第四話 「戦うお嬢様」(脚本)
〇港の倉庫
私と拓海は、さらわれた玲衣を助けるために、指定された場所へと来た。
月ノ宮拓海「来たぞ! 秋川はどこだ!」
本条美弥子「拓海、あれ──」
私が指をさした先には玲衣の姿が!
そしてその後ろには・・・。
秋川玲衣「美弥子さん! 拓海さん・・・!」
本条美弥子「玲衣! え? あの人は・・・」
天野優佳「・・・・・・」
玲衣を拘束していた人、それはクラス委員長の天野優佳さんだった!
どういうことかと混乱していると、私たちはいつの間にか姿を現した数十人もの人間に囲まれてしまっていた。
辺りを囲うそいつらは静ヶ丘学園1-A組のみんな、つまりは私のクラスメイト達であった。
え! どういうこと!?
天野優佳「よく来たな・・・」
本条美弥子「天野さん! どういうことなの!」
月ノ宮拓海「待て、本条! 恐らくあいつは・・・」
天野優佳「さすがに気づいたか」
天野優佳「そう、静ヶ丘学園1-Aクラス委員長天野優佳は仮の姿・・・」
そういうなり天野さんは目にもとまらぬ速さで着替え・・・いや変身したのだ。
そして周りのクラスメイトも一斉に姿を変えていく。
???「久しいな! 月ノ宮拓海!」
月ノ宮拓海「やはり・・・! 貴様は星小路家次期当主、星小路優太郎(すてらのこうじゆうたろう)!」
なんと天野さんとクラスメイトたちは星小路の手のものだったのだ。
・・・ちょっと待って、私、ずっと男子に囲まれて学園生活送ってたの!?
星小路優太郎「貴様がこの学園に身をひそめる情報を得た俺達は、先に女装をして学園にもぐりこみ、貴様を待ち受けていたのだ!」
星小路優太郎「星小路家は元は忍び。変化の術など朝飯前よ」
星小路優太郎「特に女人克服のために編み出した『女人変化』はな!」
月ノ宮拓海「くっ・・・女子校に隠れる作戦を逆手にとられるとは!」
本条美弥子「いや、不正入学多すぎでしょ! どうなってるのよウチの学園!」
秋川玲衣「美弥子さん、静ヶ丘学園は設立されたばかりでひとりでも多くの生徒の入学を望んでおりましたから・・・」
本条美弥子「そうだった・・・だから拓海も入学できたんだっけ・・・」
それにしても、クラス単位の大人数でひそんでいたとは、なんて用意周到な奴らなのだろう・・・。
月ノ宮拓海「いや、恐らく奴らは女性ばかりのお嬢様学園に、少人数で入る余裕はなかったのだろう」
星小路門下生「ウブな俺達でもみんなと一緒なら問題なく行動できるからな!」
星小路門下生「毎日ドキドキしたけど待った甲斐があったぜ!」
本条美弥子「なんて行動力のあるシャイ達なの・・・!」
月ノ宮拓海「星小路、こんなことをしても無駄だ!」
月ノ宮拓海「じきに警備の仕事は終わる! 何より外交官は女性だぞ!」
星小路優太郎「ほざけ! 無駄かどうかは我らが決める!」
星小路優太郎「相手が女性ならば、コミュ障をどうにか克服した女性門下生チームがどうにかするだけだ!」
本条美弥子「あんたはなんとかせんのかい!」
星小路優太郎「ともかく、貴様に選択肢などないぞ月ノ宮! こいつの命が惜しければ、我らと来い!」
秋川玲衣「きゃあ・・・!」
本条美弥子「れ、玲衣・・・!」
月ノ宮拓海「案ずるな! 喝術二十二段『喝転送』! 喝―っ!」
拓海が叫んだ瞬間、玲衣の身体が浮き上がり、ゆっくりと私たちのほうへと舞い降りた。
玲衣には怪我ひとつない。
星小路優太郎「な、なんだと・・・!」
月ノ宮拓海「この通り秋川は取り戻した! 逃げるぞ本条!」
月ノ宮拓海「喝っーー!」
本条美弥子(喝術に不可能ってないの・・・?)
拓海の声に促されて私達はこの場の脱出を試みる。
だけどその時、信じられない声が響いたのだ。
星小路優太郎「喝っ!!」
星小路優太郎が喝術を使って私達に攻撃をしかけたのだ。
月ノ宮拓海「くっ。喝っ!」
すかさず拓海が喝を放って打ち消す。
月ノ宮拓海「それは喝術三十三段『喝砲』・・・! なぜお前が・・・!」
星小路優太郎「屈辱だった・・・だが確実に貴様を倒すために俺も喝術を覚えたのだ!」
星小路優太郎「『3ステップ簡単習得! 喝道入門講座』でな!」
星小路優太郎「プレミアム会員限定の動画配信も参考にさせてもらったぞ!」
月ノ宮拓海「し、しまった!」
月ノ宮拓海「窮地の際の護身術が、まさか俺たちを窮地に追いやるとは・・・・・・!」
本条美弥子「なにやってんのよー!?」
まさかの事態に緊張感でひりつく空気。
こうして喝術VS喝術の対決が始まったのだ。
月ノ宮拓海「喝っーー!」
星小路優太郎「喝っーー!」
月ノ宮拓海「喝ーーーーーーっっ!!」
星小路優太郎「喝ーーーーーーっっ!!」
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