家の悩みはいいアイデアが浮かばないことでしょう。締め切りが近づく度に編集者から催促されてはストレスも溜まるでしょうから。秘密のバイトはもってこいですね。

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