ジンクス

塩野鯖

花火(脚本)

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塩野鯖

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〇綺麗な一戸建て
  今日は待ちに待った花火大会だ
  この地域では花火の下で告白すると叶うと言うジンクスがあるらしい。
  ジンクスに頼るなんて情けないけど、それでも少しでも望みがあるなら──
  俺は覚悟を決めて幼馴染の家のインターホンを押した。

〇明るいリビング
悠「こんにちは、結衣さんに用があって来ました」
結衣の母「あら、悠くん!こんにちは」
結衣の父「結衣!悠くんが来たぞ」
結衣「いきなりどうしたの」
結衣「連絡の一つでもくれればよかったのに」
悠「(あっ・・・緊張しすぎて連絡するの忘れてた)」
悠「(でもここで折れるわけにはいかないんだ)」
悠「一緒に花火大会行かない?」
結衣「嫌だ、折角の休日だし」
悠「えっ」
結衣「(悠、驚いてる。)」
結衣「(けど、私は念願の休みだから一歩も外に出たくないの)」
結衣の父「悠くんと行ってきたらいいじゃないか」
結衣の母「そうよ、折角浴衣もあるんだし」
結衣「面倒だし、私は家でのんびりし・・・」
悠「全部出す!好きなもの好きなだけ食っていいから!」
結衣「好きなものを好きなだけ・・・」
結衣「わかった、約束ね」
結衣の父「よかったな、悠くん」
結衣の母「ずっとデートに誘いたいって言ってたもんね」
悠「はは・・・」
悠「(デートって言うより、食べ物で釣ったって感じだけど・・・)」
悠「(今度こそ気持ちを伝えるんだ!)」

〇花火
  緊張する俺を他所に待ち合わせの時間はやってきた。
  太鼓の音も盆踊りの曲も耳を通り抜けていく
結衣「ねぇ、悠!」
結衣「今日は全部悠の奢りなんだよね」
結衣「何にしようかな」
結衣「たこ焼きと、焼きそばと、あんず飴と──」
悠「どんだけ食う気なんだ‥」
悠「(財布空になりそうだな・・・)」
結衣「ねぇ、あそこに射的があるよ」
結衣「一回やってみたかったんだよね」
悠「(やったことないけど、ここで良い所見せたい・・・!)」
悠「うん、やろっか。得意だから任せてよ」
悠「欲しいのある?」
結衣「あそこにあるウサギのキーホルダー」
悠「わかった、任せて」
悠「(銃重いな・・・想像以上に手が震える)」
結衣「ねぇ、大丈夫?変わろうか?」
悠「いや、大丈夫」
悠「(なんとか取って良いところ見せるんだ)」
悠「よっしゃ!当たった!」
屋台のおじさん「はい、おめでとう。商品これね」
悠「外れたか・・・。ごめん、次で取るから」
結衣「いいよ、それ可愛いし」
結衣「それに私、自分で取るから」
結衣「(角度を調整してっ──)」
結衣「やった!当たった!」
屋台のおじさん「はい、おめでとう」
悠「(良い所見せられなかったな・・・)」
結衣「はい、これ。あげる」
悠「俺に・・・?」
結衣「うん、だってそれくれるんでしょ」
悠「でも結衣が欲しいのはウサギだろ?」
結衣「私の為に取ろうとしてくれたんだよね、それだけで嬉しいよ」
結衣「だから、はい!交換」
悠「こうゆう所、本当に変わらないね」
悠「(叶わないなぁ・・・)」
結衣「そろそろ、花火上がるね」
結衣「よく見える所行こっか」
悠「(花火の下で伝えるんだ・・・!)」
結衣「悠、今日はありがとう」
結衣「一緒に来れて楽しかった」
結衣「悠の射的、思い出して暫く笑っちゃいそうだけど」
悠「見栄張った俺が悪いけど、そこ突かれると痛いな」
結衣「でも、ちゃんと取ろうとしてくれたのは嬉しかった」
結衣「嘘じゃない、これは本当」
悠「(正直驚いた。こんな顔するって知らなかったから。)」
悠「(今度は俺が気持ちを伝える番だ・・・!)」
悠「ねぇ、結衣」
悠「好きだよ」
結衣「ん?なんか言った?」
悠「(聞こえなかったのか、でもジンクスに頼るんじゃなくて今度は──)」
悠「・・・やっぱまだ内緒!」
  END

コメント

  • 花火大会に託けて気持ちを伝えなくても二人の愛は盤石のような気がしました。彼女の両親も二人のお付き合いを全面的に応援してるから。

  • 彼女かっこいいですね!すごくイケメンです!
    その気持ちが嬉しいっていうのよくわかります。
    取ろうとしてくれた気持ちが大切なんですよね。
    いつか彼の告白が成功する日を願います。笑

  • 気負わず、さらりが、恋に似合うんでしょうね。私も肩の力を抜いて、さらりぃまんで、行ってみようと思わせてくれて、感謝です。

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