すまいるくえすと!~僕と勇者と君と呪われし姫君

叶野遥

読切(脚本)

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叶野遥

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〇水玉
アユム「俺の名前はアユム 17歳 将来の夢は勇者だ」
アユム「来るべき時に備えて 俺は日夜修行をしている」
アユム「今はまだ、街は平和だけど いつ悪い奴らが襲ってくるかわからない」
アユム「その時に街を、国を 大切な人を護るために 俺は戦うんだ」

〇シックな玄関
アユム「母上、いってきます」
母上「はいはい 気を付けてね」
アユム「うん 装備が鞄と傘だけじゃ スライムだって出たら困るからね」
母上「・・・そうね いってらっしゃい」
アユム「いってきます!」
  バタン
母上「アユムのアレ、いつまで続くのかしらねぇ」

〇通学路
アユム「今日もいい冒険日和だ」
アユム「なぁ、アニキ!」
  アニキは俺に勇者という職業を
  教えてくれた
  勇者とは
  
  誰よりも強くて
  誰よりも優しい
  弱きものを助け
  悪きものを倒す
  俺は勇者になることを
  アニキと交換した、
  このペンダントに誓ったんだ

〇学校の昇降口
タカシ「おはようアユム!」
アユム「おはよう!」
タカシ「アユム、 今日の課題やってあるか? 俺当たるかもしれないんだけどさ」
アユム「大丈夫、俺の貸すよ 今から急いで写しなよ」
タカシ「さっすがアユム! いつも頼りになるぜ」

〇まっすぐの廊下
トオル「なぁアユム、 今度バスケの練習試合あるんだけど 助っ人頼むよ」
アユム「いいよ! 俺で力になれるなら」

〇学校の廊下
後輩「アユム先輩 あの、これ読んでください!」
アユム「ありがとう、もらっておくよ」
後輩((キャッ))
「・・・・・・」
タカシ「アユムって変なところあるけど 勉強もできるし 運動もできるし イケメンだし 性格いいし 結構パーフェクトだよな」
トオル「そうだな、変なところあるけどな」
タカシ「アレさえなきゃ完璧なのになぁ・・・」

〇教室
アユム「おはよう!」
アユム「・・・あれ?」
レイナ「・・・・・・」
アユム「レイナ ミホちゃん おはよう」
ミホ「あ、アユムくんおはよう」
レイナ「・・・・・・」

〇水玉
レイナ「おはよーアユム!」

〇教室
レイナ「・・・・・・」
アユム「レイナ? どうした? 具合でも悪いのか?」
ミホ「アユムくん、ちょっと・・・」
アユム「?」
ミホ「実はね 昨日レイナ告白したの カンザキ先輩に」
アユム「前から大ファンだって 言ってた先輩だろ? すごいじゃないか!」
ミホ「それで・・・ カンザキ先輩に振られちゃって」

〇学園内のベンチ
レイナ「好きです!」
先輩「は?あんた誰?」
レイナ「えっ」
センパイ「カンザキくん 何この子知り合い?」
先輩「えー知るわけないじゃん 俺、レベル高い子しか覚えないからさ」
センパイ「エー何それひっどぉい きゃははは」
レイナ「・・・・・・」

〇教室
アユム「・・・なんて奴だ そんな酷い言葉を」
ミホ「レイナ、 よっぽどショックだったみたいで それからずっとあんな調子」
アユム「レイナ・・・」

〇水玉
レイナ「アユムくん」

〇教室
アユム「レイナは 俺が助ける」
ミホ「え?」
アユム「レイナ姫の笑顔は 必ずこの俺が救ってみせる!」

〇教室
アユム「レイナ! にーらめっこしましょ! あっぷっぷー!」
レイナ「・・・・・・」
アユム「隣の塀に囲いができたんだってねぇ カッコイー!」
レイナ「・・・・・・」
アユム「安心してください 履いてますよ!」
レイナ「・・・・・・」
アユム「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ!」
レイナ「・・・・・・」
ミホ(アユムくん 必死なのはいいけど・・・ ネタが一昔以上古いのはなぜ?)
アユム「くぅ、お笑いで攻めるのはダメか」
アユム「レイナ、今日の学食 ハンバーグ定食が半額らしいぞ」
レイナ「・・・・・・」
アユム「駅前のケーキ屋 好きって言ってただろ 俺が好きなだけおごってやるよ!」
レイナ「・・・・・・」
アユム「タピオカも付けるぞ!」
レイナ「・・・・・・」
アユム「食欲に訴えるのもダメか・・・」
アユム「レイナ、 お前が好きって言ってたバンドの 新譜出てたよな! 俺が買ってやるよ!な!」
ミホ「あ、それは」
アユム「え?」
レイナ「・・・・・・」
ミホ「カンザキ先輩が好きだって聞いて 聴き始めたから・・・」
アユム「あぁ・・・」
レイナ「・・・・・・」
アユム「レイナ・・・」
アユム「そんなに悲しいのか あの男に振られたことが」
アユム「感情を失ってしまうほどに」
レイナ「・・・・・・」
アユム「俺の言葉は 届かないのか ・・・レイナ」
レイナ「・・・・・・」
アユム「俺は無力なのか」

〇幻想
  うつむくと
  ペンダントが目に入った
  勇者になると誓った、
  約束のペンダント

〇教室
アユム「俺は勇者失格だ・・・」
アユム「たった一人、 たった一人の大切な女の笑顔さえ 守ることができないなんて・・・」
レイナ「・・・・・・」
レイナ「・・・えっ」
アユム「えっ?」
アユム「・・・レイナ? 顔・・・赤いけど・・・」
レイナ「アユム、今の・・・」
アユム「今?」
レイナ「た、たった一人の大切な女って 私の、ことなの・・・?」
アユム「えっ」
アユム「お、おおお俺、 そんなこと言ってた? 聞こえちゃってた!?」
レイナ「う、うん・・・」
アユム「あ、えっと、その、 それは言葉のアヤっていうか 心の声っていうか」
アユム「口に出すべきではなかったというか・・・その・・・」
ミホ「つまり、アユムくんの ガチの本音ってこと?」
アユム「ミ、ミホちゃん 君も聞こえちゃった?」
ミホ「私だけじゃなくて クラスのみーんな聞こえてたよ?」
アユム「!!!!!!!!!!」
レイナ「フフッ」
アユム「・・・あ」
  レイナが、笑った
レイナ「相変わらずアユムは面白いなぁ 君のそーゆうトコ、大好きだよ」
アユム「えっ」
レイナ「フフッ」

〇幻想空間
  ・・・とりあえず、
  姫を救うことはできたみたいだ

コメント

  • スマイルクエストという題名がとてもいいですね! 大切なクラスメイトの為、勇者らしい言動で彼女を笑顔にすることができてよかったです。正義感のある男子は本当にかっこいいです!

  • イタいけれど、(だからこそでしょうか)漏れた本音だからこそ、彼女の心も軽くなったのでしょうね。
    勇者と姫設定のまま付き合ったらどうなるのでしょうか……案外楽しいかもしれませんね!
    こんな恋もしてみたいなぁと思ってしまいました♪(/ω\*)
    楽しく拝読させていただ来ました~ありがとうございました!

  • イケメンで性格が良く、勉強も運動もできるパーフェクトな存在、しかし目指しているのは勇者というギャップに微笑ましく見守りたくなりますね。
    さらには恋愛不器用という可愛らしさがたまりません。だからこそ、あの言葉が彼女に響いたのでしょうね。

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