ドリーマーズラブ

齊川萌

再会(脚本)

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齊川萌

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〇ライブハウスのステージ
PA「はーい、じゃあリハは終了でーす!」
「よろしくお願いしまーす!」
  私は緋山京香(ひやまきょうか)、19歳。
  最近また地元の友達とバンドを始めた。
緋山京香(やっぱり地元の友達とやるバンドが一番だよね~!落ち着く~!)
PA「それじゃあ、次~!」
???「うぃーっす!」
緋山京香(え...?)
PA 「ほいじゃドラマーさん、足からね~」
浅霧怜人「ういっす~」
田村達哉「...あれ、怜人じゃん。 対バン相手だったんだな!」
緋山京香「...ご、ごめん! ちょっとコンビニ行ってくる!」
田村達哉「お、おう」
田村達哉(どうしたんだ...?)

〇街中の道路
緋山京香「はあ...はあ...」
緋山京香「な...何で怜人が...!? てかあの笑顔...やっぱり私のことバカにして...!」
緋山京香(...どんな顔して会えばいいの...?)

〇体育館の裏
浅霧怜人「先輩...卒業、おめでとうございます...」
緋山京香「ありがと! ...って、何よその顔!」
浅霧怜人「あー、いや...」
浅霧怜人「先輩って地元の大学ですよね? それならまた...」
緋山京香「え? 私、都内の専門に決まったよ?」
浅霧怜人「え...?」
緋山京香「もう、なんて顔してるのよ! ごめんって! 話した気になってただけで秘密にしてたわけじゃ...」
浅霧怜人「...んで...」
緋山京香「え...?」
浅霧怜人「...何でわざわざ都内にまで行くんすか! 専門学校なんてこっちにもあるじゃないっすか!」
緋山京香「...何をムキになってるの?」
浅霧怜人「...そもそも叶う見込みのない夢を追っかけるなんて... バカのやることっすよ!!」
緋山京香「怜人...」

〇ライブハウスのステージ
緋山京香「ただいま...」
田村達哉「どうした?顔色悪いな...? 具合でも悪いんじゃ...」
浅霧怜人「先輩! お久しぶりです!」
緋山京香「...怜人」
田村達哉「おいおい、俺も先輩なんだが~?」
浅霧怜人「久しぶりっす!」
田村達哉「キラキラ引っ込めろっつうの...」
浅霧怜人「すいません、ちょっと京香先輩お借りしていいですか?」
田村達哉「え? まあ...いいけど...」
浅霧怜人「よし、先輩行きましょ!」
緋山京香「え、ちょっと!?」
緋山京香(もう...何のつもり!? ていうか怜人ってこんなに強引だったっけ...?)

〇ライブハウスの控室
浅霧怜人「先輩...達哉先輩と付き合ってるんすか?」
緋山京香「いきなり!? いや、そんなわけないじゃん!」
浅霧怜人「そっか...よかった...」
緋山京香「あ、もしかしてヤキモチ~? なんちゃって~あははっ...」
浅霧怜人「...そうだって言ったら...?」
緋山京香「え...」
浅霧怜人「ふふっ...先輩、困ってる?」
緋山京香「か、からかわないでよっ!」
浅霧怜人「...じゃあ先輩、デートしましょ 映画館デート」
緋山京香「は!?」
浅霧怜人「実は今、先輩の好きなあの監督の最新作やってるんすよ!」
緋山京香「な、なんで覚えてんのよ...」
浅霧怜人「さあ...何ででしょう?」
浅霧怜人「じゃ、俺そろそろ行きます!」
緋山京香「え...」
緋山京香「ええええ!?!?」

〇ライブハウスのステージ
緋山京香(怜人のドラム、あの頃と全然変わってない...相変わらずかっこいいな...)
緋山京香(怜人のこと、早く忘れたかったのに...何で...)
緋山京香(違う...私、本当はまだ、怜人のことが好きなんだ...)
(ああ...あの大きい手でぎゅっと...ん...?ぎゅ...?)

