エピソード1(脚本)
〇謁見の間
裁判官 ピンイン「判決を言い渡す!其方を刑期20年の刑を処す」
兵士 ディグニティ「オラッさっさと歩け!!」
兵士 リベルテ「陳腐な物語(笑)を書くオマエに自由なんぞ無い!」
嗚呼、最悪の気分だ
だけど私にはまだ手はあるんだ。
〇牢獄
作品を作る事は絶対に諦めない。
私が死なない限りは
既に準備は万端だ。覚悟しろ、クソ政府。
〇個別オフィス
ー20✖︎✖︎年、日本で有名な作家がいた。彼女の名は東街エリ子
恋愛、ミステリー等様々なジャンルでヒット作を連発している天才である。
編集長 山崎権蔵「そして何故か私と担当編集者の星くんは彼女に空き部屋へ呼び出されたわけだが...どういう事だね」
編集者 星あかり「編集長、変なナレーションやめてくださいよ。東街先生も困ってるでしょ」
東街エリ子「大丈夫です。慣れましたから」
編集者 星あかり「そう、ならいいけど」
編集長 山崎権蔵「おい、ちょっと待ってくれ。私がいつもつまらない事をしているようじゃ無いか!?」
東街エリ子「...」
東街エリ子「本題に入りますね」
編集長 山崎権蔵(スルーされてしまった)
東街エリ子「差し入れです。話が長くなるのでリラックスして聞いてください」
編集長 山崎権蔵「私の大好きなバタバタ茶じゃないか!いただこう!!」
編集者 星あかり「バタバタ茶はともかく有名店のクッキーを差し入れてくれる先生のセンスには敵わないですね〜」
編集長 山崎権蔵(美味しいのになぁ...)
東街エリ子「まず、単刀直入に話します」
編集長 山崎権蔵「ゴクゴク...バタバタ茶おいしい〜なぁ」
東街エリ子「私、実はゴーストライターと合作して作品を書いていたんです」
編集長 山崎権蔵「ブッ」
編集者 星あかり「ちょっと汚いですよ編集長!!」
編集長 山崎権蔵「ゲボッゲホッ...な、なんだって!?」
東街エリ子「私には『ゴーストライター』がいる。と言いました。今までゴーストライターの方と合作で作品を書いていました」
編集長 山崎権蔵「なんで今更、そ、そんな事を!?」
編集者 星あかり「ちょっとタンマ、『代筆』ではなく『合作』なのね。まぁそれはいいとして...」
編集者 星あかり「そのゴーストライターさんは何か表に出れない事情があるのかしら?」
東街エリ子「突飛な話なので信じがたいですが... ゴーストライターのアンリ・デルタは外国人死刑囚です」
「!?」
東街エリ子「そして今、某国政府から逃げながら執筆活動をしています」
〇個別オフィス
東街エリ子(やっぱり突飛な話だからついていけなかったかもしれない)
編集長 山崎権蔵「色々混乱しているけど...その、アンリさんは一体何の罪を犯したんだい?」
東街エリ子「アンリの名誉の為を思ってあらかじめ言いますがアンリは罪を犯していません」
編集長 山崎権蔵「え、冤罪?」
東街エリ子「冤罪...という訳ではありませんが某国のくだらない法律の所為でアンリは捕まったのです」
〇謁見の間
裁判官 ピンイン「ただいまより、アンリ・デルタの裁判を始める」
アンリ・デルタ(何が裁判だ。私に話す権利すら与えてくれないくせに)
裁判官 ピンイン「まずはコレからだ」
裁判官 ピンイン「この作品、表紙の女子はスカートが短い!肩と胸の露出も多い気がする。減点10点」
アンリ・デルタ(言いがかりだ。というかお前の愛人もこれよりの露出のあるドレス着ていただろう)
裁判官 ピンイン「殺人の描写がエグい!コレを読んで死者が出たらどうする!!減点25点!」
アンリ・デルタ(お前ら政府が肯定的にやっている戦争の方が死者を出しているのにな...)
裁判官 ピンイン「このアニメ、内容が同性愛の物語ではないか!!我が国では同性愛は悪影響を及ぼすから禁止だ!!しかも映像に...」
裁判官 ピンイン「薄着の少年がDVされていたぞ!!減点30点!!」
アンリ・デルタ「待ってください。『この作品は同性愛・暴力描写アリ』の記載は下の方にありますよ!」
裁判官 ピンイン「文字が小さくて読めん!!減点5点!!」
アンリ・デルタ(やっぱりマトモに裁判する気は無いんだな)
裁判官 ピンイン「そして...お前は特に犯してはいけない罪を犯した」
アンリ・デルタ(次は何だ?)
