読切(脚本)
〇大学の広場
まりな「海希くん!もぉ、こんなとこにいたんだ!」
咲「ずっと探してたんだよ」
ふと聞こえた声。
振り向いた先にいたのは可愛らしい女子二人組と・・・私の彼氏。
海希「ああ、ごめんね。どうしたの?」
私の彼氏は誰にでも優しい
まりな「近くにできたカフェ一緒に行きたいな〜って思ったのぉ!」
咲「海希、甘いもの好きでしょ?」
海希「ああ、うん。でもごめんね、今日は用事があるんだ」
まりな「えぇー・・・!少しだけだしぃ!」
海希「どうしても外せない用なんだ。また今度一緒に行こうね」
女の子はあざとく私の彼氏を見つめた。
まりな「うん・・・海希くんが言うならわかったぁ・・・」
やっと話が終わったのか、渦中のモテ男は足早に私の元へやってくる。
海希「ごめん綾。待ったよね」
綾「いや、大丈夫だよ。それにしても・・・モテモテだね?」
綾「(すごく複雑・・・)」
海希「そんなことないよ。ほら、行こう」
〇シックなカフェ
綾「ってことがあって・・・」
陽花「うっわー・・・。さいっあく・・・」
陽花「彼女を前にほかの女と一緒に遊ぶ約束・・・?!」
陽花「あー・・・ガチクズー」
綾「で、でも普段は優しいんだよ・・・?」
陽花「うわぁー騙されてる女はそういうんだよ」
綾「・・・」
陽花「ねぇ、この際だからはっきり言うけどさ・・・もう、別れたら?そんな男」
綾「(・・・確かに、海希は全然私のことを見てくれない。)」
陽花「それにさ!復讐しちゃおうよ!」
綾「ふ、復讐?」
陽花「そう!綾が他の男とベタベタしてあいつに嫉妬させんの!」
陽花「で!その後に別れを切り出す」
陽花「我ながら完璧な作戦・・・!!」
綾「え、えぇ?確かにもう海希とはダメかなと思ったけど、そこまでは・・・」
陽花「いいからいいから!男はこっちで人呼ぶから!クズ男にはそれなりの痛い目にあってもらわないと・・・!」
綾「(自分が昔騙されたからって・・・強引だなぁ・・・でも、いい機会かな・・・。)」
〇大学の広場
秋季「おーい、綾ちゃん!」
綾「あ、この人、・・・陽花が呼んだ・・・」
秋季「久しぶりー!元気してた?」
綾「うん!そ、そっちは?」
秋季「元気!いやーさぁ、もっとあやちゃんと喋りたいと思ってたんだよね〜俺」
綾「(・・・ち、ちかいな)」
綾「へ、へー!うれしいなー」
海希「綾、何してるの?」
綾「あ・・・」
海希「ほら、デートの約束してただろう?早く行こう」
秋季「あ、ちょっと!あやちゃん!」
秋季「ねぇ、また今度連絡するね?」
綾「あ、はい・・・」
海希「早く行くよ」
海希に腕を引っ張られ連れていかれる。
〇ビルの裏
海希「あれ、誰?」
綾「(あれ、もしかして・・・嫉妬してる?)」
綾「・・・別にただの友達だよ」
海希「それにしては・・・距離が近かったね?」
段々と詰め寄られ、後ろは壁、前には海希という状態になってしまった。
少し怖気付いてしまう。
だけど、今まで私が何度そういう思いをしてたか思い知ってもらう必要がある。
綾「海希には・・・関係ないでしょ」
海希「・・・へぇ」
綾「そうだよ。私がどこで誰となにしようと海希はどうでもいいんでしょ?」
綾「(・・・よし!バッチリ!)」
綾「(これであとは・・・別れをきりだせば・・・)」
海希「・・・君がなんでそういう考えに至ったのかは分かるよ」
綾「(・・・え?)」
なんだか・・・怖い。
いつもの笑顔だけれど目は笑っていないような。
その目に吸い込まれるように見つめる。
綾「・・・う、あ!」
途端にグイッと引き寄せられる。
腕を掴む力が強く、顔をしかめてしまう
海希「・・・はなさない」
海希「俺は君を絶対に離さない」
海希「君が離れると言うのなら、その首を、その手を繋いで一生離れなくしてやろう」
海希「・・・なあ、これでも俺が君に興味が無いと?」
海希「嫉妬をしてる君が俺の事で頭がいっぱいになってる君がどうしようもなく可愛くて、」
海希「調子に乗ってしまったんだ。本当にすまない」
海希「今も前も、俺は君しか見ていない」
海希「改めて言う、俺と別れないで欲しい」
初めて聞く彼の本音。
それはまさしく執着だった。
それが嬉しい私も・・・もう・・・おかしいのかもしれない。でも、
綾「ふふ」
綾「私がどれだけ辛かったと思ってるの?」
海希「あぁ、・・・本当に、」
綾「これからは・・・ちゃんと行動で示してよね」
海希「・・・、!」
海希「あぁ、分かったよ。俺の愛しの人」
嫉妬は恋愛のスパイスになりますが、その加減は難しいですよね。物語の2人も結果的にOKでしたが、一歩間違えばですし。駆け引きは諸刃の剣ですね。
こういう男性は私はちょっと苦手です、、だって心が折れそうになるから。モテるのはどうしようもないけど、、。とはいいつつ、最後の方で彼が素直に気持ちを伝えてくれたとき、キュンとしてしまいました。
彼は本音をいったのかもしれないけど、あまりいい感じのしない愛し方ですね。好きな相手にはストレートに愛情表現したほうがいいと思うタイプなので、私ならこういう駆け引きな恋愛は遠慮したいです。