〇映画館の座席
緋山京香(!?!? な、何で私今、手握られてるの!? エンドロールの最中なんですけど...!?)
緋山京香(いや...なにその意味深な笑顔は!?)
浅霧怜人「このあと...まだもう少しだけ付き合ってもらえますか?」
緋山京香「...わ、わかった」
緋山京香(ち、近い...)

〇街中の道路
浅霧怜人「先輩、改めて今日はありがとうございました! これで思い残すことは何もありません...」
緋山京香「わ、私の方こそ...ありがと、誘ってくれて...」
緋山京香「...って、何よ? 今日が最後みたいな言い方...」
浅霧怜人「...俺、関西の方で音楽勉強しようかなって思ってて」
緋山京香「いいじゃん!本格的にドラマー目指すの?」
浅霧怜人「はい...あがいてみようかなって...」
緋山京香「怜人ならきっとうまくいくよ! 応援してる!」
浅霧怜人「...怒ってないんすか?」
緋山京香「...卒業式のこと? そりゃまあ傷つきはしたけど...おかげで踏ん張れてるとこもあるし!」
浅霧怜人「俺...最低ですね... 『叶う見込みのない夢を追っかけるなんてバカのやることだ』なんて偉そうなこと言って...」
浅霧怜人「本当にすみません...」
緋山京香「あははっ...そりゃ映画監督なんて簡単になれるもんじゃないし...」
浅霧怜人「いや...違うんです」
緋山京香「え?」
浅霧怜人「あの頃、将来の話で親とちょっと揉めてて...」
浅霧怜人「大好きな先輩が堂々と夢を追うって聞いて羨ましかったんです... それで寂しい...行ってほしくないって思っちゃって...」
緋山京香「そ、そういうことだったの...」
緋山京香(だ、大好きな先輩って...私...だよね...?)
浅霧怜人「先輩はまた...都内に戻っちゃうんですよね...」
緋山京香「え?」
浅霧怜人「だって先輩、今都内で一人暮らししてるんじゃ」
緋山京香「いや、地元から通ってるよ? 今もまだ実家暮らしだし!」
浅霧怜人「え!...じゃあ、いつでもこうやって会えるってことですか!?」
緋山京香「ま、まあ、そうだね...」
浅霧怜人「...うわあ...俺ほんとに最低だ...勘違いして八つ当たりして...」

〇駅の出入口
緋山京香「そ、そんなに落ち込まないでって! 応援してくれてるって分かって嬉しいし!」
浅霧怜人「先輩は優しすぎですよ... あ、俺電車なんで...」
緋山京香「あ...」
緋山京香(まだ...離れたくない...)
浅霧怜人「...先輩?」
緋山京香「...っ...」
浅霧怜人「...そんな顔...ずるいですよ...(ちゅっ...)」
緋山京香「!?!?!?」
浅霧怜人「あはは!おでこにキスしただけなのに顔真っ赤ですよ!」
緋山京香「う、うるさいなあー! 大人をからかうな~!」
浅霧怜人「家着いたら、電話します♪」
緋山京香「も、もう! 気を付けて帰りなさいよっ!」
緋山京香(...早く帰って...怜人の声聞こ...)

コメント

  • 夢や恋愛や、いろんなことで悩みながら足掻こうとする様々な心情がリアルに描かれて心に響きます。悩み心乱れながらも歩みを進めようとする姿は魅力的ですよね。

  • 夢、憧れ、恋、嫉妬。色々な要素が人生の岐路に立つ二人の姿の描写をリアルにさせていて、思わず自身の昔を回顧してしまいました。好きだから素直になれなかった、羨ましいから暴言吐いた……そんな彼の気持ちがきゅうっと切なくて。もう少し早く気付いていれば!と思わずにはいられませんでした。
    ですが、現在の余裕ぶりつつあざとい感じは、小悪魔的でズルい!(笑)ラストの急展開にドキドキ、キュンキュンしました~

  • とてもかわいい二人で、読んでてキュンキュンしました。
    夢を追いかけるのもまた人生ですし、誰かを好きになるのもまた人生ですよね。
    でも、回想の彼より余裕が出てきてますね。笑

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