裁判官 ピンイン「この作品の挿絵に...」
裁判官 ピンイン「我が大統領とそっくりのゴリラがいた!!大統領を侮辱するとは許せん!!減点1000点」
アンリ・デルタ「ハァ💢」
アンリ・デルタ「変な言いがかりは辞めてよ!!私は大統領を金のゴリラだと思ったことは一度も無いわ!!」
裁判官 ピンイン「怪しいから言っているのだ!!」
〇謁見の間
裁判官 ピンイン「判決を言い渡す!其方を刑期20年の刑を処す」
〇個別オフィス
東街エリ子「...という事でアンリは囚人として一時期は牢屋で過ごしていました」
編集長 山崎権蔵「なんという事だ...!」
東街エリ子「話だけだと伝わらないと思ったので裁判にかけられた作品のあらすじをまとめて記載しました」
編集長 山崎権蔵「アンリ君の作品はあらすじだけなので具体的な内容はわからない...けど」
編集長 山崎権蔵「我々が出している出版物と共通している点がいくつも見られたぞ!!」
編集者 星あかり「アイドル、BL、サスペンス...本人は否定してるけど擬獣化。我々があの国で仕事していたら全員が牢屋ににブチこまれますね」
東街エリ子「危害が加わったのは作者だけではありません」
〇中東の街
違反した創作物は全て
燃やされてしまったのです
〇個別オフィス
編集長 山崎権蔵「何という...惨い事を」
編集者 星あかり「そうね...でも」
編集者 星あかり「泣いてる時に今質問すべきではないかもしれないけど何で東街先生は今のタイミングでアンリ先生の話をする様になったんですか?」
東街エリ子「実はアンリから大量のプロットのデータが届いて以来連絡が途切れてしまって...」
東街エリ子「凄く悩みましたが独断で星さんと編集長にアンリのことを伝える事にしました」
東街エリ子「アンリは「もしも私の身に何かあったら本当にエリ子が信頼できる人にだけ事実を伝えて欲しい」と以前から言ってましたし」
編集長 山崎権蔵「そうだったのか...」
編集長 山崎権蔵「失礼、15分だけ星くんと席を離れてもいいかな?」
編集者 星あかり「えっ、何ですかいきなり?」
東街エリ子「わかりました」
〇高い屋上
編集者 星あかり「何ですかいきなり...」
編集長 山崎権蔵「東街先生が話していくうちに疲れた表情をしていたからね...長い間秘密にしていた分ストレスになっていそうだから」
編集長 山崎権蔵「15分間だけ我々が席を離れて少し休憩させた方がいいと思ったんだよ」
編集者 星あかり「あぁ、そういう事だったんですね」
編集長 山崎権蔵「話が変わるけどアンリ君の作品に出た「恋の炎」の少年の生い立ち、東街先生の作品「オーシャン」に登場するアヤト君に似てるよね」
編集長 山崎権蔵「ミドアヤ推しの君はなんか響いたんじゃないか?」
編集者 星あかり「そうですよね...」
編集者 星あかり「?、どうしたんですか編集長」
編集長 山崎権蔵「お茶の飲み過ぎでお腹が冷えちゃって...」
編集長 山崎権蔵「トイレ行ってくるね!!!」
編集者 星あかり「全く、編集長ったら本当に間抜けな人」
〇施設の男子トイレ
編集長 山崎権蔵(...恐れていた事が確定してしまった)
編集長 山崎権蔵「とりあえず...これでよしっと」
編集長 山崎権蔵「近いうちにこの国でも江戸川乱歩や手塚治虫が迫害されていた時代に戻ってしまうかもしれないなぁ...」
〇牢獄
アンリ・デルタ「f✖︎✖︎k!!!!!くたばれこんにゃろう!! 絶対に私はこの牢獄から脱出してやる」
アンリ・デルタ「チキショウ...やっぱりフォークじゃ穴掘りに時間かかるなぁ」
アンリ・デルタ「今は辛抱だ...必ず助けは来る」
アンリ・デルタ「私にはわかる」
〇個別オフィス
東街エリ子(...ハァ。何か疲れちゃった)
東街エリ子(アンリ⁈)
東街エリ子(あれ?えっ?こんな事ってあるの?でもこのアドレス間違いなくアンリのだよね...?)
東街エリ子(!?あっ...『あの人の事は信用しないで』...って)
東街エリ子(わ、わかった...気をつけるわ、アンリ)
編集長 山崎権蔵「いや...遅くなってすまない」
東街エリ子「キャッ!!」
東街エリ子「あ、ごめんなさい。考え事していたら驚いてしまいました」
編集者 星あかり「疲れているのでしたらまた別の日に変更しましょうか?」
東街エリ子「いえ...執筆のスケジュールもありますし本日全て話すと決めたので」
東街エリ子「次に私がアンリと出会った時の話をあらかじめしますね」
東街エリ子(大丈夫、私はアンリと共に頑張ってきた一流作家。嘘を交えながらアンリのことを事実であった様に語ることができる!)
読者の皆さん、この1話を読んでどう思いましたか?私は読者の99%が某国では捕まると思いましたが実際はどうでしょうか...
あとこの作品は謎が多いですよね。
.何故アンリが刑期20年なのに死刑囚になったのか
. アンリは今どこにいるのか
.某国の表現規制主義者の目的とは
.編集長が恐れた事は何だったのか
.東街先生に来たメールは誰だったのか
次回へ続く
東街エリ子(アンリ、私はあなたの力にならないかもしれないけど出来る限りの事は全てやるからね...)
こんばんは〜!
創作物が罰せられる時代!恐ろしいですね😭
設定が面白くて斬新でした!自分達が自由に創作出来る喜びを改めて感じました(笑)😂👍
それにしてもゴーストライターの子がたくましいのが良かったです🙌
サクサク読めました!
冤罪つらい〜!
つらすぎるけど!応援したくなっちゃいます!
凄い言葉の書き方が落ち着いた作品にみられました、面白い作品ですね。清々しい気持ちで読めました