第三話 「ピンチのお嬢様」(脚本)
〇名門の学校
皆様、ごきげんよう。秋川玲衣ですわ。
ひょんなことから拓海さんのサポートをすることになった美弥子さんと私。
〇おしゃれな教室
秋川玲衣「拓海さん、そろそろ皆が戻ってきますわ! 着替え終わりました?」
月ノ宮拓海「もう少し・・・ぬあっ! ストッキングが伝線してしまった!」
本条美弥子「履かなくてもいいよ!」
〇学食
月ノ宮拓海「量が・・・量が圧倒的に足らん・・・! この7倍は食いたい・・・!」
本条美弥子「女子を前提とした食事だもんね・・・えっと、パン食べる?」
秋川玲衣「私のオレンジもいかが?」
始めのうちは慣れない生活に四苦八苦していらした拓海さんでしたが、日を追うごとに順応していきましたの。
そして慣れていったのは拓海さんだけではなくて・・・。
〇体育館の中
本条美弥子「やばっ! 天井にボールが挟まっちゃった! 拓海!」
月ノ宮拓海「うむ、喝っ!」
秋川玲衣「ボールが落ちましたわ。便利ですわね」
〇明るい廊下
本条美弥子「拓海お願い!」
本条美弥子「さっき手を洗う時にうっかり袖を濡らしちゃったの! だから・・・」
月ノ宮拓海「まったく、喝術『喝温風』はドライヤーではないぞ」
本条美弥子「そこをなんとか!」
〇おしゃれな教室
本条美弥子「え? 今の話マジ?」
月ノ宮拓海「ああ。喝術『喝気検知』で計ってみたが、どうも君の気は男性に近い」
月ノ宮拓海「男に間違われやすいのもそのためだろう」
本条美弥子「そうだったんだ・・・って、男性の気なんてどうやって克服すりゃいいのよ~!」
月ノ宮拓海「そんなお前に耳よりな話がある」
月ノ宮拓海「月ノ宮流喝術には女性の気を強める稽古があるのだ」
月ノ宮拓海「今なら初月無料の動画講座で稽古が可能だ。 これを機に経験してみてはどうだ?」
本条美弥子「ああ~悩むぅ~! 初月無料、無料かあ~!」
秋川玲衣「拓海さんの道場って幅広く活動なさっているのねぇ」
美弥子さんも拓海さんといる日常を楽しんでいるようですわ。
仲良きことは美しきことですわね。
天野優佳「あなた達って、月ノ宮さんとずいぶん仲がよろしいのね。妬けてしまいますわ」
秋川玲衣「ふふ、ご縁があったのかもしれませんわね」
さすがに本当のことをお伝えするわけにもいきませんでしたので、少し言葉を濁しました。
本条美弥子「あれ、もう3時?」
本条美弥子「ねえ玲衣、たしか委員会の会議あるんじゃなかった?」
秋川玲衣「あらいけない! すぐに参りませんと」
私としたことが、風紀委員会の会議を忘れておりましたわ。
私は美弥子さんと拓海さんに挨拶をしてから会議へと急ぎました。
〇階段の踊り場
本条美弥子「・・・ん? 拓海、スマホ鳴ってない?」
月ノ宮拓海「む、電話か。家の者からだ。もしもし、俺だ」
月ノ宮拓海「ああ・・・そうだ・・・それで・・・む! そ、そうか・・・」
本条美弥子「拓海、どうしたの?」
月ノ宮拓海「・・・じきに警備の仕事が終わるそうだ。 ゆえにもう家に戻っても大丈夫だと・・・」
本条美弥子「あ・・・!」
本条美弥子(そっか、そろそろ1ヶ月経つんだっけ・・・)
本条美弥子(フォローしたり、ツッコんだり忙しかったけど、結構楽しかったな・・・)
本条美弥子(ちょっと寂しいかも・・・)
月ノ宮拓海「こちらの都合で振り回してすまない、だが・・・」
本条美弥子「いいって、今さらじゃん! それで、いつ頃帰る予定?」
月ノ宮拓海「遅くとも1週間以内には・・・」
本条美弥子「オッケー! じゃあ、ちょっと早いけどお祝いしようか?」
本条美弥子「1ヶ月、バレずに無事に乗り切ったってことでさ」
本条美弥子「放課後、玲衣も誘って前行ったカフェ行こ! 今日は特別に私がおごってあげる!」
月ノ宮拓海「本条、ありがとう・・・心遣い感謝する」
〇明るい廊下
秋川玲衣「もしもし、美弥子さん?」
秋川玲衣「・・・まあ、拓海さんが!」
秋川玲衣「そうでしたの・・・せっかく仲良くなれましたのに残念ですわ・・・」
秋川玲衣「それでお祝いの会を? もちろん、参加いたしますわ」
秋川玲衣「それでは、また教室で」
秋川玲衣「さあ、会議も終わりましたし、すぐに戻りませんと・・・」
ガタガタ・・・
秋川玲衣「・・・あら? 物音が聞こえますわ? この教室は立ち入り禁止のはずですのに・・・」
〇特別教室
秋川玲衣「どなたかいますの? ここは立ち入り禁止で・・・」
???「見たな・・・」
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